2020/3/27, Fri.

 戦争全般を議論できる場がなかったという事実は、ナチ国家の特徴を反映している。ナチ国家では、組織が淘汰され極端な独裁が行われたことにより、方針の調整は図られていなかった。もっと正確に言えば、戦略を立てられなかったこと、そして戦争の最後の数年間、将軍たちが自殺行為とも言うべき戦いに部隊を喜んで送り出したことが、ベルント・ヴェグナーが言うところの、ヒトラーによる漸進的な「軍部の実権掌握」につながった。
 この段階的な乗っ取りは、まずはヒトラー国防軍最高司令官就任から始まり、陸軍総司令官への就任、さらには個々の軍集団の作戦を実際に指揮し、国防軍上層部を私的な職員のように扱うところまで発展し、最後には軍上層部は軍事戦略への責任すら持たされなくなっている。全般的にこの過程は、(多くの将軍が一九三三年に望んでいたような)軍部による政治の支配ではなく、(ナチの)政治による軍部の支配を意味していた。国防軍ヒトラーとナチ・イデオロギーに身を任せ、人種の絶滅戦争に喜んで参加し、道徳的責任と軍事的合理性を放棄したことにより、犯罪的で恐ろしく破壊的かつ絶望的な目的のために戦わざるをえない状況に、最終的に追い込まれることになる。
 (リチャード・ベッセル/大山晶訳『ナチスの戦争 1918-1949 民族と人種の戦い』中公新書、二〇一五年、184~185)



  • コートいらずの暖気である。風は激しく、ほとんど荒れていると言っても良いくらいの勢威で駆けていたものの、錯雑とうねり乱れる空気に冷たさはなかった。空には雲が織り成されているが、潮垂れたような明るみも僅か、透けてくる。十字路にもやはり風が太く厚く、樹々を苛烈に侵しては囂々たる唸りを絞り出させていた。
  • 駅前の横断歩道に掛かると風が地を這い、散らばった桜の花びらを巻きこんで小さな渦を作りながら、目に映らぬ透明な車輪のように道路を転がり渡っていく。
  • 労働は一コマ。(……)くん(新中二・数学)、(……)くん(新中二・国語)、(……)くん(新中二・国語)の三人を相手にした。
  • (……)先生が業務の時刻になっても現れなかった。まったく困ったものだ。危うくこちらがもう一コマ担当することになりそうで諦念とともに落胆していたところを、一度退勤していた(……)先生が室長の連絡に応じて戻ってきてくれたので、大変助かった。お礼の気持ちを示すため、菓子やパンを売っている駅前の自販機でチョコレート(「アルフォート」)を一箱買って、職場に戻って渡しておいた。
  • 最寄り駅に降り立つと、電磁ノイズのようにざらざらとした鈍色の虫声が線路脇の草のどこかから湧き出して、随分とやかましく夜気を搔き混ぜていた。今年初めて耳にする。それだけ気温が上がったわけだ。
  • 街道を流れゆく車が導く空気の揺動に応じて、黙然と地に伏せていた桜の花弁が束の間生命を吹きこまれたかのように浮き上がり、暗く籠った夜の水底を、低くささやかに、白く仄めき舞っている。
  • 帰路、街道沿いにトラックを停めて近隣の主婦たちに行商している八百屋の旦那に遭遇した。挨拶を掛けるとこれから、と訊くので、今日はもう終わったのだと答えれば、いいなあ、と羨ましそうな声が漏れるのに、すいませんと苦笑を返す。いつもより早いだろ? と問うのには、新型コロナウイルスの件で学校が休みなのでと応じて、そのほかにも二、三、話してから、客の老婦人たちのあいだを抜けて別れた。


・作文
 27:58 - 28:13 = 15分(27日)

・読書
 13:01 - 13:14 = 13分(「英語」)
 13:21 - 14:11 = 50分(「記憶」)
 14:42 - 15:34 = 52分(小林編)
 19:08 - 19:44 = 36分(小林編)
 21:14 - 21:58 = 44分(芝; 書抜き)
 23:02 - 23:43 = 41分(「記憶」)
 25:27 - 26:40 = 1時間13分(芝; 書抜き)
 26:41 - 27:22 = 41分(熊野)
 28:14 - 29:02 = 48分(熊野)
 計: 6時間38分

・睡眠
 4:45 - 12:25 = 7時間40分

・音楽