2017/8/21, Mon.

夜半頃から降り出した雨の名残があって、路面は湿り、やや霧っぽい朝の道だった。街道から見通した先の丘も姿を薄めて、空は鈍く濁った灰青に静まっている。裏路地に入ると、網状の蓋を四角く嵌められて排水口から、増水した流れの響きが吐き出されていた。…

2017/8/20, Sun.

大層な寝坊をして昼近くに覚めると、寝床が薄陽のなかにあった。久方ぶりの暑さと思ったがじきに曇って、図書館に向かう道中、木下坂を抜けると脇に停まった車の黒いガラスに、うっすら白い西の空が映りこんで太陽は稀薄に印される。東は水底に立つ砂煙のよ…

2017/8/19, Sat.

分厚い蟬の合唱が坂の全域に降って頭を包み、耳を聾せんばかりの、内に入りこんで侵さんばかりの騒がしさである。低みからは、連日の雨で勢いを増しているらしい沢のざわめきが加わっていた。雨も伝えられる曇り空だが、最寄り駅へと上る合間に肌は汗ばむ。…

2017/8/18, Fri.

玄関を出ると、湿り気の肌を囲んで重いような朝だった。低みに走る川から靄が湧いてわだかまっており、ある高さを境にぴたりと切れてまっすぐな上端を印すその濁りの、電線のあいだに見れば隙間なく緻密に蜘蛛の糸が張られたようだった。数日籠ったあとの外…

2017/8/14, Mon.

どこかの街に出かけて行きたい気持ちがあったが、同時に、起床が遅かったこともあって億劫でもあり、特段の目的地が思いつかずに結局自宅に留まったその代わりに、夕食後には軽い格好で近場を歩いて回った。昼に降っていた雨は大方止んでいたが、いまだぱら…

2017/8/12, Sat.

朝の九時前には車に乗りこんで、山梨にある父親の実家へと出発した。少ない眠りを補おうと瞼を閉ざしていたのだが、そうするとかえって車の揺れが三半規管に強く響いて、たちまち気分が悪くなった。視覚情報があって空間が定かに固まっていたほうが、まだし…

2017/8/10, Thu.

覚めた時から雨降りの、仄暗い朝だった。早朝から既に、窓の外は石灰水の色を満たされて霞んでいる。盛るでなく、軽く落ちて斜めに流れる雨粒に、道を行きながらスラックスを濡らされた。終盤では足先も少々湿り、雨は風を受けてほとんど水平に流れるような…

2017/8/9, Wed.

前日の疲労が残って身体がこごり、胸のあたりがとりわけ軋んで痛い目覚めだった。曇ってはいるものの、まだ微睡んでいたうちから凄まじい暑気の籠った朝で、起きてからも身の固さもあってだらだらと床に留まり、正午を回ってから部屋を出た。じきに雨が来る…

2017/8/8, Tue.

凄まじい湿気の室内に充満した曇天で、朝の早くから非常に蒸し暑かった。台風は石川の沖あたりに抜けたらしく、道に出るとほとんど降っていない。屋内を出てすぐには多少涼気も感じられたが、歩くうちに暑くもなって、風が止まればやはり蒸し暑さを逃れがた…

2017/8/7, Mon.

血の巡りがまだ鈍く、陽射しの露わなのにも怖気づいて、朝の出勤に電車を選んだ。肌に熱が押しつけられ、さらには貼りつけられるようだが、思いのほかに身体は定かで、それほど重さも感じず揺らがなかった。駅に行くまでは雲が湧きつつもどちらかと言えば青…

2017/8/5, Sat.

四月二〇日に兄夫婦に生まれた姪の百日祝いで、朝から都心へと出る都合だった。両親から少々遅れてゆったり歩く道の上、空は雲がちではあるが陽が露わに明るく、数日ぶりに肌を照られる感覚がある。暑気に浸けられながら最寄り駅へ行き、電車内では瞼を閉ざ…

2017/8/4, Fri.

早朝、新聞を取りに玄関を出ると、視界の端を擦るものに気が惹かれ、そちらを見れば雀の一団が地面に飛び降りているところだった。滑らかな軌跡で下草に降り立ってしばしののち、同じ流麗さでもって電線に戻り並んだ雀たちの、遠目に造型も定かならず、朝の…

2017/8/3, Thu.

