2019/4/6, Sat.

 一一時三五分起床。熱烈な太陽の光の恩恵も虚しく、だらだらと床に留まってしまう。何故これほどまでに起きられないのか?
 上階へ。台所で立ち働いている母親に挨拶。ジャージに着替えてから便所に行って排便を済ませ、戻ってくると五目ご飯をよそり、その他薩摩芋と焼売の乗った皿や、フライドチキンの最後の一本を温める。そうして卓へ就いて食事を始めた。テレビは初めのうちはキューピーの三分クッキングを映しており、昔ながらのカスタード・プリンが作られていて、母親はそれを見て美味しそうと声を漏らしていた。次に、天気予報が始まる。大方晴天と春の陽気が続くようだが、来週の水曜日のみ雨が来て気温も最高で一三度程度まで下がるようだ。新聞からは英国のEU離脱関連の記事を読んだ。四月一二日までに英国議会内での離脱案の合意が間に合いそうにないので、六月三〇日までの離脱期限再延期をEU側に求めるとのこと。
 母親は今日は二時頃から甲斐甲斐しく父親の見舞いに行って、夜には自治会関連の集会があるらしい。食事を終えたこちらは抗鬱剤ほかを服用し、コップの水を飲み干してしまうと、母親の分もまとめて食器を洗った。それから僅かに残っていたモナカアイスを母親と半分ずつ分けて、小さな塊を口に入れて階段を下り、自室に戻るとコンピューターを点けた。時刻は一二時二〇分ほどだった。しばらくだらだらとしたのち、一時直前になってFISHMANS『Oh! Mountain』を流し出し、前日の日記の作成に掛かった。仕上げるとこの日の分もここまで綴って、現在一時半ぴったりを迎えている。
 それからしばらくして、母親がベランダから洗濯物を取り込んでいるらしき気配が伝わってきたので、部屋を出て階段を上った。ソファの裏、ベランダに続くガラス戸の前に取り込まれた洗濯物が小山を成している。そこからタオルやジャージなどを取り上げて、ソファの背の上で一つずつ畳んでいった。畳み終わったタオルを持って洗面所に行き、籠のなかに置いておくと、ついでに風呂を洗った。浴槽に洗剤を吹きつけて擦り、シャワーで流したあと、自室に戻って、二時ちょうどからベッドで読書、川上稔『境界線上のホライゾンⅣ(上)』である。それから三〇分ほど読むと、次に加藤二郎訳『ムージル著作集 第一巻 特性のない男Ⅰ』に移行した。四時半頃までは比較的はっきりとした意識で読んでいたのだが、その後は例によって眠気に苛まれ、薄布団を身体の上に掛けて休んでしまった。毎度毎度学習のない怠惰ぶりだが、やはりベッドの上にいると眠くなってしまうようなので、楽な姿勢を取らずに椅子に座って読書をしたほうが良いのかもしれない。四時半過ぎから休みはじめて、結局母親が帰ってきた六時頃まで床に伏したままだった。絶望的な堕落である。それから身体を起こして上階に行き、モヤシを茹でてくれと言うのに従って水の入ったフライパンを焜炉に掛け、強火で熱し、沸騰したところでモヤシを投入する。ちょっと経つと笊に茹でこぼしておき、さらに小松菜を茹でるべくもう一度フライパンに水を汲んで火に掛ける。沸騰を待つだけの手持ち無沙汰な時間がしばらく続いたあと、小松菜を投入し、二、三分茹でたところで洗い桶のなかに取り出した。水を流し込みながら小松菜を手で掴んで洗うようにし、水を取り替えてもう一度同じことをすると、二本ずつ取り上げて絞り、俎板の上で切り分け、小皿に乗せておいた。食事はほか、五目ご飯があって鮭も残っているので、簡単だがそれで良いだろうと母親は言い、こちらとしても異存はない。汁物にはカップ麺でも食べれば良いかと思っていた。それで仕事は終わったので自室に帰り、六時半から「記憶」記事の音読を始めた。北アイルランドの国境状況について、二月二四日に行われた沖縄県民投票の結果について、それから前夜に読んだ小川淳也議員の演説から引いた記述などを読んだあと、前の方に戻って、新崎盛暉『日本にとって沖縄とは何か』からの情報を復習していった。それも通り抜けると大田昌秀知事のインタビュー記事から引いた項目。先の大戦中に本土から沖縄にやって来た兵隊が防空壕に押し入ってきて、敵軍に見つからないように母親の抱いた幼子を殺すよう強要する、そんなことが毎日のように起こっていたという彼の証言は何度でも読み返す価値がある。音読中のBGMはAntonio Sanchez『Three Times Three』。七時に至ると中断し、日記を書き足して七時二〇分。
 食事を取るために上階に上がった。母親は自治会の会合で既に出かけており、居間は無人である。台所に入ると、おかずとしてフライパンにウインナーがボイルされてあった。そこから五本を取り、そのほか炊飯器に残っていた五目御飯はすべて払ってしまい、小松菜の皿を持って卓へ。さらに、賞味期限が迫っている豆腐を食べねばなるまいというわけで、三個一パックのものを二つ大皿に乗せて電子レンジに突っ込み、二分間加熱した。
