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2017/5/23, Tue.

午前からよく風の吹く快晴で、起床後にしばらく、枕に尻を乗せて窓辺に佇んでいると、爽やかな葉擦れの響きが窓外を渡る。風はカーテンの隙間からなかにも入りこんで、身にも柔らかく、稀薄な靄のように触れてくる。食事を済ませて正午過ぎから始めた書き物…

2017/5/22, Mon.

気温計が三〇度を指し示す夏日が続くが、風が爽やかに、窓からよく入っても来た。外では鶯と鵯がいつものように鳴きを散らしているその合間に、画眉鳥だろうか、柔らかく曲がる融通無碍な声のみが、あたりは黙ったそのなかに奏でられて音楽的に響く時間があ…

2017/5/21, Sun.

あまりにもあからさまな、開け広げな晴天だった前日にもまして暑さの盛った日で、居間に吊ってある青い気温計は一時、三二度を指していた。この日も朝から晩まで、空に雲の一粒も現れなかったのではないか。拍車の掛かった気早な夏の気の、室内に無遠慮に入…

2017/5/20, Sat.

早朝に覚めた窓の外で、鳥の声が活気づいていた。鶯の音が普段よりも忙しなく、川に次々と石を投げこんで水柱が立つように、そこここで跳ね、その合間に鵯の鳴きが入って、僅かな間断を挟む隙もなく、なかに時折り、谷渡りの螺旋状の響きが、昇るというより…

2017/5/19, Fri.

午前から朗らかさが部屋内にまで染み入る晴天に、近所の屋根も、一時、水を溜めた囲いのようにちらちらと揺らぎ、光っているのを見せた。昼下がり、干していた布団を仕舞いにベランダに出ると、風が吹く。肌に正面から当たって来ずに、横滑りして軽やかに戯…

2017/5/18, Thu.

灰色雲が低く垂れて、薄暗いような曇りの午前だった。台所と食卓を幾度か往復するあいだに、窓外の、南の空の山際近くまで雲が広がった下に、稜線との接触面の周囲のみ、雲の浸透から逃れて白さが明るんで際立つのが目に入って、それで翻って空気の暗さに気…

2017/5/17, Wed.

実体のあるものか耳の悪戯か、時鳥の声を未明に聞いたあともなかなか本格の眠気はやって来ず、揺蕩うような眠りのままに明け方に到って、そこからようやく深みに沈んだようで、休日の気楽さにも任せて正午前までの長寝となった。外から鶯の、川のあたりにい…

2017/5/16, Tue.

この日も白く褪せた曇り空は引き続き、胃のなかが軽くなってくるといくらか身が冷たくもなるようで、温めて食った豆腐の熱が腹に染みて美味い。シャツの上にジャケットは羽織らず、ベストのみつけて、三時半には道に出ると、空気は動きがなければ涼しいとい…

2017/5/15, Mon.

この日も午前から曇り空が続いて、夕刻まで晴れ間も見えない。四時頃、居間から外を見通すと、遠くの山とのあいだに積まれた空気層のなかに、石灰色が混ざり僅かに霞むようで、一瞥、雨が降っているのかとも見え、仄暗いような天気だった。気温もいくらか低…

2017/5/14, Sun.

八時の目覚めの時には既に窓が白く、それから午前に掛けてもずっと平坦な曇り空が広がっていたが、二時頃から薄陽が洩れはじめ、空気が色付いてきた。三時に外出した時にも、西空に灰色を帯びた雲が押し出てはいるが、道の上には陽の色が淡く被さっている。…

2017/5/13, Sat.

昨夜、夜半から始まった雨は、繁くならないうちに消えていたが、いつかまた降り出したようで、早朝に、風とともに窓に寄せてガラスに当たるその音で目を覚ました。結構な降りのようだったが、そのなかでも鶯が、勤勉なように声を膨らませているのに、この雨…

2017/5/12, Fri.

この日も朝から平らかに晴れて、さらに風があって、居間の東窓に掛かったレースのカーテンがよく膨らむ。ものを食っていると、幕を端に留めて外の露わになった南窓には、タンポポの綿毛が群れなして、羽虫の集まりのように舞って過ぎた。前日と同じく、昼頃…

2017/5/11, Thu.

