2019/4/23, Tue.

 八時のアラームの甲斐もなく、例によって一一時までだらだらと寝過ごしてしまう。上階へ。人の気配がないと思っていたが、父親がソファに座って静かに本を読んでいたので挨拶をする。台所に入ると、炊飯器の釜が外され、調理台の上に逆さにして置かれてある。冷蔵庫のなかに筍ご飯が入っているとの声が父親から飛んでくるので、冷蔵庫をひらいて味噌汁の小鍋とご飯の乗った皿を取り出し、鍋は火に掛け、ご飯は電子レンジに入れて二分間をセットした。お玉で搔き混ぜながら味噌汁を加熱し、先に温まった汁をよそって卓に運んでから戻ってくると、ご飯の方もあと数秒で加熱が終わるところだった。電子レンジから取り出して卓に運び、新聞の一面からスリランカのテロ事件の続報を追いながらものを食べる。犠牲者は二九〇人になったとのこと。日本人一人を含む。イスラム過激派の関与が濃厚でありながら、国内の組織だけではなく国際的なネットワークが背景にあるのではないかとの見方が述べられていた。食事を食べ終えると薬――アリピプラゾール三ミリグラムに、セルトラリンを二錠――を飲み、皿を洗って下階に帰った。二一日の日記を書き進めなければならないところなのだが、やる気が湧かず、ベッドに乗って安穏と読書をしたい気がしたので、前日の記録を付けてこの日の記事を作成したあと、神崎繁『内乱の政治哲学――忘却と制圧』を持って寝床に移った。昨夜からずっと窓を開けっ放しにしており、さらには格好も上は肌着のシャツだけと涼しいものだったが、それで寒くはない、もう初夏の陽気である。二時間半のあいだ布団を身に掛けながら本を読み続けて、二時一五分頃に至ったところで書を置き、手帳に読書時間をメモして、それから三時前まで臥位になり、目を閉じて休んだ。
 上階へ。父親は南の窓際の椅子に掛け、脚をテーブルの上に置いて高く保ちながら本を読んでいた。風呂を洗う。FISHMANS "Walkin'"のメロディを吹きながら浴槽を洗って、出てくると台所にツナマヨネーズのパンが置かれてあったので頂くことにして、卓に就いて食べた。二枚を食べ終えると下階に下り、自室に戻ってきて、Keith Jarrett & Charlie Haden『Jasmine』を昨晩の続きから流しながら、ようやく日記に取り掛かった。前日分を仕上げ、この日の記事もここまで書くのに一五分ほど費やし、これから二一日の記事を仕上げなければならない。
 四時現在、ようやく二一日の記事を完成させることが出来、負債を消化することが出来て安堵である。前日のうちに青梅市議会選の結果を青梅市役所のホームページで確認していたが、こちらの投票したT.M氏は落選だった。獲得は五三四票。得票数一位はO.Tという無所属の候補で、三一四一票。二位が緑のオンブズマン、H.N氏で、緑の党の類が彼女一人で二八五九票も得て二位で当選しているのはこの町の大きな特徴と言えるのではないか。やはり青梅市の豊かな――と称される――自然を守りたいというようなことを思っている人が多いのだろうか。
 YさんとTwitter上でやりとりをしながら、Mさんのブログを読む。一気に四日分を読み通すと四時五〇分に至り、そろそろ食事の支度に行くようだなと思っていたところにちょうど天井が鳴ったので、部屋を出て上階に行った。筍を天麩羅にすると言う。母親は家の周囲の、斜面になっている林に入って筍を取ってきたらしく、くたくたになったと言った。母親がその筍を細かく切り分ける横で、ボウルに小麦粉を振り入れ、冷蔵庫で冷やした水で溶く。フライパンには油を注ぎ、火に掛けておく。そうしてしばらくしてから揚げはじめた。三つある焜炉のうち、火勢のやや小さい左側の焜炉で揚げ物をするのが我が家の流儀である。さらに火勢の小さい真ん中の焜炉には、筍の残りを入れた大鍋を据えて、弱火で緩慢に煮込んでいく。右側の焜炉の上にキッチンペーパーを二枚敷いた大皿を載せ、揚がったものをそこに置いていく。途中から、自室から持ってきた手帳を眺めながら作業を進めた。すべて揚げきる頃には五時半を回っていた。そのほか、やはり筍と牛肉を合わせて炒めるという話だったが、一仕事終えたのでこちらは自室に下がることにして、あとは頼むと言って階段を下りた。
