2017/3/21, Tue.

 往路、朝から降っている雨が、弱まらず強まらず単調な勤勉さでまだ続いている。坂を上れば傘で狭まった視界のなかの、足もとに自ずと視線が落ちて、空を包む索漠としたような白さをアスファルトが吸って、歩みに応じて途上に広がっていくのが映る。空気はやや冷たく、風が止まっても頬に摩擦の感が僅かあり、傘を持つ右手もいくらかは冷えたが、しかしその冷たさが表面から内に入っていかないあたり、冬気の名残りももはやなくて、春の柔らかな雨となっていた。