2017/6/23, Fri.

仄かに陽の色の窓にあるなかで起き、枕の上に就いて瞑目しているそのなかで、風が一度、窓外に膨らんだ。カーテンをすり抜けてその裾が肌に触れてくるのが、起き抜けの、まだ暑さの移っていない身体に爽やかだった。その後の日中は蒸し暑く、服を脱いで肌を…

2017/6/22, Thu.

モニターに向かい合っていると身体が温みを帯びて蒸し暑い曇天で、夕方に到っても雲は晴れず、出ると前日の水気がまだ残っているところに、気温が上がって染み出したものか、湿った植物の匂いが大気に混ざっていた。木の間の坂を上るあいだは正面から風が走…

2017/6/21, Wed.

目覚めると、雨の響きのなかにいた。枕に腰を乗せ、瞑目して耳を寄せるうちに宙を走る雨音の拍車を掛けて迫るのに、耐えるようにしていたが、じきに音がほぐれたようになって空間に沁み、耳にも馴れたなかから、救急車の音が薄く伝わってきた。雨はなかなか…

2017/6/20, Tue.

昼下がりに到ると淡い雲が出てきて、陽の色味がやや抑えられ、粉っぽいような明るさの南窓だった。久しぶりに三〇度まで上がるらしく、シャツを着るとそれだけで、肌に触れる布地の感覚が煩わしいような夏日である。木の下の坂を行くあいだから既に汗が滲み…

2017/6/19, Mon.

覚めた窓は白く満たされていたが、じきに晴れに移行し、久しぶりに気温も高くなった日で、温めた豆腐を食えば肌着の下の肩が熱を溜める。それなのでシャツを脱いでアイロンを扱ったあと、仕事着になって出た夕刻、木蔭の坂を行くあいだは空気の軽さ柔らかさ…

2017/6/18, Sun.

玄関を出ると、夕刻に、雨がぱらぱらと落ちはじめていた。身一つならば気に掛けるものでないが、紙袋に詰めた本を見れば、繁くなった場合にそれらを守る術がないのは難儀で、傘を持つか少々迷ったが、持てば持ったで荷の多さが煩わしく、募るまいと根拠なく…

2017/6/17, Sat.

風が吹いている。道には降りて来ず、林の高く、梢のあたりを流れて揺らすそのさざめきのなかに、雨の予兆をかすかに感じ取るような気もする暮れ方である。とは言えすぐには、おそらくは今日中には降らないだろうと思われた。街道に出ても、道端の旗は絶えず…

2017/6/16, Fri.

起きた時から窓辺の空気が柔らかくほぐれており、午前はそのまま晴れていたはずだが、二時頃、ヘッドフォンを頭につけてモニターに向かい合っていると、いつか葉を打つような響きが耳に混ざりだし、背後で急な雨が始まっていた。ざっと一挙に盛り、雷も遠く…

2017/6/15, Thu.

窓辺にいると、川の気を思わせる涼しさがカーテンの隙間から薄く入ってくる夕べだった。外に出ても空気は軽く、そのなかを抜けて行くのに、何らの抵抗もなく肌に添う。昼を過ぎるあたりまで曇っていたようだが、いまは晴れ間があり陽射しが通って、街道の二…

2017/6/14, Wed.

午前には窓の外に陽の色も見え、空気に爽やぎが込められてもいたが、正午を越えて昼が下りはじめたあたりから曇りだし、外出の頃には窓が褪せていた。坂を抜けると暖気が雲を通ってくるようで、天を閉ざされた大気が温むなかに、それでも時折り風が走って軽…

2017/6/13, Tue.

薄い雨が淡々とした調子で、室内に音も伝わって来ず、降り続き、鼠色に霞んだ空気の薄暗い日だった。午後三時半、外に出れば、シャツの上にベストをつけていても、いくらか肌寒いような様子だった。鶯の声が林から膨らんで、濡れた大気のなかによく響いて抜…

2017/6/12, Mon.

風がなくとも、涼しく、軽い空気だった。夕刻に到り、曇天が割れて晴れ間と陽射しが現れていた。影の定かに浮かびあがる暖かな西陽のなか、街道を渡り、背後に目をやって雲の裾に光る太陽を眩しがってから前に向き直ると、先ほどから鳴きを落としていた燕の…

2017/6/9, Fri.