 Twitterを眺めつつ、Yさんと引き続きやりとりを交わす一方、神崎繁『内乱の政治哲学――忘却と制圧』を大雑把に読み返し、手帳にメモを取った。そうこうしているうちに七時になったので、そろそろ食事に行くので今日はここで失礼しますと言って食事に向かった。メニューは米・筍と牛肉の炒め物・筍の天麩羅・汁物(菜っ葉・エリンギ・玉ねぎ・豆腐)・サラダである。天麩羅に醤油を掛け、天麩羅と炒め物をおかずにしながら白米を咀嚼する。じきに父親と母親もそれぞれ卓と炬燵テーブルに就いて食事を始め、三人揃っての団欒となった。テレビは『サラメシ』。駐日米国大使ハガティ氏の昼飯をこの日は取り上げていて、これはちょっと興味深かった。やはり一般人とは異なって専属のシェフが作成した高級なものを食べているようだ。テレビを見ながら食事が終わっても卓に留まり、薬を飲んでいると、薬が少し減ったんだって、と向かいの父親が話しかけてきた。それで、アリピプラゾールが朝晩両方六ミリグラムだったのが、朝だけ三ミリグラムになったのだと説明する。お前、太ったんじゃないかと続けて言うので、自分でもそう思うと受けた。実際、体重は五五キロほどだったのが先日量ったら六五キロと一〇キロも増えていたし、顔だって鏡で見ると以前よりも丸くなっているのが如実にわかる。それでも身長が一七五センチほどなので、前が痩せ過ぎていたのであり、今の体重でむしろ適正に近いところだろう。
 入浴。この日はいくらか長く浸かった。出てくると自室に帰って、すぐさま読書を始める。神崎繁『内乱の政治哲学――忘却と制圧』だが、この本はやはり難しくて、今読んでいるのは「アリストテレスの子供たち」という補論で、アリストテレスの影響をヘーゲルマルクスハイデガーの三人のなかに見出す哲学史的な試みだが、細かな哲学の学説など読んでいてやはりいまいちわからないので、一八八頁まで読んだところでこの本は中断することにして、ハンナ・アーレント/ウルズラ・ルッツ編/佐藤和夫訳『政治とは何か』に移行した(しかしそれから一晩明けた二四日現在、わからなくてもやはり、ともかくも最後まで読むだけは読もうという風に木を変えた)。それで一一時一〇分頃まで読書を続け、力尽き、零時を越えたあたりで一度意識を取り戻して、そのまま歯磨きもせずに明かりを消して床に就いた。


・作文
 15:05 - 16:02 = 57分

・読書
 11:39 - 14:13 = 2時間34分
 16:10 - 16:50 = 40分
 20:32 - 23:10 = 2時間38分
 計: 5時間52分

  • 神崎繁『内乱の政治哲学――忘却と制圧』: 118 - 188
  • 「わたしたちが塩の柱になるとき」: 2019-04-18「隕石の欠片を投げてこれもまた流れ星だと言い張るように」; 2019-04-19「水色と呼んではいるが色のない水で手洗いする色々を」; 2019-04-20「この部屋の天井があの部屋の床でもあることを教えてくれた」; 2019-04-21「死んだ子の年を数える沈黙の時間を計る恋をしている」
  • ハンナ・アーレント/ウルズラ・ルッツ編/佐藤和夫訳『政治とは何か』: 3 - 24

・睡眠
 1:30 - 11:00 = 9時間30分

・音楽