2020/10/30, Fri.

 人間が二つの生物学的な性に分けられていなければ、文学はたぶん必要とされないだろう。また、〔二つの〕性の関係がどのようなものであるかを文学が寸分違わず語ることができるなら、文学の多くはおそらく不要になるだろう。だが、ともあれ、それは文学にセクシュアリティの真実を語る能力があるか否か、といった単純な問題ではない。というのも、文学がその点にまっすぐ照準を据えようとした瞬間から、文学自体が、理解しようと目論むセクシュアリティから抜け出せなくなってしまうからだ。文学が捉えられないものはセクシュアリティの生ではない。文学こそ、われわれ話す動物にとってセクシュアリティを不確かなものにしているもののまさに核心に位置している。文学はセクシュアリティという問題の挫折した探究者であると同時に、手に負えない下手人でもあるのだ。
 (バーバラ・ジョンソン/土田知則訳『批評的差異 読むことの現代的修辞に関する試論集』(法政大学出版局/叢書・ウニベルシタス(1046)、二〇一六年)、21; 「2 アレゴリーのトリップ=ティーズ 「白い睡蓮」」)



  • 一〇時四〇分に起きることができた。よろしい。この日のことは大して覚えていない、というかそれほど多くのことをやらなかったのだ。前半は日記を進め、夜からはひたすら怠けたというくらいだ。あとは久しぶりに夕食をつくった。
  • 日記は一〇月二一日と二二日を完成させて、計五時間強邁進。この前日にやはり二一日の日記を書いていて思ったのだけれど、記憶を補完して日記に記す情報を正確なものにするためウェブに繰り出すと、それで余計な時間を費やしてしまいがちなので、日記を書くときは全面的に記憶に頼ったほうが良い。記憶が曖昧な箇所は(つまり固有名詞が思い出せないところなど)そのまま書けば良いわけである。そのとき覚えている範囲のことを反映させればそれで良い。そのあとで、一応正確な情報を記録しておこうかなという気になる事柄に関しては検索して補足しておくのが良いだろう。
  • 夕食は、午前に母親がつくってくれたキーマカレーが残っていたのでメインはそれで良いとして、ソテーと味噌汁をこしらえることにした。炒め物はナスとピーマンとひき肉、味噌汁はタマネギと椎茸である。冷蔵庫に入っていた野菜に触れたときや、それを流水で洗うときなど、手指に伝わる感覚がもうかなり冷たい一〇月の暮れだ。料理をしているあいだ、つまりフライパンや鍋を火にかけて野菜が柔らかくなるのを待っているあいだは、屈伸をしたり開脚をしたりして下半身を和らげていた。できると洗濯物を畳んでそのまま食事。
  • 日記はそこそこ頑張ったのだが、読み物などそのほかのことをまったくできなかったのがこの日の反省点だ。かろうじてこなせたのは二〇分の調身程度。日記を書くにせよウェブに遊んで怠けるにせよそうなのだけれど、行動の連鎖・持続を断ち切るのが難しいということはある。おりおり立ち止まって方向転換を図るというか、方向転換をしないにしてもすくなくともこのまま進んで良いのか検討する瞬間をつくらなければ生活は組織しづらい。そして立ち止まるということは現在地点を意識するということであり、現在地点に意識を向けるためにはやはり呼吸を見るということが技術的に肝要なのだと思う。ある種の没入というか、現在時に対する志向性を持たないまま持続する行為連鎖の嫌なところは、時間が粗雑に流れていって確かな手触りのないうちに消え失せるということだ。それを防ぐためにはやはり呼吸を媒介としてそのときどきの身体・存在感覚をつかんでいくということになるだろう。意識の志向機能に呼吸を媒介させる(呼吸のなかを〈くぐらせる〉)というのは平たく言ってそのときの現在に集中するということであり、まったき現在への集中を常に保ち続けるというのがヴィパッサナー瞑想における理想状態である。
  • 昨日か一昨日、できれば毎日習慣的に行いたい事柄を書き出してみたところさしあたり一四項目あって、そんなにあってはすべてを毎日欠かさずやるのは無理である。それで、第一の日課記録とはべつに第二の日課記録としてその一四項目に費やした時間をそれぞれ記録しておくことにした。何をするにせよとりあえず一日のなかでそれに触れる時間をつくるということが最大の重要事である。触れることができれば、あとはその時間を増やしていければ良い。とはいえ先述のように一四の営みを一日で全部こなすのは無理なので、記録をつけておけば、昨日はこれをやっていないから今日はやろうとか、これは昨日たくさんやったから今日は良い、という感じで配分を調整し、何日かにまたがった単位で習慣を続けていくことができる。繰り返しになるが何よりも重要なのはとりあえずその行動をやるということで、やる時間を取れれば質などは二の次である。ともかくもその行為の時間のなかに入ること、入ったらあとはそこにとどまり、滞在しながら過ぎていくその時間を感じること、それだけだ。


・読み書き
 12:07 - 14:00 = 1時間53分(2020/10/21, Wed.)
 14:18 - 16:16 = 1時間58分(2020/10/21, Wed.)
 18:39 - 21:00 = 1時間21分(2020/10/22, Thu.)
 計: 5時間12分

  • 2020/10/21, Wed. / 2020/10/22, Thu.

・音楽