道に出た夕刻、薄緑に染まった楓の横で、正面を走ってきた風の内に植物の匂いを嗅いだ。坂にはまだ多少距離があったが、その入口を通ってすぐ脇の、伐採された斜面の樹々の香りが乗ってきたものと見えた。傍まで来ると、かえって香りは立たずに消える。鵯が…

2017/6/8, Thu.

午前から正午付近までは曇りがちな空だったが、昼下がりから陽の色が出はじめて、四時頃には山の近くに低く浮かんだ雲が青さのなかで、溶けかけの氷のように稀薄に貼り付いていた。自宅の傍の坂を縁取る林では、しばらく前から伐採を行っていて、出かけて通…

2017/6/7, Wed.

起きた窓の外に風が多く、川の響きに混じって遠くから近くからさやぎが立ち、カーテンが円みを描く。梅雨入りと言う。出かける頃になっても風は続いており、坂の入り口に掛かると林が厚い響きを籠らせてよく騒ぐ。出口近くに立った木も、風にやられて葉を振…

2017/6/6, Tue.

窓から流れこんでくる涼気が、起き抜けの肌にやや寒い曇天だったが、日中には、アイロンを手に持ちながら上半身を晒した格好になっていた。三時半を迎えて出た道は、さほど蒸すでもなく、ベスト姿の身体に馴染みの良い大気の質感である。雲は場所によって青…

2017/6/5, Mon.

鴉が、声を遠くに向けて朗々と渡らせるのでなく、間の抜けたような調子でしきりに鳴き立てている夕べだった。ともすれば拍車が掛かって喘ぎのようになりかねない、妙な鳴き方だった。空気は、さらさらと流れて涼しく、肌に安い。街道まで来ると、東の地平に…

2017/6/4, Sun.

流氷のような雲の、空に広くこびりついて浮かんだ昼下がりだった。湿り気は薄く、上り坂を抜けて受けた涼気に、これでは汗もかかないなと思ったところが、直後、にわかに道が色づきはじめ、街道に出る頃には足もとに影も弱く浮かんだ。風は気紛れで、東から…

2017/6/2, Fri.

風の厚く、多い日で、寝覚めてからしばらく窓辺に留まっているあいだ、葉を擦りながら渡っていく気流の響きが、ガラスの外の空間を賑やかに満たしている。上空でも流れるものが雲を掃き払ってしまうのだろう、空は明るく、夕刻に近づいても、食卓から見た窓…

2017/6/1, Thu.

ベッドに腰掛けて新聞を読んでいると、背後の窓先でぱちぱちという鳴りが始まって、カーテンをめくれば、雨が落ちてきている。ベランダの洗濯物を取りこみに行けば、空は雲間に水色が細く覗いて、近間の瓦屋根も明るみを淡く跳ね返すさなかの降り出しだが、…

2017/5/31, Wed.

湿り気の多くて、室内にいても肌が汗を帯びる曇天だが、三時頃に外に出ると、風は走る。絶え間も少なく、繰り返し流れるのに、林の樹々がさざめきを宙に返す。普段とは違って駅に向かわず、車で運んでもらい、町の南側、四車線を満たす風切り音の騒がしいバ…

2017/5/30, Tue.

覚めたあと、用足しから戻ってくれば、カーテンの裏で窓はひらいているのだが、それでも室内に暖気の籠っているのが感じられる。三〇度の日らしい。居間の窓の先では光の通った空中に、山の上にひらいた空の清い色が溶け混ざっているようで、空気が自ら薄青…

2017/5/29, Mon.

正午前の道に出て、木の間の上り坂を抜ければ、頭に降りかかってくる熱気に身体がやや頼りなくなるような、夏日である。気温は二八度とか三〇度とか聞いた。街道に出ると道路の先から走ってくる車の鼻面が、陽炎に乱されて、真白い光点を装飾品のように溜め…

2017/5/28, Sun.

窓を閉じていれば、室内に暖気がやや籠る正午である。洗濯物を取りこみにベランダに行っても、雲の多い空だが、身の周りの空気は温もっており、その静止を乱す風もない。ハンガーに掛かったものに手を伸ばしていると、屋根の縁から太陽が、敷かれた雲のなか…

2017/5/27, Sat.

柚子の木の枝を、剪定というほど大袈裟なものでないが、いくらか刈り揃えるために外に出た午前、空気は暑い。空は雲が厚めに広がって白いものの、頭上には間が生まれているようで、降り注ぐものもまたあり、結構な熱が身についてくるのに、太陽はどこかとま…

2017/5/26, Fri.

