2014/1/14, Tue.

 歯を磨きはじめると口腔内右奥に小さな口内炎ができていることに気づいた。
 十時に起きて米、納豆、豚汁を食べた。部屋に軽く掃除機をかけてからArt Ensemble of Chicago『Urban Bushmen』を流し、『フランシス・ポンジュ詩集』を読みはじめた。BGMを『Bap-Tizum』に移行し、十二時半にポンジュ詩集を読み終えた。
 リビングへ上がると帰宅した母がケーキを買ってきたよ、と快活な声を出すのでそれで今日が自らの誕生日であることを思い出した。皿と風呂を洗ってからチョコレートタルトみたいなケーキを食らった。美味だった。部屋にもどり、D'Angelo『Live In Stockholm』を流しながら松平千秋訳『イリアス』第五歌を読んだ。二時になって大根をとりに畑におりた。四本抜いて玄関外の水道で洗った。手が凍るような水の冷たさだった。部屋にもどってDanny Grissett『Promise』を流しながらガルシア=マルケス予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』を読んだ。三時になって腕振り運動をし、瞑想をしてからゆっくりと風呂に入った。
 灰青色となった夕刻の空に月が低く浮かんでいた。日が暮れて空の藍が濃くなるにつれて月が金色の光をまとって輝きはじめるのを見た。救急車が前からやってきて脇の道に入っていった、と思ったら今度は消防車が後方からやってきて路肩にとまった。ヘルメットをかぶって水色の上着をまとった救急隊員三人とすれちがった。彼らが通りすぎた民家の戸口でちょうど宅急便を受けとった女性は何事かとあたりを見まわしてみせた、その視線がこちらの視線とかちあった瞬間に茶髪の彼女が中学校の同級生に見えた。女性はすぐに戸を閉めてしまった。『Solo Monk』を聞きながら歩いた。寒空の下で"Ruby, My Dear"が心に染みた。コンビニに寄ってマスクを買ってから職場に入った。
 月は天頂近くに移動して小さくなり、薄い雲が空全体にひろがって星をまばらにしていた。どうあがいても帰宅が十時になってしまうというのはそれだけで憂鬱の種だった。帰ると三宅誰男『亜人』が届いていた。夕食をとりながら保坂和志『朝露通信』を読んだ。風呂に入って日付が変わるころに布団に入った。