寝床で覚めた時から、柔らかくほぐれた空気の爽やかさが触れるようだった。気温は二八度まで上がると言って、その割に暑さの勝るでもなく、朗らかな初夏の日和である。昼下がりから雲が多くなって、四時頃には空の大方が白い曇りとなり、するとやはり多少の…

2017/5/10, Wed.

先夜の雨は未明にはもう収まっていたらしい。明けたこの日もしかし、居間の内から窓を透かした空気が、ひと目には降っているともいないともつかず曖昧に籠った曇りで、湿り気もかなり残っているようだった。五時に到って道に出れば、その頃には降りはなかっ…

2017/5/9, Tue.

往路、この日はジャケットまで羽織った身体に、一様に白い曇天の大気は暑くもなく、風が流れても涼しいというほどでもない。街道を向かいに渡ると、行き過ぎる車の生む風に煽られて、石壁の上から迫り出した白躑躅の茂りが上下に撓んで、そのあとから一つ、…

2017/5/8, Mon.

往路。風邪で家に籠る日が続いていたから、長く外気のなかには身を置いていなかった。道に出ると、四方を壁で囲まれ閉ざされていない空間の、無論様々なものはあいだにあるが果ての空までひらいて繋がったその広漠に、肉体が頼りなさを感じるようで、身の平…

2017/5/7, Sun.

寝台の上に仰向けになって、古井由吉の最新刊を読んでいるうちに、文字の上にこごっていた視覚から意識が、耳の方へとふと逸れた。聴覚空間の、その外辺のあたりで先ほどから鳴いていた鶯の声の、放たれたあとの残響が、耳を掠ったのだった。目を閉じればそ…

2017/5/2, Tue.

往路は早めの、午後三時半過ぎである。市内では一年に一度の大きな催しである祭りの、二日続くその一日目で、二日目が本番でこの日はまだ規模も小さいが、坂を上って行くあいだも祭り囃子の音が、終始途切れずに、乾いて晴れた空気に乗って届いた。陽射しは…

2017/5/1, Mon.

外出する頃には、雨降りが始まっていた。傘をひらいて道に出ると、熱されたアスファルトが雨に打たれた時の匂いが、仄かに立ち昇って来る。雨音はまだ乏しいが、坂を上って街道へと向かうあいだ、小さい幅で強まり弱まりを繰り返しているその不安定さに、予…

2017/4/30, Sun.

玄関を出て外気のなかに入ったその瞬間から、旺盛な陽射しの熱を含んだ初夏の空気の匂いとも言うべきものが、肌と鼻孔に触れてきた。陽の当たった部分は広く、鳶が宙を行く影が、路上のみならず林の縁の、新緑の葉々の上にまで映って、駆け上がって行った。…

2017/4/29, Sat.

六時、窓辺のベッドに乗って、姿勢を緩くして身体を寛がせながら『梶井基次郎全集 第一巻』を読んでいると、カーテンがいくらか膨らんで、夕刻の涼しさが流れこんで来る。空は白いが、明るめの曇りで、電灯を点けずともまだ言葉を読み取るのに支障がない。文…

2017/4/28, Fri.

風があっても心地よい涼しさに留まる、空気の軽い往路である。空は、東の方には晴れ間が見えるが、頭上のあたりから雲が湧いていて、西ではそれが一面に拡大され、波の弱い浅瀬めいて柔らかな薄灰色が落日を隠しきっていた。街道に出て歩いていると、車の途…

2017/4/27, Thu.

家を出たのは午後七時である。青さの留まった宵の空で、ポストから夕刊を取り出せば、米国の三長官が対北朝鮮政策についての声明を発表と、一面の記事が定かに読めるほどに、まだ明るさが残っている。室内で身体を動かさずにいたから、外に出ると肉に熱がな…

2017/4/26, Wed.

図書館で打鍵の合間に、小腹を満たすためにテラスに出て食事をした。午後五時の、少々肌寒くなった空気に、格子柵に絡んだ植物の葉が揺れ、視界をいくらか遮るその隙間から、円形歩廊を行き交う人々の姿が下方に見え、空は薄青く曇っている。向こうの駅で電…

2017/4/25, Tue.

往路、雲が淡く混ざっていくらか鈍く、長閑なようになった晴れ空である。裏道に入りながら目が行った西の、丘の稜線に接したまさしく際の空間に、落ち陽がすっぽりと、穴に嵌まったように円く光を満たしている。昼間には風の荒れた日で、居間にいる時に窓の…

2017/4/24, Mon.

