2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2017/9/28, Thu.

前夜は一一時頃、風呂に浸かっているあいだに雨が始まり窓に響きが寄せてきて、深夜に掛けて弱まりながらも、虫の音と競うようにして断続的に降っていたらしい。この日も日中いくらか降ったが、暮れ方に出た道の湿りはさほどでなかった。坂を上って行くと木…

2017/9/27, Wed.

坂道の脇の草の間に紅色を差しこむ花々も、彼岸が明けて大方は色褪せ、細い先端をだらりと垂らして天を指さずに萎んでいる。空は一面平らかに曇って、しかし太陽が、西空を見ても白さのなかにその気配すら窺えないが、暖気をいくらか通してくるのか、少々蒸…

2017/9/26, Tue.

道にまだ日なたの明るく敷かれている三時半、坂への入り際に、西空から降りかかる露わな陽射しに背中が暑い。上って行きながら温んだ空気に、シャツのボタンを一番上の首元まできっちり留めていることもあってか、息苦しいような感じがちょっとあった。街道…

2017/9/25, Mon.

玄関を出ると正面の林に、ツクツクホウシが辛うじて残って、ただ一匹で鳴いているのが耳に入った。ポストから夕刊を取っておいて出発すると、家の近間の道にも坂にも陽はもう射しこまないが、空気がかすかに黄色いような暮れ方の風情である。街道まで行って…

2017/9/22, Fri.

昼下がりには降っていた雨が、午後も深まって道に出た頃には止んでいた。仄白く濁りの混ざって、雨の通ったあとで冷たい空気に、この秋初めてベストを羽織りネクタイも締めたが、捲ったシャツの袖口が肌寒くて頼りないようだった。坂道の脇を縁取る緑の斜面…

2017/9/21, Thu.

茶を用意しながら居間の南窓を見通すと、眩しさの沁みこんだ昼前の大気に瓦屋根が白く彩られ、遠くの梢が風に騒いで光を散らすなか、赤い蜻蛉の点となって飛び回っているのが見て取られる明るさである。夕べを迎えて道に出た頃にはしかし、秋晴れは雲に乱さ…

2017/9/20, Wed.

深夜、読書中。窓も閉ざした静寂のなかにカネタタキの声が突然、定かに立って闖入してきて、目を覚まされたようになる。

2017/9/19, Tue.

室内に暑気の漂う晴天が続き、この日も三〇度まで上がると聞く。モニターに向かい合って日記のためにメモを取っていると、背後の窓の先から、ツクツクホウシか、ちりちりと低く燻る蟬の声が立って、もうそんな力もないものか、高まらず鳴きに繋がらないまま…

2017/9/18, Mon.

前夜の遅くには吹き降りになって家がごとごとと鳴らされてもいたが、明けて台風一過、夏がいくらか戻ったように、居間の空気に熱が漂う晴れの昼だった。家の傍の道では数日前から人足が出張って、林から伸び出した枝葉が電線に及ばないようにというのだろう…

2017/9/17, Sun.

立川、六時。暮れの青さに浸った空から雨が降り続く。高架の通路から見下ろす道路に連なった車列の、テールランプの無数の赤。ビルの合間や路上に浮遊する光が雨と混ざって、宙空が靄っている。 * 夜、最寄り駅、薄雨。電灯の暈のなかで細かな粒が風に流さ…

2017/9/15, Fri.

風はあまり吹かなかったらしく、その質感の覚えはない。しかし、樹に囲まれた上り坂を抜けると、気温が一昨日昨日よりも一段下がったらしいと、肌に感じる涼しさの確かな夕べの道だった。空気の蒸す感触もなく、街道に出て仰いだ空の、西まで雲が張って僅か…

2017/9/14, Thu.

普段よりも遅い七時前の出になり、涼しげな空気のなか、坂に入ると既にアオマツムシが木立の方から鳴きしきっている。いつもと違う宵の口の往路に、気分も少々異なって、周囲の暗がりに迫られた視界が狭いようで何とはなしに、現実感が稀薄なようだった。 男…

2017/9/13, Wed.