坂を行けば頭上から、朝から早くも旺盛な蟬の声が宙を搔き毟るように降って、その外から鶯の音も一つ立った。ここのところ引き続いている曖昧な曇天に、昨日ほどではないにせよ、この日もかなり涼しく、過ごしやすかったはずだ。街道に出るまでは止まってい…

2017/8/2, Wed.

木下坂に吹く朝風の涼しくて、速まれば久しぶりで肌寒さすら感じさせるような曇天だった。気温はせいぜい二七度か二五度かそのくらいに留まった日で、歩いていて汗も湧かず、この夏に珍しく、蟬の声がまったく聞こえてこない道だった。裏道途中の家の百日紅…

2017/8/1, Tue.

天気予報を見ると夕方までずらりと降雨の図、朝にはまだ降り出していなかったが傘を持って出勤すると、果たして正午に到らないうちから始まって、職場を離れた夕刻にも続いていた。幾日か見ないうちに、裏道の中途の家を飾るピンクの百日紅が花を増やしてお…

2017/7/31, Mon.

宙を乱雑に搔き乱すような蟬の声が降り、濃青の瓦屋根に光が滑って、雲はくっきりと立つでもなくて形態がぼやけ気味だが、正午前の道には夏らしい匂いが薫っていた。最寄駅に着いて電車が入線してくるのを待っていると、陽射しに一瞬、くらりと軽く来た。眠…

2017/7/30, Sun.

この日もまた夕食後に歩きに出た。室内にいて気づかなかったが雨が通ったらしく、道は湿っており、かすかに名残った粒がぱらぱらと頼りなげに散っていた。三日連続、月の見えない暗夜で、この夜も道の先に灯った光の裏が大層暗く澱んで、家に挟まれて灯も乏…

2017/7/29, Sat.

正午前に足拭きを干すためベランダに出た時には、厚い雲が頭上一面に掛かっていながらもそれを抜けて背に落ちる熱を感じたものだが、それからしばらく昼が下ると稀薄な雨が始まって、窓から遠い台所で流しを前にすると視界が実に薄暗い。雨は続いて、この日…

2017/7/28, Fri.

夕食後、半袖半ズボンにサンダルを突っかけた気楽な格好で散歩に出た。玄関を通って道に出て、街灯の裏に籠った木の間の闇に目を振った途端に、暗い夜だとの印象が立つ。見上げれば実際月も星もなくて、平板な薄墨色を一面に掛けられた曇り空である。近頃夜…

2017/7/27, Thu.

曇り空の終日続いた一日だった。朝の道に陽射しというほどのものもなく、眩しさの刺激が瞳を責めるでもないが、早朝に起きるというのに構わず夜を更かしたのが祟ってさすがに頭が重い。瞼がうまくひらききらず、光がなくとも眼球がかすかにひりつくようなの…

2017/7/26, Wed.

早朝に覚めた時から、雨が降っていた。窓辺に留まっているうちに勢い良く盛りはじめて雨音が膨張し、厚い響きの隅まで充満した猛雨となった。家を発つ頃になっても降りは衰えず、道に一面水が張って水溜まりから足を逃す余地もないほどの大雨で、歩き出せば…

2017/7/25, Tue.

朝陽のなくて、白い窓の目覚めだった。食事を済ませて出た頃には、坂から見下ろした川の樹々が淡光を掛けられて緑色が薄らんでいる。曇り空の足もとに陽の色は弱く、影はかすかだが、それでも眠りの足りない目に眩しさの刺激がやはりあって、道の先を見通す…

2017/7/24, Mon.

早くに起きてまもない頃から、時鳥の声をよく聞いた朝だった。はっきりと立って膨らみ続くのは、久しぶりに耳にしたものだ。八時に出かけて街道を行くと、降り注ぐ陽射しが、まだそれほど高くはないはずだが早くも目に重く、眠りの少ない瞳に上からの圧が沁…

2017/7/20, Thu.

風の多く流れる日だった。自室にいればカーテンが膨らみ、便所に行くと外の林が騒ぐのに雨が降りはじめたかと、室を出て玄関先を覗くまで錯覚させられる。夕刻五時に出た道にも風は厚く向かって来て、耳の穴を覆ってばたばたという響きをぶら下げるのが、久…

2017/7/19, Wed.

坂に降る蟬の声が、まだ合唱というほどでもないが厚くなりはじめている夕方、空は晴れ晴れと穏やかに青く、陽射しのなかにあってもさして背が粘らず、路上に掛かった蔭も水を含んだようにさらさらとした質感で伸びている。雲はほとんどなくて、僅かに混ざっ…

2017/7/18, Tue.

