2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2022/1/31, Mon.

われわれ日本人に伝来の舞いの観念といかにも隔たりがあり、あるいは西洋舞踏としても、後世の《象徴主義》の心性にまだ染まっていなかった時代のことかとも思われるところだが、それは措いて、筆者は舞踏家のくりひろげるパラドックスに興味を覚えながら、…

2022/1/30, Sun.

人形の微妙な動きについて筆者のたずねるのに答えて舞踏家が教えるには、人形の五体は踊りの節々で、部分ごとに糸で操られるのではなく、あらゆる動作にはひとつの共通の重心があり、人形づかいは人形の内部にあるこの重心を操作すれば足りる。人形の五体は…

2022/1/29, Sat.

――神を探す者は、啓示の先を駈ける。神が探す者は、啓示がその駈足を追い抜く。 (古井由吉『詩への小路 ドゥイノの悲歌』(講談社文芸文庫、二〇二〇年)、13; 「1 ふたつの処刑詩」; フセイン・アル・ハラージ) 九時ごろに意識がはっきりともどった。その…

2022/1/28, Fri.

――彼は言った、見る者の眼力、認識する者の判別、霊によって知る者の光、速く歩み(end12)進む者の道、《それまで》の永遠と《それから》の永遠とその中間にあるすべて、それらは時に属する。何によってすればそのことを悟るに至るのか、と人がたずねた。フ…

2022/1/27, Thu.

――崇高なる神よ、私は知っている、あなたは純白だ。そして私は言いたい。あなたは人の讃美する、すべての讃美にも染まらない。人の礼讃する、すべての礼讃にも染まらない。人の思惟する、すべての思惟にも染まらない。神よ、あなたは知っている、私には称賛…

2022/1/26, Wed.

――認識とは事物を見ることだ。しかしまた、すべての事物が絶対の中へ沈むさまを見ることだ。 (古井由吉『詩への小路 ドゥイノの悲歌』(講談社文芸文庫、二〇二〇年)、11; 「1 ふたつの処刑詩」; フセイン・アル・ハラージ) 一〇時ごろに正式な目覚め。そ…

2022/1/25, Tue.

ヤコブソンの「二項主義」の考え方を推し進めると、記号というものを抽象化していくと、最終的には徴があるかないか、「0」か「1」か、によって記述できるといわれます。つまり、記号を純化していくと0か1かというようなバイナリーな純粋な差異のシステムに…

2022/1/24, Mon.

一例で言えば、夏目漱石のデビュー作は『吾輩は猫である』という有名な小説ですが、その冒頭は「吾輩は猫である。名前はまだない。」という文章で始まるわけですね。飼い猫なのだけれども、主人から名前をつけてもらっていない。一回で終わるはずのその第一…

2022/1/23, Sun.

まず、日清戦争のさなかに、日本の国語学者たちが非常に憂慮するのは、軍事力では日本は清国に打ち勝っているのに、われわれの活字印刷された出版物の中では、圧倒的に中国の漢字が制覇していて、平仮名はとても少ないではないかと。つまり、数万の中国人に…

2022/1/22, Sat.

ところが、宗教改革によって何が起こったのかというと、信仰というのはそのような所与の制度――具体的には教会ですけれども――によって保証されるのではなく、一人ひとりの人間が「内面」で神と向き合うことによって初めて成り立ち、人はそのことで「義」とさ…

2022/1/21, Fri.

人間は死ぬ。つまり有限である。有限であるということは、充足しない、満たされないということでもあります。言い換えれば、それ自体としては完結しない。だからこそ、それを超えたものとの関係を持たざるをえない、作らざるをえない。そうでないと、身の落…

2022/1/20, Thu.

ベネディクト・アンダーソン(ANDERSON, Benedict 1936- )という、ナショナリズム論に関しては定評のある理論家がいますが、その著作の中で、彼自身もあまり深く追究していないけれども、ナショナリズムは他のあらゆるイデオロギーより強いということを指摘…

2022/1/19, Wed.

西谷 以前、大学での戦争論の講義をもとにして『夜の鼓動にふれる』という本を出しま(end259)したが、その最後に、「戦争が腐乱していく」ということを書きました。戦争の変容が、その輪郭を崩して腐乱していくような、非常にネガティヴな形で起こっている…

2022/1/18, Tue.

西谷 とりわけ二〇〇一年の九・一一以降ですが、世界に「テロとの戦争」という図式が(end256)大きく戦略的に出されてきて、そこで盛んに語られるようになったのが、いわゆる「非対称的戦争」というものです。そこでいわれる「非対称性」というのは、基本的…

2022/1/17, Mon.

西谷 そういう理性のある種の隘路が、恐らく二〇世紀の初めぐらいから様々なところで自覚されてきて、それまで理性の秩序を支えていた個人とか、あるいは主体といった考え方が、そこには収まりきらないような無数の現象に直面するようになりました。そういう…

2022/1/16, Sun.

