2017/3/14, Tue.

 往路の空気はぬるめで、道に湿りが残っていたが、西の、白さの薄くなった箇所に陽がかすかに溜まって、曇って平坦な空気の調子もほどけはじめていた。街道前の角でガードレールの内に生えた紅梅は、少し前には衣のように隈なく身につけていた花をだいぶ散らして、枝が露出しはじめていた。表を渡って北側の裏通りを行くうちに、背後から陽射しが次第に露わに洩れ出してきて、あたりが仄明るんだところに、米粒のように地に散った白梅の花弁を見、その木に止まっているのか、頭上に弧を描いて張られる鵯の声を聞いた。