2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

2017/5/30, Tue.

覚めたあと、用足しから戻ってくれば、カーテンの裏で窓はひらいているのだが、それでも室内に暖気の籠っているのが感じられる。三〇度の日らしい。居間の窓の先では光の通った空中に、山の上にひらいた空の清い色が溶け混ざっているようで、空気が自ら薄青…

2017/5/29, Mon.

正午前の道に出て、木の間の上り坂を抜ければ、頭に降りかかってくる熱気に身体がやや頼りなくなるような、夏日である。気温は二八度とか三〇度とか聞いた。街道に出ると道路の先から走ってくる車の鼻面が、陽炎に乱されて、真白い光点を装飾品のように溜め…

2017/5/28, Sun.

窓を閉じていれば、室内に暖気がやや籠る正午である。洗濯物を取りこみにベランダに行っても、雲の多い空だが、身の周りの空気は温もっており、その静止を乱す風もない。ハンガーに掛かったものに手を伸ばしていると、屋根の縁から太陽が、敷かれた雲のなか…

2017/5/27, Sat.

柚子の木の枝を、剪定というほど大袈裟なものでないが、いくらか刈り揃えるために外に出た午前、空気は暑い。空は雲が厚めに広がって白いものの、頭上には間が生まれているようで、降り注ぐものもまたあり、結構な熱が身についてくるのに、太陽はどこかとま…

2017/5/26, Fri.

夜の白んだあとからいつか降り出した雨のなか、窓を開けたままに眠っていた。肌着一枚の格好で、腕に肌寒さがついてきた。居間の窓に視線を通しても、雨粒の宙を搔く線は視認されず、空気は石灰色に濁って、空が稜線を侵して山の表面へと浸潤している。午後…

2017/5/25, Thu.

前日よりもさらに、均された白い窓の目覚めだった。日中、居間の窓から見通すと、山の向こうの低い空にちょっと、暖色を帯びた明るみが見られもしたが、そこを残してほかはこちらの頭上まで灰青色の雲が敷き伸ばされて、近間は仄暗く、雨の降り落ちてきても…

2017/5/24, Wed.

夜更かしのために正午前まで長寝に浸かってから起きると、窓はのっぺりと薄白く、明るさの弱い寝床だった。未明までモニターに瞳を晒していたのが祟ったか、首の固くて、布団を離れてからあまり間も置かず、頭痛が始まった。 歯を磨き口を濯いで室に戻って来…

2017/5/23, Tue.

午前からよく風の吹く快晴で、起床後にしばらく、枕に尻を乗せて窓辺に佇んでいると、爽やかな葉擦れの響きが窓外を渡る。風はカーテンの隙間からなかにも入りこんで、身にも柔らかく、稀薄な靄のように触れてくる。食事を済ませて正午過ぎから始めた書き物…

2017/5/22, Mon.

気温計が三〇度を指し示す夏日が続くが、風が爽やかに、窓からよく入っても来た。外では鶯と鵯がいつものように鳴きを散らしているその合間に、画眉鳥だろうか、柔らかく曲がる融通無碍な声のみが、あたりは黙ったそのなかに奏でられて音楽的に響く時間があ…

2017/5/21, Sun.

あまりにもあからさまな、開け広げな晴天だった前日にもまして暑さの盛った日で、居間に吊ってある青い気温計は一時、三二度を指していた。この日も朝から晩まで、空に雲の一粒も現れなかったのではないか。拍車の掛かった気早な夏の気の、室内に無遠慮に入…

2017/5/20, Sat.

早朝に覚めた窓の外で、鳥の声が活気づいていた。鶯の音が普段よりも忙しなく、川に次々と石を投げこんで水柱が立つように、そこここで跳ね、その合間に鵯の鳴きが入って、僅かな間断を挟む隙もなく、なかに時折り、谷渡りの螺旋状の響きが、昇るというより…

2017/5/19, Fri.

午前から朗らかさが部屋内にまで染み入る晴天に、近所の屋根も、一時、水を溜めた囲いのようにちらちらと揺らぎ、光っているのを見せた。昼下がり、干していた布団を仕舞いにベランダに出ると、風が吹く。肌に正面から当たって来ずに、横滑りして軽やかに戯…

2017/5/18, Thu.

灰色雲が低く垂れて、薄暗いような曇りの午前だった。台所と食卓を幾度か往復するあいだに、窓外の、南の空の山際近くまで雲が広がった下に、稜線との接触面の周囲のみ、雲の浸透から逃れて白さが明るんで際立つのが目に入って、それで翻って空気の暗さに気…

2017/5/17, Wed.

実体のあるものか耳の悪戯か、時鳥の声を未明に聞いたあともなかなか本格の眠気はやって来ず、揺蕩うような眠りのままに明け方に到って、そこからようやく深みに沈んだようで、休日の気楽さにも任せて正午前までの長寝となった。外から鶯の、川のあたりにい…

2017/5/16, Tue.

