2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2017/7/29, Sat.

正午前に足拭きを干すためベランダに出た時には、厚い雲が頭上一面に掛かっていながらもそれを抜けて背に落ちる熱を感じたものだが、それからしばらく昼が下ると稀薄な雨が始まって、窓から遠い台所で流しを前にすると視界が実に薄暗い。雨は続いて、この日…

2017/7/28, Fri.

夕食後、半袖半ズボンにサンダルを突っかけた気楽な格好で散歩に出た。玄関を通って道に出て、街灯の裏に籠った木の間の闇に目を振った途端に、暗い夜だとの印象が立つ。見上げれば実際月も星もなくて、平板な薄墨色を一面に掛けられた曇り空である。近頃夜…

2017/7/27, Thu.

曇り空の終日続いた一日だった。朝の道に陽射しというほどのものもなく、眩しさの刺激が瞳を責めるでもないが、早朝に起きるというのに構わず夜を更かしたのが祟ってさすがに頭が重い。瞼がうまくひらききらず、光がなくとも眼球がかすかにひりつくようなの…

2017/7/26, Wed.

早朝に覚めた時から、雨が降っていた。窓辺に留まっているうちに勢い良く盛りはじめて雨音が膨張し、厚い響きの隅まで充満した猛雨となった。家を発つ頃になっても降りは衰えず、道に一面水が張って水溜まりから足を逃す余地もないほどの大雨で、歩き出せば…

2017/7/25, Tue.

朝陽のなくて、白い窓の目覚めだった。食事を済ませて出た頃には、坂から見下ろした川の樹々が淡光を掛けられて緑色が薄らんでいる。曇り空の足もとに陽の色は弱く、影はかすかだが、それでも眠りの足りない目に眩しさの刺激がやはりあって、道の先を見通す…

2017/7/24, Mon.

早くに起きてまもない頃から、時鳥の声をよく聞いた朝だった。はっきりと立って膨らみ続くのは、久しぶりに耳にしたものだ。八時に出かけて街道を行くと、降り注ぐ陽射しが、まだそれほど高くはないはずだが早くも目に重く、眠りの少ない瞳に上からの圧が沁…

2017/7/20, Thu.

風の多く流れる日だった。自室にいればカーテンが膨らみ、便所に行くと外の林が騒ぐのに雨が降りはじめたかと、室を出て玄関先を覗くまで錯覚させられる。夕刻五時に出た道にも風は厚く向かって来て、耳の穴を覆ってばたばたという響きをぶら下げるのが、久…

2017/7/19, Wed.

坂に降る蟬の声が、まだ合唱というほどでもないが厚くなりはじめている夕方、空は晴れ晴れと穏やかに青く、陽射しのなかにあってもさして背が粘らず、路上に掛かった蔭も水を含んだようにさらさらとした質感で伸びている。雲はほとんどなくて、僅かに混ざっ…

2017/7/18, Tue.

前夜の帰路には既に雨の近づきを感じていたが、それがこの昼の二時前、驟雨となって顕在化した。窓の外が暗く沈んできたのにそろそろ来るなと洗濯物を仕舞ってからまもなく、降り出しから棕櫚の葉に当たる音の高くて、水を一気に零したような雨が始まり、早…

2017/7/17, Mon.

蟬の羽音のばちばちと響く正午前の林から、夜の更けかかった帰り道まで、風の多い一日だった。夕刻の往路には熱が籠められて漂っていたが、柔らかな風が生まれて吹きこんで来ると、糸のように腕にまつわって、暖気を搔き混ぜ乱してくれる。陽射しは幸い雲に…

2017/7/13, Thu.

正午過ぎ、食器を空にしたまま卓に留まっていると、突然の雨が落ちはじめた。曇ってきたなとはぼんやり見ていたものの、風もなく、予兆らしいものも感じ取れず、降りはじめから間を置かず一挙に速度を上げる雨に、急いで立って洗濯物を取りこんだ。雨は短い…

2017/7/12, Wed.

