2020/2/27, Thu.

 ナチにとって「マルクス主義者のインターナショナリズム」は、ドイツの労働者を国家的・人種的共同体から引き離し民族[フォルク]の結束を弱める脅威であるとともに、一九一八年にドイツの奮闘を妨害したものでもある。ゆえに粉砕しなければならなかった。ユダヤ人はマルクス主義者の脅威の陰に隠れ、ドイツ民族を汚染し弱らせ破壊しようとする病原菌である。ゆえに排除しなければならなかった。敵国はヴェルサイユ条約を利用してドイツを永遠に跪かせようとしている。ゆえに「原状」回復するためだけでなく、必要な「生存圏」を東方に拡大し掌握するためにも打倒しなければならなかった。そして第三帝国を打ち立て、ドイツが支配するヨーロッパを実現するためには、暴力という手段が必要だった。
 (リチャード・ベッセル/大山晶訳『ナチスの戦争 1918-1949 民族と人種の戦い』中公新書、二〇一五年、24~25)



  • 新聞。日本国内の新型肺炎感染者は確実に増加しているようだ。国際面には香港関連の記事があり、何歳以上で何万円分だったか具体的な数字を忘れてしまったのだが、新型肺炎騒動もあって収縮する経済を浮揚させる策として、市民に結構な額の金を配布するとのことだった。新聞を読む一方で焼豚をおかずにしながら白米を食っていると、窓の外で風が強く吹き流れてガラスが鳴りを立て、勝手口の外にビニール袋か何かがあるようで、台所の方からはそれがばたばたと擦れる音が聞こえてくる。その響きがあまりに定かなので、風のせいではなくて猫か人間が忍びこんでいるのかとすらちょっと疑えるほどだった。
  • Twitterを眺めると古井由吉死去の知らせが伝えられていて、マジかよと驚愕せざるを得なかった。八二歳だと言う。無論もう老齢ではあったが、それにしてもこんなに早く亡くなるとは思っていなかった。
  • 五時過ぎに上階に上がると、母親が帰宅していた。彼女は今日はEさんと何とか言うカレーの店に行き、タンドリーチキンとチーズ入りのナンを買ってきたと言う。Eさんは今度、視覚障害者の手助けをするとか言っていたか、介護関係の会社を娘さんと立ち上げるとか何とかいう話だった。
  • 夕食より先に風呂に入ったのだが、こちらが上がるのとほとんど入れ替わりに母親が入浴に行った。早く入らないとびしょびしょになると嫌だからと彼女が言うのは、父親のあとは何故かいつも風呂の蓋の上がびしょ濡れになっているからである。シャワーを浴びているのだと思うが、蓋を閉めた状態で浴びなければあそこまで全般的には濡れないはずである。最後に風呂から上がる直前に浴びるのだろうか? 何故蓋を開けた状態で浴びないのかまったく解せない。あるいは黴が発生しないように壁に冷水シャワーを掛けてでもいるのかもしれないが、ともかく父親のあとだとタオルを置く場所がなくて困ることが結構ある。
  • テレビは消してもらって新聞も読まず、一人で静かに食物を味わいながら食事を取った。母親が買ってきたタンドリーチキンは赤っぽく、赤土めいた色合いで、炙られて一部どす黒くなっており、火山地帯の岩のようにごつごつとしている。ナンはレンジで二分間熱したところチーズがとろりと溶け出して、確かに弾力的でチーズにも甘いような風味が含まれておりなかなか美味かった。
  • 就寝前、三時一〇分から瞑想をした。静寂である。コンピューターはシャットダウンしたはずなのだが、右方からは機械の漏らす微かな呼吸のような音が伝わってくる。あるいはコンピューターではなくて、アンプの発する響きの泡かもしれない。自らの身体のなかで内臓が微動する音もはっきり耳に届いてくるが、左方すぐ傍の窓の向こうからは何の響きも伝わってこず、世界がそこで裁ち落とされて存在しなくなったかのようである。閉じた視界は端的な闇で、音もほとんどない真空的な時空が広がっているものだから脳内の思念=言語の動きがよく見える。終盤、鼻の右端に痒みが発生した。蚤だかダニだか、視認できないほどに小さな虫が肌の上で思うがままに蠢き回っているかのような感触だった。


・作文
 15:36 - 15:54 = 18分(27日)
 15:56 - 17:08 = 1時間12分(17日)
 17:23 - 17:45 = 22分(27日)
 18:09 - 19:00 = 51分(18日)
 23:16 - 23:35 = 19分(27日)
 25:05 - 25:09 = 4分(27日)
 計: 3時間6分

・読書
 25:14 - 25:48 = 34分(バルト)

・睡眠
 4:00 - 12:15 = 8時間15分

・音楽