前夜の帰路には既に雨の近づきを感じていたが、それがこの昼の二時前、驟雨となって顕在化した。窓の外が暗く沈んできたのにそろそろ来るなと洗濯物を仕舞ってからまもなく、降り出しから棕櫚の葉に当たる音の高くて、水を一気に零したような雨が始まり、早…

2017/7/17, Mon.

蟬の羽音のばちばちと響く正午前の林から、夜の更けかかった帰り道まで、風の多い一日だった。夕刻の往路には熱が籠められて漂っていたが、柔らかな風が生まれて吹きこんで来ると、糸のように腕にまつわって、暖気を搔き混ぜ乱してくれる。陽射しは幸い雲に…

2017/7/13, Thu.

正午過ぎ、食器を空にしたまま卓に留まっていると、突然の雨が落ちはじめた。曇ってきたなとはぼんやり見ていたものの、風もなく、予兆らしいものも感じ取れず、降りはじめから間を置かず一挙に速度を上げる雨に、急いで立って洗濯物を取りこんだ。雨は短い…

2017/7/12, Wed.

振り向いた窓が、いつの間にか仄暗くなっていた。流していた音楽の裏に風の音を聞いたように思ったのは、あれはどうやら遠い雷の響きだったらしい。時刻は二時、洗濯物を取りこみに行くとベランダには既に散るものがあって、吊るされたものを室に収めてまも…

2017/7/11, Tue.

風の厚く吹き流れて葉擦れの賑やかに膨らむ日中、走るものに拍車が掛かって、甲高く細い唸りの鳴り出す時間があった。四時前ではまだ陽も盛って侵すように肌に沁み入るそのなかを、近間の最寄駅へと向かって行く。坂に入ると正面の樹々が木洩れ陽と緩い風を…

2017/7/10, Mon.

大きな風が吹き、草葉の擦れる音がたびたび広がって響く昼間だったが、ベッドに横たわっていると背に熱が籠って、枕の端に載せたうなじが湿るのも煩わしかった。身体を拭いてから出かけた夕刻、風は残っており、坂ではニイニイゼミの声が薄く立ち上がる。丘…

2017/7/8, Sat.

正午前の炎天下、不要な木材を鋸で切り分け汗だくになって以降、肌のべたつきが取れなくなって、夕刻、職場に出る前に湯を浴びることになった。浸かっていると、外から虫の音が入って来て、随分と蜩に似た声だなどと思っていたところが、支度を整えて居間の…

2017/7/7, Fri.

洗濯物を取りこもうとベランダに出ると、光線が肌に強く、染み入るようで、陽の色に明るく照らされた眼下では、緑が絶えず緩く揺らいでいる。このなかを歩いて行くのはさすがに骨折りだと、出かける母親の車に同乗させてもらい、医者の間近で降りた。身を包…

2017/7/6, Thu.

午後三時を過ぎた頃、窓の外に葉を打つ音が散らばりはじめて、詰まった響きの雨が始まった。しかし同時に、白い家壁に重なる陽の明るさも垣間見える。前日は持っても使わなかった傘を今度はひらいて家を発つと、坂の上から風が、大きく涼しく走って来たが、…

2017/7/5, Wed.

陽の色の窓に見えて、爽やかな空気の流れるなかに起きたところが、午前が尽きるにつれて曇り空となり、モニターを前にした肌にいつの間にか汗をかきはじめている。出かける直前には雨が始まって、ざっと流れてすぐに衰えはしたが、大気の気配の定めがたさに…

2017/7/4, Tue.

鶯の鳴く声の、久しぶりに窓の外に盛んに立って、その合間に時鳥の音も差し込まれて届く賑やかな昼間だった。そこから少々下ってから出た往路、夜から台風が来るとか聞いていたが、確かに涼風の先触れはなくとも、真白く起伏のない空と小暗くくすんだような…

2017/7/3, Mon.

布団の下で、肌に汗を溜めて寝覚めた朝だった。東京でも三五度に迫る猛暑で、雲はあって晴れきるでないが、眠りの少ない身体が暑気に頼りない。一一時を迎えて出た道に風はあり、坂の落葉は乾いて茶色く左右に積まれ、そのなかを駅まで行ってベンチに座ると…

2017/7/2, Sun.

曇り日でありながら暑気は盛り、何をせずとも部屋にあるだけで汗が身を包んで粘る有様、七月に入っていよいよ夏も奮ってきたこの日、祖父の命日である。しどけなく転がって西行の和歌を読んだり、麻婆豆腐を拵えたりして日中の熱気をやり過ごしての暮れ方、…

2017/7/1, Sat.

