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2016/12/21, Wed. 

 ベランダへ続くガラス戸をひらくとこの日も眩しい光が瞳を射って、物干し竿の銀色のなかに表面が削れて素地が露出したかのような白さが宿っている。太陽は西の正面、冬もだいぶ進んで、二時でも林の樹冠に近い。洗濯物を室内に取りこむあいだ、風が吹き通るが、それが肌から内に染みこんで、何にも妨げられずにそのまま身体の反対側までくぐって通り抜けて行くような心地よさだった。

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 アイロン掛けを始めたのだが、炬燵テーブルに置いた台の前で器具を操りながら、欠伸を洩らして、さらにふと目を上げると窓外に覗く風景に緑の色が強いように思われた。少し前までは紅葉を混ぜこんでいたはずの川沿いの木々は、いまはもう褪せ気味の緑一色で、光で稀薄に均されたなかに弱い色味は薄らいで、浮かびあがってくるのがそれだけらしい。山には辛うじて樺色が僅かに孤立して見えるが、そのほかには葉を落とした木々の枝葉の連なりが縦に走って、ごわごわとした動物の毛のようである。

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