2017/2/7, Tue.

 往路、濡れたような薄暗い夕刻。下部の欠けて岩石めいた薄白い月が、凪いだ夕青の空に浮いており、頬紅のような暈も殊更に広がらずうっすらとその周囲を彩っている。空気はよく動いて、風が耳元でばたばたと音を立てる。

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 帰路、裏通りの空気は相変わらずよく動くが、そのなかに耳をざらつかせる冷たさがないのが、冬の通過と春の近づきを感じさせるようでもある。月はあまり位置が変わってはいないが、夕方よりも随分と高く、ほとんど天頂と言うべき奥処に掛かってそこが空の中心のようである。