2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

2017/4/28, Fri.

風があっても心地よい涼しさに留まる、空気の軽い往路である。空は、東の方には晴れ間が見えるが、頭上のあたりから雲が湧いていて、西ではそれが一面に拡大され、波の弱い浅瀬めいて柔らかな薄灰色が落日を隠しきっていた。街道に出て歩いていると、車の途…

2017/4/27, Thu.

家を出たのは午後七時である。青さの留まった宵の空で、ポストから夕刊を取り出せば、米国の三長官が対北朝鮮政策についての声明を発表と、一面の記事が定かに読めるほどに、まだ明るさが残っている。室内で身体を動かさずにいたから、外に出ると肉に熱がな…

2017/4/26, Wed.

図書館で打鍵の合間に、小腹を満たすためにテラスに出て食事をした。午後五時の、少々肌寒くなった空気に、格子柵に絡んだ植物の葉が揺れ、視界をいくらか遮るその隙間から、円形歩廊を行き交う人々の姿が下方に見え、空は薄青く曇っている。向こうの駅で電…

2017/4/25, Tue.

往路、雲が淡く混ざっていくらか鈍く、長閑なようになった晴れ空である。裏道に入りながら目が行った西の、丘の稜線に接したまさしく際の空間に、落ち陽がすっぽりと、穴に嵌まったように円く光を満たしている。昼間には風の荒れた日で、居間にいる時に窓の…

2017/4/24, Mon.

三時前に外出。前日に続く晴天で、まだ陽だまりも広く、道を縁取った石壁の上から張り出している木々のその影が、路上に騒ぐ。裏通りを抜けて街道に出れば、一面に広がった日なたのなかで、肩の上に心地よい熱が乗って、汗ばんでくるくらいの温暖さだった。…

2017/4/23, Sun.

ストーブのタンクに石油を補充するために外に出た――それ以外は終日籠って、外気との触れ合いがなかった日である。勝手口の方に回ってポンプが液体を汲み上げタンクを満たすのを待つあいだ、あたりを眺めた。光の渡って穏和で爽やかな快晴で、傍の林の木々が…

2017/4/22, Sat.

家を出たのは午後七時を回ったところで、雨降りのなかに歩み出ればあたりはいかにも暗く、振り向いた西の先では山と空と家並みとがひと繋がりに闇に籠められて黒々と澱んでいた。坂を上って行って先の出口あたりには、街灯が立たない一角があり、前後の光の…

2017/4/21, Fri.

往路、坂を上って行くあいだ、道の左右から鳥たちの声が、各々の持つ律動と声調で、それぞれ自律した流れを形作りながら立ち交わすのが、旋律はなくともまさしく多様な楽器の交錯で織られた音楽を聞くような気分にさせる――そのなかで、初めは頼りなげに浮か…

2017/4/20, Thu.

往路、この日は普段より遅くて午後七時の道である。陽の名残りも既に消えて宵がかった空が深く青い。坂を上って行くとあたりに鳥の音も立たず、暮れて静かななかに、木の間の先から、川の音が随分と厚く立ち騒いで昇って来た。西から東まで晴れているようだ…

2017/4/18, Tue.

往路。歩いているうちに服のなかに熱が籠るのが感じられて、前髪の裏もやや湿って来るような気温の高さである。空は雲混じりの薄く柔らかい青さで、ところどころに形を成す雲の塊もあるその前を、街道を渡る電線に止まった燕が黒い影となって鳴きを落とし、…

2017/4/17, Mon.

往路、薄白い曇り空の午後五時である。坂を上りながらすぐ傍で立つ鶯の音に、姿を見たいとあたりに視線を振るが、声は近くても一体どこに止まっているのか影がどうしても捉えられない。街道沿いの公園の桜は大方花を落として、薄紅色の方が少ないくらいにな…

2017/4/15, Sat.

