2017/4/20, Thu.

 往路、この日は普段より遅くて午後七時の道である。陽の名残りも既に消えて宵がかった空が深く青い。坂を上って行くとあたりに鳥の音も立たず、暮れて静かななかに、木の間の先から、川の音が随分と厚く立ち騒いで昇って来た。西から東まで晴れているようだが、南の山に接した一角には雲が混ざっているらしいのが、形成すものは一片もないがそこだけ白炭色に変化しているのからわかる。街道に出ると先まで伸びた道の遠くに車の、いびつな円を描いた明かりがひと繋がりになって続き、道の曲がった最奥から次々に備給されて連なりをやめないが、近くまで来ると純粋な発光体だったそれらは間をひらき分解されて、光の裏の本体も露わに単なる物質と化す。公園の桜はもはやほとんど散りきって明かりせず、色の窺えない暗さに沈んでいた。裏道の途中でも、広がった空き地に差し掛かると、敷地に接した二、三軒の窓が、人が不在なのか雨戸が閉まっているのかどれも灯らずに、宵闇を掛けられて家が上から下まで薄黒く静まっているのに、随分と暗いなと思われた。その頃には空も、青さを失って暗色に入っている。出てしばらくは少々肌寒いような感触だったが、歩いているうちに身体が温もったようで、のちには風にも冷えず、体温と同化する滑らかな空気の肌触りだった。