2017/6/23, Fri.

 仄かに陽の色の窓にあるなかで起き、枕の上に就いて瞑目しているそのなかで、風が一度、窓外に膨らんだ。カーテンをすり抜けてその裾が肌に触れてくるのが、起き抜けの、まだ暑さの移っていない身体に爽やかだった。その後の日中は蒸し暑く、服を脱いで肌を晒す時間も多くあり、暑気のせいかやけに気怠く睡気が湧くのに、英語を読んだあとには微睡みもした。
 夕刻に出れば薄白い曇天が涼しくなっており、これならと思ったところがそれは錯誤で、涼気を覚えてから三分も経たず、坂を上りながら既に汗が滲みはじめる。風はある。街道では正面から走ってきて身を柔らかく包み、道中もそれなりに通って、空気に熱の籠った感触も定かにないが、湿り気はよほど強いらしく、背に肌着が寄り付いてきて冷たくなるのに、梅雨入り以来最も蒸した夕方ではないかと見た。
 前日と同様、帰りは身体が、とりわけ腰がこごっており、今週の勤めはこの日で仕舞いだが、解放の気楽さも特段なく、丹念なように歩を運んだ。星も前夜と同じく、赤味がかった一つが明かり、しかし少々低くなったようで、加えて今夜はその上方、天頂近くにもう一つ、仲間があった。帰り着いたあとは久しぶりに、服を脱いですぐ食事に向かわず横になってしばらく休み、風呂を済ませたあとにも眠ってしまい、そのうちに夜半に深く入りこんでいた。書くことを書かねばと椅子に腰を据えて三時を回り、目はモニターの光を受け脳は言葉を巡らせたためか、意識が興奮して固く冴えたようで、睡気の小さな灯しもない頭を、西行の歌を読みつつ落着けて、未明の青さが洩れてこないうちにと明かりを消した。