西谷 これを少し哲学とか思想のほうに近づけて見てみましょう。ヨーロッパにおける文明の展開というか、その原理を考えてみると、人間が自然を、もっと一般的に言うと、他者ということですが、人間とは違うもの、あるいは自分の周囲の環境といったもの、その…

2022/1/15, Sat.

昔から戦争とは国と国との戦いだと言えばいえますが、近代の戦争が「国家間戦争」であるというときには、明確な二つの要件があります。ひとつは、これが「主権国家」どうしの戦争だということです。言い換えれば、戦争をする権利は主権国家にしかないという…

2022/1/14, Fri.

それともうひとつ、これはきわめて大事なことなのですけれども、同じ「戦争」といっても、たとえば政治的な論議の中でよく出てくるような、「戦争をする」という文脈で使われるときの「戦争」というものと、それから、じっさい「戦争はいやだ」と人が言うと…

2022/1/13, Thu.

一九世紀に起こった産業革命と、二〇世紀に進行したメディア革命とが合流し、ひとつの大きな文明の変化が引き起こされています。というのも、大量生産の産業とメディア技術とが合流したときに生み出されたのが、想像力を産業の中に組み込むという出来事だっ…

2022/1/12, Wed.

二〇世紀の末からはIT(情報技術)といわれるように、デジタル技術革命も起こってきました。これもまた大きなもうひとつの革命です。映画や音声の運動を分割して記録するということがアナログ技術によって可能になったとすれば、デジタル技術は、そうした要…

2022/1/11, Tue.

音の記録というと、第1章で見たエジソンのフォノグラフがありますが、音の波形を機械により書き取り、分析し、再現する装置です。また、シネマトグラフ(映画)は、運動をキャメラによって書き取り、コマに分析し、映写機によって再現する装置です。これらは…

2022/1/10, Mon.

たとえば、メロディーを聴くという経験を考えてみましょう。メロディーを聴いているときに、意識がいま現在のことしか知覚できないとしたら、たとえば、ドレミというメロディーを聴くことはできないのです。音が三つ、「ド」と「レ」と「ミ」と聴こえる、つ…

2022/1/9, Sun.

七時ごろにいちど覚めたのだけれど、二度寝してしまい、気づくと時計が一一時にちかづいていたのでずいぶん長寝してしまったなとおもった。カーテンを一枚ひらく。太陽があり、白いレース模様の中間幕に編みえがかれている花や葉っぱの形象が陽に透かされて…

2022/1/8, Sat.

規則ただしく設計され、建築されて、しかもなんらかの目的にかなった建造物、たとえば宮殿を、その形態と細部とにおいて認識することと、おなじ建造物を「適意の感覚をもって意識すること」、つまり美しいと判定することとは、まったくべつのふるまいである…

2022/1/7, Fri.

カントは当面の議論のなかで、形式 [﹅2] の合目的性と純粋さ [﹅3] とを繫ぎあわせて考えている。純粋な [﹅3] 趣味判断とはなにかを考えておくことが、美は目的の表象を欠いた合目的性であるとする発想の根底にあるものを考察してゆくうえで有効な補助線と…

2022/1/6, Thu.

「読みかえし」、265番。「愛撫とは、それ以上ではありえないというほどにそこにあるものを、不在として索めつづける憔悴なのである」なんて、ちょっとかっこういい言い方。 愛撫される皮膚は、生体の防御壁でも、存在者のたんなる表面でもない。皮膚は、見…

2022/1/5, Wed.

一一時まえ離床。一〇時半ごろに覚醒がかたまって、寝床のなかでかるい感触の深呼吸をつづけていたのだが、そうするとやはりからだがてきめんにほぐれてその後のコンディションがよくなる。瞑想もおこなった。ここでもすこし呼吸をながく吐いてから静止には…

2022/1/4, Tue.

作: 永遠 [とわ] に聞くうしろめたさも恋ならば水を奏でよ巡礼の夜に 蟬がちな夏の暮れには嘘がほしい虚偽になれない声の林で 温柔なけものの月のかげのなか君は摂理で俺はダンスさ きょうは朝八時半くらいから夜の八時すぎまで労働で、とちゅう飯に出かけた…

2022/1/3, Mon.

九時半ごろに覚めて、一〇時すぎに離床。まあまあわるくはない感触のめざめではあった。瞑想もおこなう。うごかずにからだをかんじる時間をつくることがやはり大切だと再認。 食事はジャガイモやハムやコーンを炒めたものや、昨晩の鍋ののこりなど。父親はき…

2022/1/2, Sun.

一一時半の離床。そのまえからなんどか覚めてはいたが、起き上がれず。一一時すぎくらいに意識がさだかになり、寝床のなかで深呼吸をしばらくしてから布団のしたを抜けた。洗面所に行ってくるとともにトイレで黄色い尿を長々とはなってからもどってきて瞑想…