雨の予想の、高さは聞いていた。昼を過ぎて出れば実際、散るものがあるが、降り出しというよりはむしろ降り終えのかそけさに、傘を持つ気にはならず、盛れば盛ったでどうでも、と払った。街道まで来ると落ちるものの間がやや狭くなり、顔に掛かってくる水に…

2017/6/30, Fri.

前夜は窓の奥、遠くで、雨の気配が幽か兆しながらも降りまで結ばれずに収まることを繰り返したのち、三時の遅きに到って、さすがにもう眠ろうという瞑目の内に始まった。午前は降り続き、墓参に出た正午過ぎ、止んだなかに風は立たず、せめて涼気が寄ってく…

2017/6/28, Wed.

木の下にも、暖気の漂って身に触れる曇りの昼下がりだった。空は大方白く、雲も厚く思えたが、綻びに青さがちらほらと見えてもいたようで、坂を抜ければ薄陽が眼前に浮かぶ。離れた電線で声高に、曲線的な鳴きを上げている鳥を、画眉鳥らしいと聞いてから表…

2017/6/27, Tue.

靴を履いて玄関を出る間際に、密閉された車に長く乗って酔った時のような疲労感が、鼻筋から眉間のあたりをかすかに通った。気付けば身体も、微熱ほどですらないが熱を持っており、四肢の先に頼りないようなぶれを感じる。その肉体を外の空間に慣らすように…

2017/6/25, Sun.

道を前から、風が滑ってくる。通りがかり、下方から昇って一瞬耳に触れた沢音と、肌を包む風の湿った柔らかさに、確かに雨が落ちてきてもおかしくはない気配を覚えた。高い降水確率を新聞の予報に見ていたが、玄関で傘を取る気にはならず、今更戻る気もなく…

2017/6/24, Sat.

窓から覗く空気の日影に色付いて、部屋内にも暑気が入ってわだかまる夏の風情に、この陽のなかを歩いて行くのはと怯んでいたところが、昼が下るといくらか雲が掛かって和らいだ。三時過ぎの坂には大きな葉鳴りが渡り、吹く風は厚いが重みはない。しかし途切…

2017/6/23, Fri.

仄かに陽の色の窓にあるなかで起き、枕の上に就いて瞑目しているそのなかで、風が一度、窓外に膨らんだ。カーテンをすり抜けてその裾が肌に触れてくるのが、起き抜けの、まだ暑さの移っていない身体に爽やかだった。その後の日中は蒸し暑く、服を脱いで肌を…

2017/6/22, Thu.

モニターに向かい合っていると身体が温みを帯びて蒸し暑い曇天で、夕方に到っても雲は晴れず、出ると前日の水気がまだ残っているところに、気温が上がって染み出したものか、湿った植物の匂いが大気に混ざっていた。木の間の坂を上るあいだは正面から風が走…

2017/6/21, Wed.

目覚めると、雨の響きのなかにいた。枕に腰を乗せ、瞑目して耳を寄せるうちに宙を走る雨音の拍車を掛けて迫るのに、耐えるようにしていたが、じきに音がほぐれたようになって空間に沁み、耳にも馴れたなかから、救急車の音が薄く伝わってきた。雨はなかなか…

2017/6/20, Tue.

昼下がりに到ると淡い雲が出てきて、陽の色味がやや抑えられ、粉っぽいような明るさの南窓だった。久しぶりに三〇度まで上がるらしく、シャツを着るとそれだけで、肌に触れる布地の感覚が煩わしいような夏日である。木の下の坂を行くあいだから既に汗が滲み…

2017/6/19, Mon.

覚めた窓は白く満たされていたが、じきに晴れに移行し、久しぶりに気温も高くなった日で、温めた豆腐を食えば肌着の下の肩が熱を溜める。それなのでシャツを脱いでアイロンを扱ったあと、仕事着になって出た夕刻、木蔭の坂を行くあいだは空気の軽さ柔らかさ…

2017/6/18, Sun.

玄関を出ると、夕刻に、雨がぱらぱらと落ちはじめていた。身一つならば気に掛けるものでないが、紙袋に詰めた本を見れば、繁くなった場合にそれらを守る術がないのは難儀で、傘を持つか少々迷ったが、持てば持ったで荷の多さが煩わしく、募るまいと根拠なく…