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2017/4/28, Fri.

 風があっても心地よい涼しさに留まる、空気の軽い往路である。空は、東の方には晴れ間が見えるが、頭上のあたりから雲が湧いていて、西ではそれが一面に拡大され、波の弱い浅瀬めいて柔らかな薄灰色が落日を隠しきっていた。街道に出て歩いていると、車の途切れた隙に軒から発った燕が一匹、道路の上に切りこんで、演舞のごとく滑らかな曲線を描いて飛び回り、また軒下の巣へ帰っていくその動きに、思わず目を誘われる。ほかにも燕が何匹も、粒立ちの細かな鳴き声を降らせながら、屋根や電線を伝って行き交う春の夕べ道である。行くうちに行く手ではいくらか雲の布置に変化もあったが、裏から振り返った西空は変わらず白銅色の均質な平面で、太陽の姿は見事に覆われて雲の先のどこにあるのかその痕跡すら窺われず、暗くはないもののあたりに陽の色の一片もなくて地に影も湧かず、見えない光の気配としては東の正面に澄んだ空の青と、そこに浮かぶ灰色雲のなかに白く塗られた縁のその色くらいのものだった。

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