2016/10/19, Wed.

 肌寒さはなく、むしろ少々蒸すくらいで、着けたベストも不要だったかと思われたくらいだが、光はなく、街道に出て見上げると青灰色の雲が縁まで押し広がって空を浸しているばかり、中空に目を向けてみても、まだ四時前のわりにひどく澱んで暗い感じがした。

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 知らぬ間に、雨が軽く降ったようである。歩く途中に裏通りから表のほうを見やると、湿った路面に信号の赤が、かき氷の上に掛かったシロップのような、化学的な色合いで染み広がっている。