振り向いた窓が、いつの間にか仄暗くなっていた。流していた音楽の裏に風の音を聞いたように思ったのは、あれはどうやら遠い雷の響きだったらしい。時刻は二時、洗濯物を取りこみに行くとベランダには既に散るものがあって、吊るされたものを室に収めてまも…

2017/7/11, Tue.

風の厚く吹き流れて葉擦れの賑やかに膨らむ日中、走るものに拍車が掛かって、甲高く細い唸りの鳴り出す時間があった。四時前ではまだ陽も盛って侵すように肌に沁み入るそのなかを、近間の最寄駅へと向かって行く。坂に入ると正面の樹々が木洩れ陽と緩い風を…

2017/7/10, Mon.

大きな風が吹き、草葉の擦れる音がたびたび広がって響く昼間だったが、ベッドに横たわっていると背に熱が籠って、枕の端に載せたうなじが湿るのも煩わしかった。身体を拭いてから出かけた夕刻、風は残っており、坂ではニイニイゼミの声が薄く立ち上がる。丘…

2017/7/8, Sat.

正午前の炎天下、不要な木材を鋸で切り分け汗だくになって以降、肌のべたつきが取れなくなって、夕刻、職場に出る前に湯を浴びることになった。浸かっていると、外から虫の音が入って来て、随分と蜩に似た声だなどと思っていたところが、支度を整えて居間の…

2017/7/7, Fri.

洗濯物を取りこもうとベランダに出ると、光線が肌に強く、染み入るようで、陽の色に明るく照らされた眼下では、緑が絶えず緩く揺らいでいる。このなかを歩いて行くのはさすがに骨折りだと、出かける母親の車に同乗させてもらい、医者の間近で降りた。身を包…

2017/7/6, Thu.

午後三時を過ぎた頃、窓の外に葉を打つ音が散らばりはじめて、詰まった響きの雨が始まった。しかし同時に、白い家壁に重なる陽の明るさも垣間見える。前日は持っても使わなかった傘を今度はひらいて家を発つと、坂の上から風が、大きく涼しく走って来たが、…

2017/7/5, Wed.

陽の色の窓に見えて、爽やかな空気の流れるなかに起きたところが、午前が尽きるにつれて曇り空となり、モニターを前にした肌にいつの間にか汗をかきはじめている。出かける直前には雨が始まって、ざっと流れてすぐに衰えはしたが、大気の気配の定めがたさに…

2017/7/4, Tue.

鶯の鳴く声の、久しぶりに窓の外に盛んに立って、その合間に時鳥の音も差し込まれて届く賑やかな昼間だった。そこから少々下ってから出た往路、夜から台風が来るとか聞いていたが、確かに涼風の先触れはなくとも、真白く起伏のない空と小暗くくすんだような…

2017/7/3, Mon.

布団の下で、肌に汗を溜めて寝覚めた朝だった。東京でも三五度に迫る猛暑で、雲はあって晴れきるでないが、眠りの少ない身体が暑気に頼りない。一一時を迎えて出た道に風はあり、坂の落葉は乾いて茶色く左右に積まれ、そのなかを駅まで行ってベンチに座ると…

2017/7/2, Sun.

曇り日でありながら暑気は盛り、何をせずとも部屋にあるだけで汗が身を包んで粘る有様、七月に入っていよいよ夏も奮ってきたこの日、祖父の命日である。しどけなく転がって西行の和歌を読んだり、麻婆豆腐を拵えたりして日中の熱気をやり過ごしての暮れ方、…

2017/7/1, Sat.

雨の予想の、高さは聞いていた。昼を過ぎて出れば実際、散るものがあるが、降り出しというよりはむしろ降り終えのかそけさに、傘を持つ気にはならず、盛れば盛ったでどうでも、と払った。街道まで来ると落ちるものの間がやや狭くなり、顔に掛かってくる水に…

2017/6/30, Fri.

前夜は窓の奥、遠くで、雨の気配が幽か兆しながらも降りまで結ばれずに収まることを繰り返したのち、三時の遅きに到って、さすがにもう眠ろうという瞑目の内に始まった。午前は降り続き、墓参に出た正午過ぎ、止んだなかに風は立たず、せめて涼気が寄ってく…