2017/1/24, Tue.

 七時過ぎに覚めた時、カーテンを引いた窓を向くと、薄い一色の青空のなか一箇所だけかすかに、爪を押しつけたような痕が刻まれているのを見た。端まで空に浸食されてひどく細く孤を描いている、去り際の月である。陽は室内に向けて照射されていて、ガラスの向こうの至近に掛かった朝顔の蔓が、明るい黄赤に熱されて木彫り細工のように無骨な質感に映った。

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 街道を見通せば東の空には紫の薄帯が引かれて煙り、千切れ雲が周囲に浮かんでいる。頭上から帯の上までは暮れ方の淡青が広くひらいて、帯を挟んで下側はまた青だが、それが上のものよりも色味が厚く締まっていて、目に緑の感も仄めくようなのが不思議に思われた。葉書をポストに入れて、細道から裏に入ろうと曲がって西空に目をやれば、山際は白く褪せており、裏側から残光に当たられた雲が強く象られて際立ち染みとなっている。