2017/2/22, Wed.

 往路、空気の質は前日よりもやや和らいだ感じがした。この日は、期限の過ぎた本を図書館に返しに行かなければならなかったので、徒歩ではなく、最寄りから電車に乗ることにして、玄関を出ると普段と反対方向に踏み出した。空には大きな雲が寝そべって空間を埋めているが、ちょうど行く手の空に、なだらかな海岸線めいたその縁が刻まれて、割れ目から薄水色も覗いていた。坂を上って行き、駅に入って階段を上がっていると、近場の森の際からまだ目に眩しく、長時間見つめることはできない陽の白さが洩れている。右奥の遠くに小さく覗く山影は、頭上を雲に覆われて雨色に籠められ、一足先に暮れ方を迎えた風情である。