往路、午後四時。坂の中途の、木の間がややひらいた斜面に、菫の種らしい青紫色の小さ花が密集して一角を埋めている。空はこの日も、端から端まで天色に満たされ澄み渡った快晴である。丘を見れば少し前までは箒を逆立てたようになっていた裸木の地帯に、葉…

2017/4/14, Fri.

例日通り五時に外出。坂の入り口から右にひらいた細道に立つ桜の小木は、花の嵩を減じており、既に陽も当たらない場所で澄んだ空を背景に、水で塗られたごとく白さの上から薄青い蔭に染まっている。街道に出ると、車道の左右に伸びる電線のあいだを、燕だろ…

2017/4/13, Thu.

往路。この日も空には雲が多く、首もとを風が擦ってやや冷え冷えとする。坂を上って抜けると、西空から射す薄陽があたりに掛かって、木々の緑の上から艶のある琥珀色を重ねていた。街道を渡って歩道を行き、小公園の桜に目を向けながら前を過ぎる。淡紅の桜…

2017/4/12, Wed.

窓を開けて瞑想をする。外は光が満ちていて、穏和な陽気が漂って左肩のあたりに触れる。風はほとんどないようで、空気の柔らかさを乱す流れが室内に入ってくることもなく、下草が揺れる音もせず、時折猫が慎重に踏むような擦過音が聞こえるのみである。鳥た…

2017/4/10, Mon.

往路。この日もまた薄灰色の、雨が落ちてもおかしくなさそうな空気の風合いだったが、結局降ることはなかった。気温はやや下がって、コートもマフラーもつけずに出ると顔に当たる微風がちょっと冷やりとするが、歩いているうちにそれも紛れた。坂の入り口で…

2017/4/9, Sun.

午前から雨が降っていたが、四時半に近づいて出る頃には止んでいた。路上には濡れ跡が残っており、流れる空気のなかにも湿り気がやや籠ってしっとりとしている。車が行き交う街道のアスファルトは既に乾いていた。桜が至る所で盛りを迎えている――街道沿いの…

2017/4/7, Fri.

往路、午後五時。前日と同じように気温が高くて、微細な羽虫が空中を飛び交っていた。空は青を湛えてすっきりと晴れたなかに夕月の、下端だけ消えて表面の模様もよく見えるのが白く露わに浮かんで、南の方にただ一筋だけ、雲が引かれて、丸みを帯びた部分部…

2017/4/6, Thu.

往路。午前には旺盛な陽があったが、昼過ぎから雲が広がりはじめて、あたりが薄鈍色と化した午後五時である。それでも最高気温二〇度とあって、風が流れても肌寒さは微塵もなく、今年初めてストールを巻かずとも済んだ。空気の暖かさのために一挙に湧いて活…

2017/4/5, Wed.

光の溢れる屋内に出た途端に、空気のなかに染み渡った朗らかな匂いが鼻に入って来て、乳のような、と思った――無論、牛乳の匂いなどしていないが、何の香りとも言い難いものの温もった大気のなかに広がって鼻孔をくすぐるものがあるのは確かで、乳の比喩が浮…

2017/4/4, Tue.

往路、最高気温は一七度の、緩くほぐれた春日である。左右を木々に囲まれた坂を上って行き、平らな道に出たところで、西から射しこんで顔のあたりに掛かる光の明るい温もりに、匂うような陽だ、と思った。街道を歩いていると、古家の前の低く小さな桜木はも…

2017/4/3, Mon.

往路、風が強いという話だったが、玄関を抜けたところで身に寄ってきた大気は柔らかで、薄布に触れられているような感じだった。道を行くうちに確かに風が厚くなる時があって、木々のなかを搔き回すらしく大きな葉鳴りが膨らむのだが、その流れが顔に寄せて…

2017/4/1, Sat.

往路、雨降り――傘を持つ右手がいくらかひりつく、最高気温は一〇度の冬戻りの午前である。歩きはじめてすぐ近く、とうに裸になっている楓の木の、赤味を帯びた枝々の至る所に水滴が吊るされて、極々小さな水晶玉を飾り付けた具合になっているのを横目に過ぎ…