夜の白んだあとからいつか降り出した雨のなか、窓を開けたままに眠っていた。肌着一枚の格好で、腕に肌寒さがついてきた。居間の窓に視線を通しても、雨粒の宙を搔く線は視認されず、空気は石灰色に濁って、空が稜線を侵して山の表面へと浸潤している。午後…

2017/5/25, Thu.

前日よりもさらに、均された白い窓の目覚めだった。日中、居間の窓から見通すと、山の向こうの低い空にちょっと、暖色を帯びた明るみが見られもしたが、そこを残してほかはこちらの頭上まで灰青色の雲が敷き伸ばされて、近間は仄暗く、雨の降り落ちてきても…

2017/5/24, Wed.

夜更かしのために正午前まで長寝に浸かってから起きると、窓はのっぺりと薄白く、明るさの弱い寝床だった。未明までモニターに瞳を晒していたのが祟ったか、首の固くて、布団を離れてからあまり間も置かず、頭痛が始まった。 歯を磨き口を濯いで室に戻って来…

2017/5/23, Tue.

午前からよく風の吹く快晴で、起床後にしばらく、枕に尻を乗せて窓辺に佇んでいると、爽やかな葉擦れの響きが窓外を渡る。風はカーテンの隙間からなかにも入りこんで、身にも柔らかく、稀薄な靄のように触れてくる。食事を済ませて正午過ぎから始めた書き物…

2017/5/22, Mon.

気温計が三〇度を指し示す夏日が続くが、風が爽やかに、窓からよく入っても来た。外では鶯と鵯がいつものように鳴きを散らしているその合間に、画眉鳥だろうか、柔らかく曲がる融通無碍な声のみが、あたりは黙ったそのなかに奏でられて音楽的に響く時間があ…

2017/5/21, Sun.

あまりにもあからさまな、開け広げな晴天だった前日にもまして暑さの盛った日で、居間に吊ってある青い気温計は一時、三二度を指していた。この日も朝から晩まで、空に雲の一粒も現れなかったのではないか。拍車の掛かった気早な夏の気の、室内に無遠慮に入…

2017/5/20, Sat.

早朝に覚めた窓の外で、鳥の声が活気づいていた。鶯の音が普段よりも忙しなく、川に次々と石を投げこんで水柱が立つように、そこここで跳ね、その合間に鵯の鳴きが入って、僅かな間断を挟む隙もなく、なかに時折り、谷渡りの螺旋状の響きが、昇るというより…

2017/5/19, Fri.

午前から朗らかさが部屋内にまで染み入る晴天に、近所の屋根も、一時、水を溜めた囲いのようにちらちらと揺らぎ、光っているのを見せた。昼下がり、干していた布団を仕舞いにベランダに出ると、風が吹く。肌に正面から当たって来ずに、横滑りして軽やかに戯…

2017/5/18, Thu.

灰色雲が低く垂れて、薄暗いような曇りの午前だった。台所と食卓を幾度か往復するあいだに、窓外の、南の空の山際近くまで雲が広がった下に、稜線との接触面の周囲のみ、雲の浸透から逃れて白さが明るんで際立つのが目に入って、それで翻って空気の暗さに気…

2017/5/17, Wed.

実体のあるものか耳の悪戯か、時鳥の声を未明に聞いたあともなかなか本格の眠気はやって来ず、揺蕩うような眠りのままに明け方に到って、そこからようやく深みに沈んだようで、休日の気楽さにも任せて正午前までの長寝となった。外から鶯の、川のあたりにい…

2017/5/16, Tue.

この日も白く褪せた曇り空は引き続き、胃のなかが軽くなってくるといくらか身が冷たくもなるようで、温めて食った豆腐の熱が腹に染みて美味い。シャツの上にジャケットは羽織らず、ベストのみつけて、三時半には道に出ると、空気は動きがなければ涼しいとい…

2017/5/15, Mon.

この日も午前から曇り空が続いて、夕刻まで晴れ間も見えない。四時頃、居間から外を見通すと、遠くの山とのあいだに積まれた空気層のなかに、石灰色が混ざり僅かに霞むようで、一瞥、雨が降っているのかとも見え、仄暗いような天気だった。気温もいくらか低…

2017/5/14, Sun.

