2016-12-23から1日間の記事一覧
帰路は雨が強まっていた。傘をひらいて道に出れば、即座にばちばちと鳴るものがある。久しぶりに駅前から表に出ることにしたのは、雨の日の大通りの、光が増幅されて明るい賑やかさを好んでのことである。居酒屋も大してないような侘しい田舎町だが、その僅…
ベランダへ続くガラス戸をひらくとこの日も眩しい光が瞳を射って、物干し竿の銀色のなかに表面が削れて素地が露出したかのような白さが宿っている。太陽は西の正面、冬もだいぶ進んで、二時でも林の樹冠に近い。洗濯物を室内に取りこむあいだ、風が吹き通る…