この日も白く褪せた曇り空は引き続き、胃のなかが軽くなってくるといくらか身が冷たくもなるようで、温めて食った豆腐の熱が腹に染みて美味い。シャツの上にジャケットは羽織らず、ベストのみつけて、三時半には道に出ると、空気は動きがなければ涼しいとい…

2017/5/15, Mon.

この日も午前から曇り空が続いて、夕刻まで晴れ間も見えない。四時頃、居間から外を見通すと、遠くの山とのあいだに積まれた空気層のなかに、石灰色が混ざり僅かに霞むようで、一瞥、雨が降っているのかとも見え、仄暗いような天気だった。気温もいくらか低…

2017/5/14, Sun.

八時の目覚めの時には既に窓が白く、それから午前に掛けてもずっと平坦な曇り空が広がっていたが、二時頃から薄陽が洩れはじめ、空気が色付いてきた。三時に外出した時にも、西空に灰色を帯びた雲が押し出てはいるが、道の上には陽の色が淡く被さっている。…

2017/5/13, Sat.

昨夜、夜半から始まった雨は、繁くならないうちに消えていたが、いつかまた降り出したようで、早朝に、風とともに窓に寄せてガラスに当たるその音で目を覚ました。結構な降りのようだったが、そのなかでも鶯が、勤勉なように声を膨らませているのに、この雨…

2017/5/12, Fri.

この日も朝から平らかに晴れて、さらに風があって、居間の東窓に掛かったレースのカーテンがよく膨らむ。ものを食っていると、幕を端に留めて外の露わになった南窓には、タンポポの綿毛が群れなして、羽虫の集まりのように舞って過ぎた。前日と同じく、昼頃…

2017/5/11, Thu.

寝床で覚めた時から、柔らかくほぐれた空気の爽やかさが触れるようだった。気温は二八度まで上がると言って、その割に暑さの勝るでもなく、朗らかな初夏の日和である。昼下がりから雲が多くなって、四時頃には空の大方が白い曇りとなり、するとやはり多少の…

2017/5/10, Wed.

先夜の雨は未明にはもう収まっていたらしい。明けたこの日もしかし、居間の内から窓を透かした空気が、ひと目には降っているともいないともつかず曖昧に籠った曇りで、湿り気もかなり残っているようだった。五時に到って道に出れば、その頃には降りはなかっ…

2017/5/9, Tue.

往路、この日はジャケットまで羽織った身体に、一様に白い曇天の大気は暑くもなく、風が流れても涼しいというほどでもない。街道を向かいに渡ると、行き過ぎる車の生む風に煽られて、石壁の上から迫り出した白躑躅の茂りが上下に撓んで、そのあとから一つ、…

2017/5/8, Mon.

往路。風邪で家に籠る日が続いていたから、長く外気のなかには身を置いていなかった。道に出ると、四方を壁で囲まれ閉ざされていない空間の、無論様々なものはあいだにあるが果ての空までひらいて繋がったその広漠に、肉体が頼りなさを感じるようで、身の平…

2017/5/7, Sun.

寝台の上に仰向けになって、古井由吉の最新刊を読んでいるうちに、文字の上にこごっていた視覚から意識が、耳の方へとふと逸れた。聴覚空間の、その外辺のあたりで先ほどから鳴いていた鶯の声の、放たれたあとの残響が、耳を掠ったのだった。目を閉じればそ…

2017/5/2, Tue.

往路は早めの、午後三時半過ぎである。市内では一年に一度の大きな催しである祭りの、二日続くその一日目で、二日目が本番でこの日はまだ規模も小さいが、坂を上って行くあいだも祭り囃子の音が、終始途切れずに、乾いて晴れた空気に乗って届いた。陽射しは…

2017/5/1, Mon.

外出する頃には、雨降りが始まっていた。傘をひらいて道に出ると、熱されたアスファルトが雨に打たれた時の匂いが、仄かに立ち昇って来る。雨音はまだ乏しいが、坂を上って街道へと向かうあいだ、小さい幅で強まり弱まりを繰り返しているその不安定さに、予…

2017/4/30, Sun.

玄関を出て外気のなかに入ったその瞬間から、旺盛な陽射しの熱を含んだ初夏の空気の匂いとも言うべきものが、肌と鼻孔に触れてきた。陽の当たった部分は広く、鳶が宙を行く影が、路上のみならず林の縁の、新緑の葉々の上にまで映って、駆け上がって行った。…

2017/4/29, Sat.

六時、窓辺のベッドに乗って、姿勢を緩くして身体を寛がせながら『梶井基次郎全集 第一巻』を読んでいると、カーテンがいくらか膨らんで、夕刻の涼しさが流れこんで来る。空は白いが、明るめの曇りで、電灯を点けずともまだ言葉を読み取るのに支障がない。文…