三時前に外出。前日に続く晴天で、まだ陽だまりも広く、道を縁取った石壁の上から張り出している木々のその影が、路上に騒ぐ。裏通りを抜けて街道に出れば、一面に広がった日なたのなかで、肩の上に心地よい熱が乗って、汗ばんでくるくらいの温暖さだった。…

2017/4/23, Sun.

ストーブのタンクに石油を補充するために外に出た――それ以外は終日籠って、外気との触れ合いがなかった日である。勝手口の方に回ってポンプが液体を汲み上げタンクを満たすのを待つあいだ、あたりを眺めた。光の渡って穏和で爽やかな快晴で、傍の林の木々が…

2017/4/22, Sat.

家を出たのは午後七時を回ったところで、雨降りのなかに歩み出ればあたりはいかにも暗く、振り向いた西の先では山と空と家並みとがひと繋がりに闇に籠められて黒々と澱んでいた。坂を上って行って先の出口あたりには、街灯が立たない一角があり、前後の光の…

2017/4/21, Fri.

往路、坂を上って行くあいだ、道の左右から鳥たちの声が、各々の持つ律動と声調で、それぞれ自律した流れを形作りながら立ち交わすのが、旋律はなくともまさしく多様な楽器の交錯で織られた音楽を聞くような気分にさせる――そのなかで、初めは頼りなげに浮か…

2017/4/20, Thu.

往路、この日は普段より遅くて午後七時の道である。陽の名残りも既に消えて宵がかった空が深く青い。坂を上って行くとあたりに鳥の音も立たず、暮れて静かななかに、木の間の先から、川の音が随分と厚く立ち騒いで昇って来た。西から東まで晴れているようだ…

2017/4/18, Tue.

往路。歩いているうちに服のなかに熱が籠るのが感じられて、前髪の裏もやや湿って来るような気温の高さである。空は雲混じりの薄く柔らかい青さで、ところどころに形を成す雲の塊もあるその前を、街道を渡る電線に止まった燕が黒い影となって鳴きを落とし、…

2017/4/17, Mon.

往路、薄白い曇り空の午後五時である。坂を上りながらすぐ傍で立つ鶯の音に、姿を見たいとあたりに視線を振るが、声は近くても一体どこに止まっているのか影がどうしても捉えられない。街道沿いの公園の桜は大方花を落として、薄紅色の方が少ないくらいにな…

2017/4/15, Sat.

往路、午後四時。坂の中途の、木の間がややひらいた斜面に、菫の種らしい青紫色の小さ花が密集して一角を埋めている。空はこの日も、端から端まで天色に満たされ澄み渡った快晴である。丘を見れば少し前までは箒を逆立てたようになっていた裸木の地帯に、葉…

2017/4/14, Fri.

例日通り五時に外出。坂の入り口から右にひらいた細道に立つ桜の小木は、花の嵩を減じており、既に陽も当たらない場所で澄んだ空を背景に、水で塗られたごとく白さの上から薄青い蔭に染まっている。街道に出ると、車道の左右に伸びる電線のあいだを、燕だろ…

2017/4/13, Thu.

往路。この日も空には雲が多く、首もとを風が擦ってやや冷え冷えとする。坂を上って抜けると、西空から射す薄陽があたりに掛かって、木々の緑の上から艶のある琥珀色を重ねていた。街道を渡って歩道を行き、小公園の桜に目を向けながら前を過ぎる。淡紅の桜…

2017/4/12, Wed.

窓を開けて瞑想をする。外は光が満ちていて、穏和な陽気が漂って左肩のあたりに触れる。風はほとんどないようで、空気の柔らかさを乱す流れが室内に入ってくることもなく、下草が揺れる音もせず、時折猫が慎重に踏むような擦過音が聞こえるのみである。鳥た…

2017/4/10, Mon.

往路。この日もまた薄灰色の、雨が落ちてもおかしくなさそうな空気の風合いだったが、結局降ることはなかった。気温はやや下がって、コートもマフラーもつけずに出ると顔に当たる微風がちょっと冷やりとするが、歩いているうちにそれも紛れた。坂の入り口で…

2017/4/9, Sun.

