2017/8/4, Fri.

 早朝、新聞を取りに玄関を出ると、視界の端を擦るものに気が惹かれ、そちらを見れば雀の一団が地面に飛び降りているところだった。滑らかな軌跡で下草に降り立ってしばしののち、同じ流麗さでもって電線に戻り並んだ雀たちの、遠目に造型も定かならず、朝の潮垂れた明るさのなかで枯葉のように茶色く褪せて見えた。前日に変わらぬ曇りの空だが、八時の出勤路には蒸し暑さが始まっていた。街道沿いの公園からは、ミンミンゼミの叫び声が周辺に広く放射されて車の音より騒がしい。この朝も眠りは少なかったはずだが、もとより脚が軽く、睡気もなくて、肉体がぶれることなく非常にまとまって落着いている感じがした。ピンクの百日紅は一日ごとに色濃く充実して嵩を増すかのようで、路上に落ちたものよりも、枝先から近く塀の上に溜まった花の方に目が行く。
 この日も帰路は電車を取って、最寄りを降りて坂に入り際、濁った白さに塗り重ねられた雲の灰色に、瞬間雨の匂いを嗅いだ気がしたが、結局一日、降ることはなかった。家の前まで来ると、白い蝶が二匹、連れ立ってうろうろと宙を舞っているのに行き会って、しばらくその様子を眺めた。まもなく一匹が低木の枝葉のなかに隠れて止まると、もう一匹もその傍につき、相手をしつこく口説くかのようにその場に留まって、動きを休めることなく羽ばたいていた。いつまでもその構図が破れないので、もう家に入ろうと戸口に向かって階段を上りかけたところで、二匹はまた宙に戻って、時々触れ合いながら舞っていたが、じきにふっと離れて左右に別れ、ふたたび合流することなくそれぞれの方向に消えて行った。

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