2014/4/7, Mon.

 おそろしく起きられない朝だった。目を覚まして頭を起こそうとするたびにまたすぐに眠気の網に沈んでいって、それをくりかえしているうちに自然に起きられるまで眠ろうとあきらめた。十一時ごろ携帯がふるえるとその音で驚くほど意識が覚醒したが、それがなければまだいつまでも眠っていたにちがいなかった。さっさと食事をすませて、the Hiatus『Trash We'd Love』、日野=菊地クインテット『Counter Current』、その後にyoutubeでChris Jossを流しながら日記を書いた。ひどく時間がかかって、終えると三時近くなっていた。
 風呂を洗い、ストレッチと腕立てをして体をほぐしてからベッドに寝転んで『失われた時を求めて』第四巻を読みはじめた。スピーカーからはWilco Johnsonのベストアルバムが流れていた。つづけて磯﨑憲一郎『往古来今』をわずかに読んで、五時をむかえる前にキッチンに入った。ざるに米が六合用意してあったのでまずはそれをといだ。晴れの日とはいえ夕刻にもなると裸の足先は冷え、水に触れる指の先も血管が縮むようなしびれがあった。じゃがいもはあちこちから芽がとびだし、手に持った感触もいくらかやわらかかった。ひとつを半分に切ると、ふたつの断面の中央に、含み笑いの口のように穴があき、そのなかは薄茶色にざらついていた。人参、玉ねぎ、冷凍してあった肉を切り、鍋に油を引いて最弱の火力で熱し、生姜をすりおろすとともに乾燥にんにくをばらまいた。油がぱちぱちと泡立ち、香辛料のにおいが空腹を刺激したところで肉を放りこんだ。色が変わってから野菜をくわえて炒めはじめ、やがて水が出てしんなりして混ぜる木べらに伝わる感触も軽くなると、水をそそいで煮はじめた。こげやすい鍋でいつも難儀していたが、今回は手順がよかったようで水は茶に濁らず淡黄色だった。煮こんでいるあいだに洗い物をすませ、生ごみを片づけた。野菜を小さく切ったので、灰汁をとってしばらくすればもうじゃがいもは楊枝を受けてくずれるくらいだった。おたまにルーをふたつずつのせて揺らしとかした。味つけは面倒なのでソースとケチャップと牛乳を適当にくわえたのみで完成とし、炊けたばかりの米をよそってさっさと食べはじめた。
 食後部屋にもどってギターを持った。最初はいつものようにEブルースを弾いていたが、そのうちに劣情にも似た衝動がわきあがってきて、気づけば右手は弦をひたすらにかきむしり、左手は指板の上を無秩序に動きまわっていた。攻撃的な欲望を昇華し終わってふと見れば右人差し指の爪のきわに血がにじんでいた。入浴してから日記を下書きした。Sさんから昨日のお礼の連絡が来ており、『亜人』をOさんの分とで二冊買ったとあったので感謝して返信した。こうして少しずつ広まってくれればいいと願った。それから怠惰に過ごしたあと、Dave Brubeck『Time Out』、Sonny Rollins『Falling In Love With Jazz』と流して、机上のCDの情報を記録した。