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2016/11/16, Wed.

 シャツやエプロンに器具を当てながら、例のごとく窓外を見れば、南の山は橙や臙脂の色がところどころに差しこまれて、斑に彩られており、鮮やかではあるが、それを囲む緑も含めて目に触れるのは老いた乾きの感触で、まるで黴のようでもある。陽射しがあれば艶めいていくらかの潤いも出ようが、朝はあれほど旺盛だった光も、いまはどこからか渡ってきた雲があるかなしかの段を作りながら空を白く埋め尽くして隠している。

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 家を出発して歩いて行き、坂に入ってすぐのところで、木の間から覗く川近くの細道の途中に、去年も見ては一色に染まって天を指すその有り様が炎のようなと感じていたが、銀杏の木が今年も、黄色に装っている。下端の方に僅かに、青さを残して散らしてはいるものの、細く上空を向いた先端までひと色に燃えあがるようなのが、しかし今年は炎のイメージよりも、まじまじと視線を送ってみるとまるでそれ自体一つの巨大な葉のようなと、別の比喩が浮かんだ。

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