2014/1/7, Tue.

 六時に起床した。おそろしい冷えこみに震えながら上階へ上がり、煮込みすぎてでろでろになった麺とじゃがいもをトマトソースとチーズでとじたものとゆで卵を食べた。七時をすぎて陽が昇りはじめても一向に暖かくならない。小島信夫・森敦『対談 文学と人生』を読んだ。
 保坂和志の文章やムージルについて考えながら歩いていると音楽を聞いていないことに気づいてMiles Davis『Steamin'』を聞きはじめた。空気が身を刺すような寒い朝だった。いつもとちがうのは、車がやたらと多かったことと、今日から三学期をむかえる中学生がぱらぱらと歩いていたことで、いつもとちがう風景のなかを歩いていると労働時間もいつもとちがったのではないかと思われて確認したがそちらはいつもどおりだった。始業式へ向かう塾の生徒とすれちがった。自転車に乗った彼女は親しげな笑いに目を細めたが、あっという間に過ぎ去っていって声をかける時間がなかった。こちらを知らない連れの女子生徒は訝しげな表情だったが、あるいは寒さに耐えかねて顔をしかめていたのかもしれない。
 正午過ぎまで働いてパンを買って帰宅した。空気は変わらず冷たいが風はあまりなく、穏やかな昼下がりの町を歩いた。雲ひとつなく晴れわたった空に彗星のような飛行機雲が走っていた。澄んだ青に溶けてなくなろうとしている月がうっすらと見えた。
 メロンパン、ミニチョコクロワッサン、ねじりドーナツ、ベーコンピザの四つのパンを食べてもまだ足りない感じがしたので加えてカップラーメンを食べていると母が帰宅した。今日は仕事中あまり眠くなかったし、疲労もない、眠らずにいられそうだと思ったその油断が睡魔の侵入を招いて、ソファに座るといつの間にか眼を閉じていつの間にか意識がなくなっていた。望まぬ仮眠を二時間とってしまった。母が布団をかけてくれていた。
 Steve Hackett『Time Lapse』を流して『文学と人生』を読みすすめた。風呂から出てSteve Lacy『Live at Jazzwerkstatt Peitz』を流した。夕食にする前に母は出かけていった。客のところに誤った書類を入れてしまったらしく、郵便で破棄するよう通達すればいいし、夜のスナック街だからなんとなく不安だし、しかしやはり直接出向くべきだろうかと迷っていたのだが、結局後者に決断したのだった。夕食は米に久方ぶりに納豆をかけ、麻婆白菜と大根の味噌汁と正月の蛸の残りも食べた。食後Stevie Wonder『Talking Book』を流しながら『文学と人生』を読んで読了した。Radiohead『OK Computer』を流したがベースを弾きはじめたので五曲目で止めた。ベースを弾くのは二、三週間ぶりだった。メトロノームを鳴らしてひたすらLed Zeppelin"Good Times Bad Times"のリフをくり返した。眼を閉じて弾いていると音と指以外のことを忘れられて非常に心地よかった。十時をまわって上階に上がると、母が買ってきたマクドナルドのチーズバーガーがあったのでひどく久しぶりに、何ヶ月かぶりにジャンクな味を堪能した。