 そうして卓に就いて、自分以外に誰もいない静寂の満ち渡ったなかで食事を取る。ものを食べる片手間に新聞をひらき、いくらか文を追う。まず二面の、「「辺野古」承認 効力復活へ 国交相 撤回処分取り消し 沖縄県 提訴を検討」の記事を読んだ。それから国際面に移ると、「趙紫陽氏追悼を警戒 天安門事件 名誉回復 拒む政府」の記事がある。趙紫陽という総書記の名は初めて聞いたが、天安門事件で学生らに同情的な見解を示した咎で失脚したと言う。死者を弔う清明節に当たって、彼の自宅周辺に警官五〇人以上を配置して厳戒態勢を敷いたとのこと。今年は天安門事件から三〇年である。六・四天安門事件自体、胡耀邦総書記の追悼集会を発端としたものだと聞いているから、同じような動きが発生するのを警戒したのだろう。「事件を巡っては3月、事件の再評価を求めた清華大の許章潤教授が停職処分となった」り、事件に関する著作を出版していた学者が国外旅行を阻まれたりしており、天安門事件はまだまだ当局にとっては国家のタブーとなっているようだ。上記の記事に並んで、「人権活動家4人 有罪 四川省 事件風刺の酒ラベル」という記事も置かれていたのでこちらも読んだ。
 食事を終えて台所に行き、水を飲んでいると電話が鳴った。出ると、消防署だと言う。自治会長である父親に挨拶の電話だと言ったが、入院中で不在である。自分は息子の方だと伝え、入院していると正直に話すのでなく、事前に母親に言い含められていた通り、出張中ということにして、帰りは一〇日以降になると告げた。回覧についてはわかるかと訊かれたが、自治会の方にまったく関与していないこちらには何もわからない。何か回してほしい情報があったのかもしれない。電話を切ると玄関からシャープペンシルとメモ用紙を持ってきて、一九時四五分と時間を付して内容をメモしておいた。そうして水を汲んできて薬を服用し、母親の放置していったものもまとめて食器を洗うと、入浴に行った。風呂のなかでは久しぶりに、T字剃刀を使って顔の産毛も含めて髭をあたった。そうして出てくると自室に戻って、インターネットを少々回ったあと、tofubeats feat. 藤井隆 "ディスコの神様"を流して歌い、その次にcero "Yellow Magus (Obscure)"も歌った。そうして九時一五分から、「ファクトチェック! 堤未果著『日本が売られる』 ―「6 医療が売られる」に焦点をあてて―」(http://migrants.jp/news/factcheck-nihongaurareru/)を読みはじめようとしたが、その頃には母親が帰ってきていたので、電話の件を知らせるために部屋を出た。上がると母親は、カップ蕎麦「緑のたぬき」を小鍋に移して煮ており、半分食べるかと言うので頂くことにした。彼女はくたくたに煮込んだものが好きらしい。それで電話について報告しながら麺が煮えるのを待ち、半分ずつ分けて食べると自室に戻り、先の記事を読みはじめた。それを読み終えると書見、加藤二郎訳『ムージル著作集 第一巻 特性のない男Ⅰ』である。ベッドに移ってまた眠気に襲われ、余計な睡眠を取ってしまっては時間が勿体ないのでこの時はコンピューター前の椅子に就いたまま読み、一時間ほど経って一一時頃になってから寝床に移った。「大愛国運動」あるいは「平行運動」の最初の会議が行われ、その輪郭がようやくいくらかはっきりとしてきたようである。要はオーストリア国民の力と団結を示すために、「国民の真っ只中から湧き起こる」ような一つの大きな目的を、上からの指導によって生み出さなければならないということらしい。この最初の会議では、内閣各省の形に学んで諸委員会を設置し、国民の声を吸い上げることが決定された。
 そうして、ベッドに就いて薄布団を身体に掛けていると、安穏とした温かさのおかげかやはり眠気が湧いてくるので、零時一〇分に達したところで読書を切り上げて消灯した。

 (……)ウルリヒは率直にいった。「世の中には何千という職業があり、人間はそれに没頭しています。そこに彼らの賢さがあるのです。しかしそうした彼らが、普遍的に人間的なもの、人間のすべてに共通なものを求められると、結局三つのものしか残りません。愚かさと、金と、わずかばかりの宗教的な記憶だけです!」(……)
 (加藤二郎訳『ムージル著作集 第一巻 特性のない男Ⅰ』松籟社、一九九二年、213)


・作文
 12:53 - 13:30 = 37分
 19:00 - 19:20 = 20分
 計: 57分

・読書
 14:00 - 16:30 = 2時間30分
 18:28 - 19:00 = 32分
 21:15 - 21:48 = 33分
 21:51 - 24:10 = 2時間19分
 計: 5時間54分

・睡眠
 0:30 - 11:35 = 11時間5分

・音楽

  • FISHMANS『Oh! Mountain』
  • Antonio Sanchez『Three Times Three』
  • Jose James『Lean On Me』