2017/7/18, Tue.

 前夜の帰路には既に雨の近づきを感じていたが、それがこの昼の二時前、驟雨となって顕在化した。窓の外が暗く沈んできたのにそろそろ来るなと洗濯物を仕舞ってからまもなく、降り出しから棕櫚の葉に当たる音の高くて、水を一気に零したような雨が始まり、早々に盛って、一時は窓ガラスに打ちつけるもので景色が歪んで流動化するほどだった。じきに終わって晴れの気配が見えたかと思いきやまたにわかに曇って降りはじめ、続くあいだも振れ幅が大きく、雨音が高まっては次の瞬間には収まり、近間に素早く滑りこんでは引いて行くのが、妙な言い方だが、機動性の高い雨だった。
 続いた時間は短く、三時半に出る頃には止んでいて、また降ってはと念の為に傘を持ったがこれは使う機会がなかった。まだ雨が残っているかのような水音が林のなかから立ち、露わになった陽射しにアスファルトからは湯気が立って、空気の流れに合わせて低く這いながら回転している。光には力があるが、たびたび流れる雨後の風が涼しくもある。裏道に曲がると、集合住宅の横、小公園の木からだろう、陽色の通った空気のなかにミンミンゼミの声が響くのが、夏めきを感じさせないでもなかった。数日前、自室にいるあいだに遠くで立つのを耳にしていたが、すぐ近くで鳴く声を受けるのは今夏初である。
 前日に続き、夜道には風がよく吹き通る。今日は冷たさを感じるほどの涼気ではないが、昨日より全体に気温が低いようで、実に久しぶりに、シャツの内が汗でべたつくことのない、心地の良い夜歩きだった。