2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2018/10/29, Mon.

書きたいことは何一つない。自分の生は、書くことを――そして欲望や愉しみや快楽や感受性といったものを――失ったその時点で、実質的に終わってしまった。実質的には終了したはずのそれが現実には引き続いてしまっているその不可思議さ、完全に余計で余分で無…

2018/10/20, Sat.

このあたりで一度、自分の現在の症状についてまとめておこう。 1. 感受性の鈍麻――感情に関わるあらゆる形容詞の機能不全。プラス方面の情動は何一つ自分の内に生じてこない。悲しい、寂しい、心苦しいなどといったマイナス方面の情動も特段感じることはない…

2018/10/13, Sat.

朝吹三吉・二宮フサ・海老坂武訳『女たちへの手紙 サルトル書簡集Ⅰ』人文書院、一九八五年 (……)ナポリにはぼくたちがイタリアのどこでも見なかったものがある、トリノでも、ミラノでも、ヴェネツィアでも、フィレンツェでも、ローマでも見なかったもの、つ…

2018/10/12, Fri.

朝吹三吉・二宮フサ・海老坂武訳『女たちへの手紙 サルトル書簡集Ⅰ』人文書院、一九八五年 (……)ただ、それらの部屋が生あたたかく、薄暗く、強く匂うので、そして街路が眼の前にじつに涼しく、しかも同一平面上にあるので、街路が人々を引き寄せる。で、彼…

2018/10/11, Thu.

朝吹三吉・二宮フサ・海老坂武訳『女たちへの手紙 サルトル書簡集Ⅰ』人文書院、一九八五年 (……)あなたへの信頼の証拠として、今まで強がりからあなたに言い得なかった次のことを告白します。それは、ぼくの可愛いお嬢ちゃん、ぼくはあなたの心の中で第一の…

2018/10/10, Wed.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 (……)というわけで、ひとつの場面[﹅6]を書くのに、なんと七月末から十一月末までかけることになります! それもやって面白いならいいんですが! しかしこの小説は、どんなにうまく書けたところ…

2018/10/9, Tue.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 [農業共進会の場面について、]ところでこの壮大なピラミッドが内包するものは、平凡陳腐、何ともささやかなロマンスでしかない。その意味では、これはアンチ・ヒーローたちの演じるアンチ・クライ…

2018/10/8, Mon.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 生れつき苦しまずにすむ人間がいるものです、無神経な人たちというのがそれだ。連中は仕合せですよ! でも彼らはおかげでどれほど多くのものを失っていることか! 奇妙なことに、生物の階級を上へ…

2018/10/7, Sun.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 うんざり、がっかり、へとへと、おかげで頭がくらくらします! 四時間かけて、ただのひとつ[﹅6]の文章も出来なかった。今日は、一行も書いてない、いやむしろたっぷり百行書きなぐった! なんと…

2018/10/6, Sat.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 (……)ぼくがやってみたいのは、生きるためには呼吸をすればいいのと同じように、(こんな言い方ができるとすれば)ただ文章を書きさえすれば[﹅10]いい書物をつくることです。(……) (252; ルイ…

2018/10/5, Fri.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 いくらか仕事ができるようになりました。今月の終りには、宿屋[﹅2]の場面がおわるだろうと思います。三時間のあいだにおきたことを書くのに、二カ月以上かけることになります。(……) (168; ル…

2018/10/4, Thu.

工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』筑摩書房、一九八六年 (……)そもそも平等とは、あらゆる自由、あらゆる優越性、そのものを否定すること以外のなにものでもないじゃありませんか。平等とはすなわち隷属です。だからこそ、ぼくは芸術が好きなんです。そ…

2018/10/3, Wed.

一〇時台、ジャージの上着を羽織って外に出る。母親によると隣家の(……)さんから高いところの柿を採ってくれと頼まれたらしく、彼女がデイケアに出かけているあいだにそれを済ませてしまおうとの算段だった。自宅の南側に回って隣家の敷地に踏み入り、雑多…

2018/10/2, Tue.

午後二時、干された布団を裏返すためにベランダに出る。快晴と言って良いだろう、柔らかな青空の昼下がり。雲は淡い断片が西の方にいくつか集って水面[みなも]の波紋めいており、直上にはいくらかまとまった量のものも浮いていたが、それも厚みや弾力を欠い…

2018/10/1, Mon.

台風一過の快晴。最高気温は三四度とか言った。まるで夏である。食後の習慣として緑茶を飲んでいると、背が汗で大層濡れて、肌着をぱたぱたとやりながらノートパソコンを前にした。午後二時頃になると、陽射しがもういくらか引いていたが、布団を干した。日…