午前から雨が降っていたが、四時半に近づいて出る頃には止んでいた。路上には濡れ跡が残っており、流れる空気のなかにも湿り気がやや籠ってしっとりとしている。車が行き交う街道のアスファルトは既に乾いていた。桜が至る所で盛りを迎えている――街道沿いの…

2017/4/7, Fri.

往路、午後五時。前日と同じように気温が高くて、微細な羽虫が空中を飛び交っていた。空は青を湛えてすっきりと晴れたなかに夕月の、下端だけ消えて表面の模様もよく見えるのが白く露わに浮かんで、南の方にただ一筋だけ、雲が引かれて、丸みを帯びた部分部…

2017/4/6, Thu.

往路。午前には旺盛な陽があったが、昼過ぎから雲が広がりはじめて、あたりが薄鈍色と化した午後五時である。それでも最高気温二〇度とあって、風が流れても肌寒さは微塵もなく、今年初めてストールを巻かずとも済んだ。空気の暖かさのために一挙に湧いて活…

2017/4/5, Wed.

光の溢れる屋内に出た途端に、空気のなかに染み渡った朗らかな匂いが鼻に入って来て、乳のような、と思った――無論、牛乳の匂いなどしていないが、何の香りとも言い難いものの温もった大気のなかに広がって鼻孔をくすぐるものがあるのは確かで、乳の比喩が浮…

2017/4/4, Tue.

往路、最高気温は一七度の、緩くほぐれた春日である。左右を木々に囲まれた坂を上って行き、平らな道に出たところで、西から射しこんで顔のあたりに掛かる光の明るい温もりに、匂うような陽だ、と思った。街道を歩いていると、古家の前の低く小さな桜木はも…

2017/4/3, Mon.

往路、風が強いという話だったが、玄関を抜けたところで身に寄ってきた大気は柔らかで、薄布に触れられているような感じだった。道を行くうちに確かに風が厚くなる時があって、木々のなかを搔き回すらしく大きな葉鳴りが膨らむのだが、その流れが顔に寄せて…

2017/4/1, Sat.

往路、雨降り――傘を持つ右手がいくらかひりつく、最高気温は一〇度の冬戻りの午前である。歩きはじめてすぐ近く、とうに裸になっている楓の木の、赤味を帯びた枝々の至る所に水滴が吊るされて、極々小さな水晶玉を飾り付けた具合になっているのを横目に過ぎ…

2017/3/31, Fri.

往路。雨さえ降っていないが寒々しい、灰色の午前一〇時である。とは言え、もはやコートを纏うほどの冷気はない。坂を上って行くあいだ、この日も左右の木の間から鶯の音が何度も膨らみ、また左の林からは画眉鳥だろうか、酩酊して鳴き散らしているような声…

2017/3/30, Thu.

往路、家を発って道路の上に立つと、道の隅から隅まで陽の隈なく敷かれて実に暖かい快晴で、同様に晴れた二日前よりもさらに朗らかなようで近所の屋根も艶めいている。坂を抜けて行くと、あたりから鶯の音がしきりに立って木の間に響く。風が吹けば涼しさが…

2017/3/28, Tue.

往路、陽光の張られて屋根のいくつか白く塗られた午前一〇時だが、風がよく流れる大気の感触は冷たい。坂を行く途中に、木々の向こうから鶯の音が立って、伴った膨らみの感じからすると、川向こうから響きが渡って来ているのではないかと思われた。坂を抜け…

2017/3/27, Mon.

正午前に家を出た。寒々とする雨の日で、坂を行くと木の間を抜けてくる川の音が、前日来の降りで増水しているためだろう、普段より確かに厚い。傘を持つ右手も、本の入った小型鞄を胸に寄せて抱えた左手も、どちらも風のなかに露出して、冷え冷えと芯にやや…

2017/3/25, Sat.

散歩がてら買い物に出た。四時半である。薄鈍色に染まって寒々しいような風合いの大気だったが、気温はそれなりにあって、風が流れて林の高い方では、いくらか古色の混ざった細長い竹が撓って葉を鳴らしていても、道の上のこちらには冷たさはない。家の周辺…

2017/3/24, Fri.

往路。一度春の空気の軽さを味わってしまったために身の回りを包むコートの厚みが野暮ったく思えて、ジャケットとストールのみで出たのだが、この夕方はそれほど春めいたものではなくて、風が冷え冷えといくらか肌寒い気候だった。空は隈なく白く詰まって、…