2020/7/18, Sat.

 ヒトラーは、バルト海沿岸のエストニア出身で、のちにナチ党の代表的なイデオローグになったアルフレート・ローゼンベルク(一八九三~一九四六)によって、『シオンの賢者の秘密』の存在を知った。ロシアとの協働も考えなかったわけではないヒトラーも、以後ソ連についてユダヤ・ボリシェヴィズムに支配された国という考えを持つようになる。
 ヒトラーは、自らが首相となって六周年にあたる一九三九年一月三〇日の国会向け記念演説において次のように語っている。

もしヨーロッパ内外の国際ユダヤ金融勢力が諸国を再び世界戦争の淵に突き落とすことに成功するようなことがあれば、その帰結は全世界のボリシェヴィズム化とユダヤ人の勝利ではない。むしろヨーロッパ・ユダヤ人種の絶滅に終わるであろう。

 ヒトラーはこの演説で、国際金融資本とボリシェヴィズムというまったく異質で相対立する現象をユダヤ人の陰謀という『シオンの賢者の秘密』の論理をそのまま引き写し融合させている。(……)
 (芝健介『ホロコースト中公新書、二〇〇八年、21~22)



 夢、何か変なものを見たはず。曇り空。アサガオ咲いてきている。

 (……)からメール。漫画教える。

 バルト書見。正午前まで。

 上行って食事。ハムエッグ。たこ焼き。母親帰宅。

 竹富島竹生島

 Oasis『(What's The Story) Morning Glory?』。#12 "Champagne Supernova"が一番良い。

 日記。六月八日。書き方がまたゆっくりなようになりつつある気配。多田智満子が書いていた人みたいになっている。

 Rainbow『Difficult To Cure』。(……)。その後、Joe Lynn Turnerも流す。『The Usual Suspects』。本当は梶山章とやったやつを聞きたかったのだが。このアルバムが出た記念だった気がするが、Joe Lynn Turnerが来日したときに、原宿のアストロホールに(……)と見に行った覚えがある。まだ高校生だったはずなので、二〇〇六年か二〇〇七年のことだと思う。周囲はみんなたぶんRainbow時代から、つまり八〇年代からのファンらしき中高年の男女ばかりだったので、我々はかなり浮いていた。やはり女性ファンがけっこう多かったような記憶があって、Turnerに向けて手を捧げながら歌っていた。なんの曲をやったかは全然覚えていない。"Spotlight Kid"は確実にやっていただろう。もしかしたら開幕曲だったかもしれない。

 二時半で六月八日を完成。投稿。それからすこしだけ運動。三時直前になって外へ。母親に草取りを手伝ってほしいと言われていたので。風を浴びるついでにやってやるかというわけで、軍手をつけて玄関を抜ける。サンダル履きで。外気のなかに出ればやはり室内よりも遥かに気持ちが良い。やはり本当は一日一回は風を肌に浴びたほうが良いのだ。湿気が豊富にはらまれていてしなやかな、吸いついて添ってくるような涼気。家の南側へ。こちらの姿を見るやいなや母親は、そんな格好じゃ駄目だよと言う。半袖にハーフパンツだったので、蚊に刺されて仕方がないと。蚊に刺されるくらいどうでも良いので取り合わずにいたが、すると母親は虫よけジェルを持ってくると言って場を離れた。そのあいだにこちらはしゃがみこんで、フォークみたいな器具を手に取って土を掘り出す。雨で嵩が増した沢の響きが恒常的な基盤として空間の底に伏して広がっており、空からはウグイスの声が聞こえてくる。尋常に落ちるものもあるし、こまかくピキュピキュと騒ぐものもある。カラスも近くで鳴いていて、見上げれば家そばの林の梢にいるらしかったが、姿が見えない。最初のうちは間抜けたように気ままに鳴いていたが、あとになるとずいぶんと声を連ねて盛っていた。風はあまりなく、シュロや梅の葉先がわずかに揺らぐ程度だが、空気は涼しい。
 (……)
 (……)
 家の壁際に植えられて、ネットに育ってこちらの部屋の窓外を覆っている植物は葉っぱの形からして二種類あるようだと思っていたところ、やはり淡い赤紫色のアサガオのほかに黄色い花が咲いていて、これは何かと母親に尋ねてみたところ、ゴーヤだと言った。ゴーヤを植えていたとは知らなかった。数年前にも同様に植えていたが。

 三時半くらいまでやってなかへ。父親が頼んだ荷物が届いていたので整理。二〇一一年に被災した地方の支援らしく、三陸の海の幸もろもろ。タコとかホヤとか牡蠣の佃煮みたいなやつとか。味噌があったのが気になる。どういう味なのか。

 下階に戻るとギターをいじって遊ぶ。例によってブルース。また、Oasisのバンドスコアがあったので、"Wonderwall"などちょっと練習する。本当はカポタストを二フレットにつけてF#mのキーなのだが、面倒なのでEmのままでやる。スコアのコードの押さえ方は響き方が微妙な箇所があったので、一部変える。弾き語れれば良いわけだから、おおまかなコード進行がわかれば、あとは自分で良い感じにすれば良い。あっというまに二時間。五時四〇分に至る。アコギは面白すぎる。これが一本あれば一日中遊んでいられる。

 それから夕食の支度へ。こちらはレトルトのカレーを食うことに。小沢健二『刹那』を流し、米を磨いで炊く。母親はタマネギを豚肉で巻くとか言っていて、それは面倒臭かったのでこちらは味噌汁を作ることに。タマネギと卵。大方タマネギを煮ている鍋の前で身体をほぐしているだけの時間。横では母親が解凍した豚肉でタマネギを巻きこんでいる。タマネギが柔らかくなると味付けして、溶き卵も垂らして完成。その時点で六時半頃だった。米があと数分で炊けるところだったのでもう食事をはじめてしまい、新聞を読みつつ味噌汁を先に食べる。我ながら美味い。そう言えば、三浦春馬が首吊り自殺したらしいという報が、上階に来る前にTwitterで話題になっていたが、テレビのニュースにも取り上げられていた。『世界はほしいモノにあふれてる』で何度か見かけてわりと好感を持っていたので、ちょっと残念ではある。どういう動機なのか何もわからないが、もし精神的に鬱屈していたのだとすると、コロナウイルスの騒ぎもいくらかは寄与したのではないか。コロナウイルス騒動からくる不安やストレスなどで精神状態を悪化させた人というのはたくさんいるのだろうし、それによって自殺した(それが自殺の引き金になった)という人もたぶんある程度はいるのだろう。

 レトルトカレーや肉巻きやキャベツ・大根・紫タマネギ・キュウリのサラダなどを食う。帰室するとまたギター。一度さわりはじめるとすぐにやめられなくなるので困る。"Every Breath You Take"とか弾き語れそう。原曲のキーのままだと例の有名なアルペジオが難しいのだが、キーをGに下げれば簡単にできることに気づいた。この曲は後半でメロディもかなり高くなるので、その点からしてもむしろ都合が良い。

 またしても一時間半をあっという間に消してしまい、九時。それから今日のことをメモして、一〇時前。一一時から(……)さんと通話の予定。



 (……)は検索すると一三人。一七日時点で。前日比二人増とあった。ここまで影響が及んでいるようだ。

 二時三七分、Nikolai Kapustin『Kapustin Plays Kapustin Vol.1』。大変にすばらしい。よくもこんなに明瞭に、明晰に、淀みや濁りなく弾けるものだ。ここに音楽があるという感じ。

 六月九日を完成させ、七月二日もいくらか記録を厚くしたあと、ベッドに移ってインターネットをちょっと回り、五時五分に就寝。