彼岸花のひらきはじめた時季である。暮れも近い五時から出かけると、林の横を通るあいだに次々と落ちるものがあり、見れば足もとには若緑色の団栗が葉をつけたままでたくさん散らばって、踏み砕かれた実の粉で道に薄茶色が差している。蒸し暑い日で、外に出…

2017/9/12, Tue.

蟬の声のもうない坂に、替わりに鵯が盛んに鳴きを降らしている。木下坂を出てからも道端で別の一匹の張り上げるその声が、蟬があたりを占める前、春に聞いたものの記憶よりも、乾いたような、掠れたような風に聞こえた。 裏路地を行っているあいだに雨が落ち…

2017/9/11, Mon.

陽のある床で覚めてしばらく、窓辺に留まっていると、ミンミンゼミの生き残りが一匹、遠くからかすかな声を伝えてきた。食事中、外の林に風の音が起こる。風呂場で身を屈めながら浴槽を擦っている最中にも、飛行機が来たかと一瞬錯誤するほどの唸りが耳を通…

2017/9/8, Fri.

端々に陽の色が覗きながら空には雲も多くて、晴れと曇りの移り変わりの素早い昼だったようだ。雨を思わせるほどに薄暗む時もあったが、午後も深くなって出た頃には晴れ間がひらいてその気配も失われていた。風が、吹くと言うほどではないが途切れずよく流れ…

2017/9/7, Thu.

昼日中から薄灰色に沈みきって既に日暮れのような雨もよいに、室内もよほど暗んで、コンピューターのモニターが目に悪いほどになる。窓の内からは降っているともいないとも定かにはつかず、音もなく、ただ霧っぽい白さが湧いているのを見ていたが、夕刻を迎…

2017/9/5, Tue.

昼、鈴虫が、窓の外に鳴いている。気温がやや高戻った日で、蟬もいくらか合わせて鳴いて、夏の虫と秋の虫の声が両方入り交じる。季節がちょうど、跨ぎ越されている頃合いらしい。昼過ぎにベランダに出ても、曇天を透かして暖気が漂っており、その後、室内に…

2017/9/4, Mon.

林から湧き出す蟬の音の、薄く疎らな七つ時に発ち、坂に入ればそこでも虫は退いて、鳥の声が替わって落ちる。木立のなかをいっぱいに占めていた蟬の覇権も、そろそろ終わりに近い。曇天を頂いて、冷たさに結実するほどでないが、かなり秋めいた涼しさが肌を…

2017/9/2, Sat.

四か月の赤子を連れて兄夫婦の遊びに来た休日、寿司など取り、またほかにも卓の上や狭しと諸々並べて豪盛にやったあと、たらふく詰めこんだ腹を助けに散歩に出た。既に一〇時が近かったはずで、半ズボンから露出した膝のあたりが肌寒い。虫の音の満ちる夜気…

2017/9/1, Fri.

遅く起きた午前、窓には青々と、偏差なく晴れて一筋の乱れも見せない空が映るが、もはや夏の空気でない。窓辺に風のするすると、湧き水めいて流れこみ、時折身体の上でうねるのが起き抜けの肌を震えさせた。秋晴れの空は昼過ぎから曇り、道に出た夕刻には全…

2017/8/31, Thu.

曇り空のなか東南の、市街のあたりの空に灰色の雲が重ねられている。各々引かれた段の滑らかに混ざらず区切りの明瞭な、子どもの拙い手で雑に塗ったような雲である。街道に出ると、排ガスの臭いの混じった風が湧くが、流れるものに湿り気はなく、むしろ乾き…

2017/8/30, Wed.

七時台に一度覚めても、前夜と変わらず鈍い痛みが顔の奥に居座ったままだった。出先に長く留まって活動してきた夜など、頭痛を起こすことはしばしばあるが、眠りを跨いでも痛みが抜けないのは珍しい。ひとまず起きて、効くかどうか疑わしかったが風邪薬を飲…

2017/8/29, Tue.

誰が依頼したのか知らないが、昼頃から人足の出張る姿が近所に見られて、こちらが出かける頃には仙人草の群れは完全に駆除されていた。毒を持っており、触れると皮膚炎を生ずると言う。その草のことを知ってから改めて歩いてみると、道端に生えているのをい…