2017/9/21, Thu.

茶を用意しながら居間の南窓を見通すと、眩しさの沁みこんだ昼前の大気に瓦屋根が白く彩られ、遠くの梢が風に騒いで光を散らすなか、赤い蜻蛉の点となって飛び回っているのが見て取られる明るさである。夕べを迎えて道に出た頃にはしかし、秋晴れは雲に乱さ…

2017/9/20, Wed.

深夜、読書中。窓も閉ざした静寂のなかにカネタタキの声が突然、定かに立って闖入してきて、目を覚まされたようになる。

2017/9/19, Tue.

室内に暑気の漂う晴天が続き、この日も三〇度まで上がると聞く。モニターに向かい合って日記のためにメモを取っていると、背後の窓の先から、ツクツクホウシか、ちりちりと低く燻る蟬の声が立って、もうそんな力もないものか、高まらず鳴きに繋がらないまま…

2017/9/18, Mon.

前夜の遅くには吹き降りになって家がごとごとと鳴らされてもいたが、明けて台風一過、夏がいくらか戻ったように、居間の空気に熱が漂う晴れの昼だった。家の傍の道では数日前から人足が出張って、林から伸び出した枝葉が電線に及ばないようにというのだろう…

2017/9/17, Sun.

立川、六時。暮れの青さに浸った空から雨が降り続く。高架の通路から見下ろす道路に連なった車列の、テールランプの無数の赤。ビルの合間や路上に浮遊する光が雨と混ざって、宙空が靄っている。 * 夜、最寄り駅、薄雨。電灯の暈のなかで細かな粒が風に流さ…

2017/9/15, Fri.

風はあまり吹かなかったらしく、その質感の覚えはない。しかし、樹に囲まれた上り坂を抜けると、気温が一昨日昨日よりも一段下がったらしいと、肌に感じる涼しさの確かな夕べの道だった。空気の蒸す感触もなく、街道に出て仰いだ空の、西まで雲が張って僅か…

2017/9/14, Thu.

普段よりも遅い七時前の出になり、涼しげな空気のなか、坂に入ると既にアオマツムシが木立の方から鳴きしきっている。いつもと違う宵の口の往路に、気分も少々異なって、周囲の暗がりに迫られた視界が狭いようで何とはなしに、現実感が稀薄なようだった。 男…

2017/9/13, Wed.

彼岸花のひらきはじめた時季である。暮れも近い五時から出かけると、林の横を通るあいだに次々と落ちるものがあり、見れば足もとには若緑色の団栗が葉をつけたままでたくさん散らばって、踏み砕かれた実の粉で道に薄茶色が差している。蒸し暑い日で、外に出…

2017/9/12, Tue.

蟬の声のもうない坂に、替わりに鵯が盛んに鳴きを降らしている。木下坂を出てからも道端で別の一匹の張り上げるその声が、蟬があたりを占める前、春に聞いたものの記憶よりも、乾いたような、掠れたような風に聞こえた。 裏路地を行っているあいだに雨が落ち…

2017/9/11, Mon.

陽のある床で覚めてしばらく、窓辺に留まっていると、ミンミンゼミの生き残りが一匹、遠くからかすかな声を伝えてきた。食事中、外の林に風の音が起こる。風呂場で身を屈めながら浴槽を擦っている最中にも、飛行機が来たかと一瞬錯誤するほどの唸りが耳を通…

2017/9/8, Fri.

端々に陽の色が覗きながら空には雲も多くて、晴れと曇りの移り変わりの素早い昼だったようだ。雨を思わせるほどに薄暗む時もあったが、午後も深くなって出た頃には晴れ間がひらいてその気配も失われていた。風が、吹くと言うほどではないが途切れずよく流れ…

2017/9/7, Thu.

昼日中から薄灰色に沈みきって既に日暮れのような雨もよいに、室内もよほど暗んで、コンピューターのモニターが目に悪いほどになる。窓の内からは降っているともいないとも定かにはつかず、音もなく、ただ霧っぽい白さが湧いているのを見ていたが、夕刻を迎…

2017/9/5, Tue.

昼、鈴虫が、窓の外に鳴いている。気温がやや高戻った日で、蟬もいくらか合わせて鳴いて、夏の虫と秋の虫の声が両方入り交じる。季節がちょうど、跨ぎ越されている頃合いらしい。昼過ぎにベランダに出ても、曇天を透かして暖気が漂っており、その後、室内に…

2017/9/4, Mon.

林から湧き出す蟬の音の、薄く疎らな七つ時に発ち、坂に入ればそこでも虫は退いて、鳥の声が替わって落ちる。木立のなかをいっぱいに占めていた蟬の覇権も、そろそろ終わりに近い。曇天を頂いて、冷たさに結実するほどでないが、かなり秋めいた涼しさが肌を…

2017/9/2, Sat.

四か月の赤子を連れて兄夫婦の遊びに来た休日、寿司など取り、またほかにも卓の上や狭しと諸々並べて豪盛にやったあと、たらふく詰めこんだ腹を助けに散歩に出た。既に一〇時が近かったはずで、半ズボンから露出した膝のあたりが肌寒い。虫の音の満ちる夜気…

2017/9/1, Fri.

