2017/3/12, Sun.

 四時前に家の前の掃き掃除に出た。絶えず動いてやまない外気のなかに身を置けば、それだけで、屋内の停滞にこごった気分がふっと改まるような感じがする。道先には傾いた陽の手が淡く伸びて路上に触れており、こちらの玄関先は北側で、陽の手はここまで入ってはこないものの、空気は、白っぽくても肌に柔らかく馴染んだ。散っている葉も少なくて、時間も掛からずに大方集めてから箒を立て、鳴りを流して揺らぐ林の緑葉の群れを眺めた。まだくすみがちの色が多いが、それでも色の内に春の兆しが見えるような気もするなかに、黄味混じりの、一層軽くほぐれた竹の葉の房も差して暢気そうに、緩慢に動いている。視線を右に振ると、上り斜面になった竹林の足もとに、山茶花だろうか、一際濃く詰まった緑が溜まっているのが、葉の一枚一枚から薄明るさを跳ね返すようで目に立った。