遥かのちにヘーゲルは、「ミネルヴァの梟は夕暮れに飛びたつ」と語った。ギリシアの知恵の女神は、ローマではミネルヴァと名をかえる。ある時代の生を哲学が灰色の思考で描きとるとき、緑なす生自体はすでに過ぎ去っている、哲学とは一時代のおわりに、その時代を概念的に総括するために登場するものなのだ、というほどの意味である。アリストテレスの思考は、古典期の黄昏に、その羽をひろげた。ポリスの夕暮れのあとを襲ったのは、コスモポリテース(世界市民)の時代と、その思考である。
(熊野純彦『西洋哲学史 古代から中世へ』(岩波書店、二〇〇六年)、116; 第7章「自然のロゴス すべての人間は、生まれつき知ることを欲する ――アリストテレス」)
- ちょうど一一時あたりで覚めて、一一時二〇分にいたって離床。きょうは瞑想をサボった。食事はカップ蕎麦を煮込んだものや、ジャガイモのソテーなど。新聞から沖縄の基地返還関連の記事を読んだ。キャンプ・キンザーもしくは牧港補給施設というものが浦添市にあって、嘉手納以南の返還計画の一環で二五年が目安になっているようなのだが、移設先の建設計画がすすんでいないので難しそうだと。ここは菅義偉が官房長官時代からとりくんできたところらしく、四月一六日にバイデンと会ったときもキャンプ・キンザーを含めて、と具体名を明言しながら基地返還の推進をうながしたという。二〇一五年にこのキャンプ・キンザーの国道に面した部分だけは先行返還するという合意が成立し、それがさきごろ実現されて、そうすると国道が八車線に拡張できるので渋滞緩和が見込まれていると。
- 政治面のほうの記事には、北部訓練場の返還および東村高江地区の反対運動について記されてあった。北部訓練場地域を返還するとなったときに、たしか七つあったヘリパッドのうち六つを未返還のべつの場所に移設するということが条件となり、その場所として選ばれたのが高江地区で、ここの集落をかこむようにして建設がなされるので地元住民から反対の声があがった。さいしょは住民でまとまって役所に請願に行ったりしていたらしいが、外部の活動家がはいってくると運動は過激化し、バリケードを築いて工事車両の通行を阻止したり、からだを張って妨害したりということが常態となり、すると住民のあいだでも距離を取ったりあきらめを口にしたりするひとが出はじめて、ひとびとは分裂し、最終的には機動隊の投入をまねいて終わった。菅は高江地区には多少気を配っていたようで、仲嶺というこの地区の長の連絡先を入手し、ヘリの騒音はどうですかとかたびたびメールや電話をよこしていたという。とはいえ、いまも訓練があると飛行機がぐるぐる回り、騒音のために窓がガタガタ揺れて恐怖をかんじる、と仲嶺氏の言が紹介されてあった。
- 食器と風呂をあらって帰室し、Notionを用意してまずきょうのことをここまで。一二時半。
- 労働(……)
- (……)
- あとは(……)さんのブログを読んだことと、三宅誰男『双生』(自主出版、二〇二一年)をすすめたことくらい。169に誤字があったので(……)さんに知らせるためここに指摘しておく。「(……)小隊長の、声を張りあげるたびによろめく短身のかたわらには同じようにおぼつかなない足取りの(……)」という箇所がそれである。「おぼつかない」の「な」がひとつおおくなっていた。いまのところ、こちらが気づいた誤字脱字のたぐいはそれだけ。