2017/8/7, Mon.

 血の巡りがまだ鈍く、陽射しの露わなのにも怖気づいて、朝の出勤に電車を選んだ。肌に熱が押しつけられ、さらには貼りつけられるようだが、思いのほかに身体は定かで、それほど重さも感じず揺らがなかった。駅に行くまでは雲が湧きつつもどちらかと言えば青空の印象が強かったものの、電車内から南の町並みを見晴らすと、雲は多く、西の丘から天頂付近まで広く蔓延している。降りて職場に入る直前、東空から雲を貫き注ぐ光が、純白に烈しい眩しさだった。
 帰路も電車を取り、乗りこんで扉に寄ると、外で絶え間なく風の吹いていることが目に見えてわかる。近くの欅は枝葉を振り乱し、丘の濃緑はどこを見ても流動的に蠢いてやまず、線路の周りに生えた低い下草までも左右に靡いて伏している。雲は白く濁って厚く、丘の向こうから押し出しており、景色のなかに雨の予兆が明らかだった。台風が近づきつつあるとは聞いていた。降りて道を行くあいだはまださほど暗くはなかったが、帰って食事を取っているうちに空気が薄暗く沈んできて、そろそろ来るかと窓に視線を上げれば、音もなく既に始まっていた。しばらく静かに流れていたが、じきに盛って窓に打ちつけるようになり、その後不安定に、潮を模すように時折寄せてはすぐに引きながら、夜まで執拗く降り続けた。