遅く起きた午前、窓には青々と、偏差なく晴れて一筋の乱れも見せない空が映るが、もはや夏の空気でない。窓辺に風のするすると、湧き水めいて流れこみ、時折身体の上でうねるのが起き抜けの肌を震えさせた。秋晴れの空は昼過ぎから曇り、道に出た夕刻には全…

2017/8/31, Thu.

曇り空のなか東南の、市街のあたりの空に灰色の雲が重ねられている。各々引かれた段の滑らかに混ざらず区切りの明瞭な、子どもの拙い手で雑に塗ったような雲である。街道に出ると、排ガスの臭いの混じった風が湧くが、流れるものに湿り気はなく、むしろ乾き…

2017/8/30, Wed.

七時台に一度覚めても、前夜と変わらず鈍い痛みが顔の奥に居座ったままだった。出先に長く留まって活動してきた夜など、頭痛を起こすことはしばしばあるが、眠りを跨いでも痛みが抜けないのは珍しい。ひとまず起きて、効くかどうか疑わしかったが風邪薬を飲…

2017/8/29, Tue.

誰が依頼したのか知らないが、昼頃から人足の出張る姿が近所に見られて、こちらが出かける頃には仙人草の群れは完全に駆除されていた。毒を持っており、触れると皮膚炎を生ずると言う。その草のことを知ってから改めて歩いてみると、道端に生えているのをい…

2017/8/28, Mon.

温もりはかすか、腹のあたりに寄ってくるものの、全体に涼しげな朝の街路である。表から裏へと折れてすぐ、盛りの百日紅の紅鶸色が家と家の合間に差しこまれているのが道の先に覗き、通りざまに横から見上げると、鮮色の満ち満ちたなかにまだひらいたばかり…

2017/8/27, Sun.

起き上がって枕に腰を乗せた窓辺に、細い湧き水のような、清潔なそよ風が流れ入る。陽の明るさに布団を干し、もう晩夏だが今年初めての西瓜など食べたのち、四時になって家を出た。すぐ傍の駐車場の脇から白く小さな花が咲き群れて、地から伸び上がり柵にま…

2017/8/25, Fri.

一週間の労働もこの日で終い、済めば二日の休みが待ち受けている金曜だが、それを思っても気持ちは特段晴れ晴れとせず、気怠いような朝の出発となった。昨日とは違ってこの日は風が走らず、坂に落ちる葉もなく、ただ蟬の声だけがうねりながら降る。街道を越…

2017/8/24, Thu.

続く暑さのせいで眠りの質が落ちでもしたか、身体のこごって頭が鈍く、脚も固い朝の道だった。家を出ると、林から葉が降っている。坂に入っても、まだ薄緑を余したものも茶色く変わったものもそれぞれに降って、風も感じられないのに、と思って上って行った…

2017/8/23, Wed.

目を覚ましてカーテンをめくると、久しぶりで晴れ晴れとした、濃く締まった青さの空が見られた。三四度まで上がると言われる猛暑が訪れ、早朝、家にいるあいだから肌は汗ばんでいた。行く手に太陽の浮かぶ朝の道は眩しい。しかしそれほどの陽射しの圧でなく…

2017/8/22, Tue.

朝の道に、久しぶりで薄陽が洩れている。さほど湿気た空気でもなく、閉塞感にも囲まれず、どちらかと言えば開放の感覚が大気中にあったようだ。裏路地の途中で陽射しがやや強まって、眩しさに視線を上げづらくなるが、熱が身体の前面に掛かってもやはり大し…

2017/8/21, Mon.

夜半頃から降り出した雨の名残があって、路面は湿り、やや霧っぽい朝の道だった。街道から見通した先の丘も姿を薄めて、空は鈍く濁った灰青に静まっている。裏路地に入ると、網状の蓋を四角く嵌められて排水口から、増水した流れの響きが吐き出されていた。…

2017/8/20, Sun.

大層な寝坊をして昼近くに覚めると、寝床が薄陽のなかにあった。久方ぶりの暑さと思ったがじきに曇って、図書館に向かう道中、木下坂を抜けると脇に停まった車の黒いガラスに、うっすら白い西の空が映りこんで太陽は稀薄に印される。東は水底に立つ砂煙のよ…

2017/8/19, Sat.

分厚い蟬の合唱が坂の全域に降って頭を包み、耳を聾せんばかりの、内に入りこんで侵さんばかりの騒がしさである。低みからは、連日の雨で勢いを増しているらしい沢のざわめきが加わっていた。雨も伝えられる曇り空だが、最寄り駅へと上る合間に肌は汗ばむ。…

2017/8/18, Fri.

玄関を出ると、湿り気の肌を囲んで重いような朝だった。低みに走る川から靄が湧いてわだかまっており、ある高さを境にぴたりと切れてまっすぐな上端を印すその濁りの、電線のあいだに見れば隙間なく緻密に蜘蛛の糸が張られたようだった。数日籠ったあとの外…

2017/8/14, Mon.

どこかの街に出かけて行きたい気持ちがあったが、同時に、起床が遅かったこともあって億劫でもあり、特段の目的地が思いつかずに結局自宅に留まったその代わりに、夕食後には軽い格好で近場を歩いて回った。昼に降っていた雨は大方止んでいたが、いまだぱら…