八時の目覚めの時には既に窓が白く、それから午前に掛けてもずっと平坦な曇り空が広がっていたが、二時頃から薄陽が洩れはじめ、空気が色付いてきた。三時に外出した時にも、西空に灰色を帯びた雲が押し出てはいるが、道の上には陽の色が淡く被さっている。…

2017/5/13, Sat.

昨夜、夜半から始まった雨は、繁くならないうちに消えていたが、いつかまた降り出したようで、早朝に、風とともに窓に寄せてガラスに当たるその音で目を覚ました。結構な降りのようだったが、そのなかでも鶯が、勤勉なように声を膨らませているのに、この雨…

2017/5/12, Fri.

この日も朝から平らかに晴れて、さらに風があって、居間の東窓に掛かったレースのカーテンがよく膨らむ。ものを食っていると、幕を端に留めて外の露わになった南窓には、タンポポの綿毛が群れなして、羽虫の集まりのように舞って過ぎた。前日と同じく、昼頃…

2017/5/11, Thu.

寝床で覚めた時から、柔らかくほぐれた空気の爽やかさが触れるようだった。気温は二八度まで上がると言って、その割に暑さの勝るでもなく、朗らかな初夏の日和である。昼下がりから雲が多くなって、四時頃には空の大方が白い曇りとなり、するとやはり多少の…

2017/5/10, Wed.

先夜の雨は未明にはもう収まっていたらしい。明けたこの日もしかし、居間の内から窓を透かした空気が、ひと目には降っているともいないともつかず曖昧に籠った曇りで、湿り気もかなり残っているようだった。五時に到って道に出れば、その頃には降りはなかっ…

2017/5/9, Tue.

往路、この日はジャケットまで羽織った身体に、一様に白い曇天の大気は暑くもなく、風が流れても涼しいというほどでもない。街道を向かいに渡ると、行き過ぎる車の生む風に煽られて、石壁の上から迫り出した白躑躅の茂りが上下に撓んで、そのあとから一つ、…

2017/5/8, Mon.

往路。風邪で家に籠る日が続いていたから、長く外気のなかには身を置いていなかった。道に出ると、四方を壁で囲まれ閉ざされていない空間の、無論様々なものはあいだにあるが果ての空までひらいて繋がったその広漠に、肉体が頼りなさを感じるようで、身の平…

2017/5/7, Sun.

寝台の上に仰向けになって、古井由吉の最新刊を読んでいるうちに、文字の上にこごっていた視覚から意識が、耳の方へとふと逸れた。聴覚空間の、その外辺のあたりで先ほどから鳴いていた鶯の声の、放たれたあとの残響が、耳を掠ったのだった。目を閉じればそ…

2017/5/2, Tue.

往路は早めの、午後三時半過ぎである。市内では一年に一度の大きな催しである祭りの、二日続くその一日目で、二日目が本番でこの日はまだ規模も小さいが、坂を上って行くあいだも祭り囃子の音が、終始途切れずに、乾いて晴れた空気に乗って届いた。陽射しは…

2017/5/1, Mon.

外出する頃には、雨降りが始まっていた。傘をひらいて道に出ると、熱されたアスファルトが雨に打たれた時の匂いが、仄かに立ち昇って来る。雨音はまだ乏しいが、坂を上って街道へと向かうあいだ、小さい幅で強まり弱まりを繰り返しているその不安定さに、予…

2017/4/30, Sun.

玄関を出て外気のなかに入ったその瞬間から、旺盛な陽射しの熱を含んだ初夏の空気の匂いとも言うべきものが、肌と鼻孔に触れてきた。陽の当たった部分は広く、鳶が宙を行く影が、路上のみならず林の縁の、新緑の葉々の上にまで映って、駆け上がって行った。…

2017/4/29, Sat.

六時、窓辺のベッドに乗って、姿勢を緩くして身体を寛がせながら『梶井基次郎全集 第一巻』を読んでいると、カーテンがいくらか膨らんで、夕刻の涼しさが流れこんで来る。空は白いが、明るめの曇りで、電灯を点けずともまだ言葉を読み取るのに支障がない。文…

2017/4/28, Fri.

風があっても心地よい涼しさに留まる、空気の軽い往路である。空は、東の方には晴れ間が見えるが、頭上のあたりから雲が湧いていて、西ではそれが一面に拡大され、波の弱い浅瀬めいて柔らかな薄灰色が落日を隠しきっていた。街道に出て歩いていると、車の途…