2017/6/16, Fri.

 起きた時から窓辺の空気が柔らかくほぐれており、午前はそのまま晴れていたはずだが、二時頃、ヘッドフォンを頭につけてモニターに向かい合っていると、いつか葉を打つような響きが耳に混ざりだし、背後で急な雨が始まっていた。ざっと一挙に盛り、雷も遠くから頻々と鳴って、時刻はやや早いが夏の夕立のようだった。引きも早く、家を出る頃にはもう、粒は確かな形を保って傘を鳴らすものの、ぱらぱらというほどに弱まっている。街道に出て望んだ空は薄白く濁りながらも明るく、北側は既に青さが現れているような具合で、雷の唸っていた南の方は一面霞み、雨はそちらに逸れたらしい。裏路地を行くあいだには、落ちるものが止みきらないままに陽射しが出てきて、頭部に楕円を描いたこちらの影が道に宿るとともに車のガラスに白さが収束して震えると、傘の下が熱っぽくなり、並んで既に傘を下げた小児らも暑さを零していた。
 図書館で過ごして七時前に帰路に就いたところ、宵どころか黄昏にもまだ到っていない明るさで、時刻から受ける感覚と実際の空の色との差に混乱を来たすような夏至前の日永に、西に浮かぶ雲が残照をはらんで、目から入って触覚を刺激するかのごとく滑らかに艶を帯びていた。乗り換えに一度電車を降りて、もう反映もないかと見回せば背後に、薔薇色の残骸が緩くくゆっている。最寄りに着く頃にはさすがに黄昏に入ったが、そこまで深くもなく、空にはまだ青さが明らかな下、道の空気は肌に涼しさが強かった。