2022/2/25, Fri.

 天使に向かってこの世界を賞賛しろ。言葉によっては語れぬ世界をではない。壮大なものを感じ取ったとしても、天使にたいしては誇れるものではない。万有にあっては、より繊細に感受する天使に較べれば、お前は新参者でしかない。単純なものを天使に示せ。世代から世代へわたって形造られ、われわれの所産として、手もとに眼の内に生きるものを。物のことを天使に語れ。天使はむしろ驚嘆して立ち停ることだろう。お前がいつかローマの縄綯いのもとに、ナイルの壺造りのもとに足を停めたように。天使に示せ、ひとつの物がいかに幸いになりうるか、汚濁をのがれてわれわれのものになりうるかを。悲嘆してやまぬ苦悩すらいかに澄んで形態 [かたち] に服することに意を決し、物として仕える、あるいは物の内へ歿することか。その時、彼方から伴う楽の音も陶然として引いて行く。この亡びることからして生きる物たちのことをつぶさに知り、これをたたえることだ。無常の者として物たちはひとつの救いをわれわれに憑 [たの] むのだ、無常も無常のわれわれに。目には見えぬ心の内で物たちを完全に変化させようではないか。これはわれわれの務め、われわれの内で、ああ、はてしのない務めだ。われわれが結局、何者であろうと。

 現世よ、お前の求めるところはほかならぬ、目には見えぬものとなって、われわれの内(end223)に甦えることではないのか。いつかは目に見えぬものとなること、それがお前の夢ではないか。現世であり、しかも目に見えぬものに。この変身を求めるのではないとしたら、お前の切々とした嘱 [たの] みは何であるのか。現世よ、親愛なる者よ、わたしは引き受けた。安心してくれ、わたしをこの務めにつなぎとめるには、お前の春をこれ以上重ねる必要はおそらくないだろう。一度の、ああ、たった一度の春だけで開花には十分に過ぎる。名もなき者となってわたしはお前に就くことに決心した、遠くからであっても。お前は常に正しかった。そしてお前の聖なる着想は、内密の死であるのだ。

 このとおり、わたしは生きている。何処から来る命か。幼年期も未来も細くはならない。数知れぬ人生が心の内に湧き出る。

 (古井由吉『詩への小路 ドゥイノの悲歌』(講談社文芸文庫、二〇二〇年)、223~224; 「24 ドゥイノ・エレギー訳文 9」)



  • 一〇時直前に覚醒。ゆめをみたのだが、こまかい内容はのこっていない。追われているなにものかを逃がそうとするかんじのものだったとおもうのだが。起き抜けにたまにあることだが、不安やむなしさめいた気分の感触がわずかにあった。しばらく深呼吸してからだをほぐし、一〇時半に離床した。水場に行ってきてから瞑想。一一時直前まで座った。
  • 上階へ行き、ジャージに着替えて食事。唐揚げや野菜スープなど、どれもきのうののこりものである。新聞一面にはとうぜんロシアのウクライナ侵攻がおおきくセンセーショナルにとりあげられており、死者がすくなくとも四〇人出ているともあった。なかもほぼこの話題一色といったかんじで、特集が組まれている。一面の記事には、きのうGuardianでみたいじょうのことはそんなになかったとおもう。
  • 食事を終えると食器を洗って片づけ、いつものように風呂も洗うと白湯を持って帰室。コンピューターを用意してここまで記述。一二時一二分である。きょうは労働で三時ごろ出る。きのうけっきょく出かけなかったし、あしたかあさってに(……)に行って『魔の山』を買いたいとおもっている。
  • きのう、二四日の記事をつづって投稿。そうしていま一時直前。
  • ウクライナ関連の記事をいくつか読んだ。したの三つははてなのトップページにとりあげられていたもの。

 (ブルームバーグ): ウクライナの首都キエフは数時間以内に陥落してロシア軍に掌握される可能性があると、西側情報当局の高官が述べた。ウクライナの防空能力は事実上、無力化されたという。
 同高官によれば、ロシア軍の部隊はドニエプル川の両岸からキエフ制圧に向かっている。既に数カ所の飛行場が同軍の手に落ち、さらなる部隊の派遣に利用可能だ。
 同高官はロシアの軍事行動について、これまでのところウクライナの東部と南部、中央部に集中しているものの、プーチン大統領は全土掌握を目指していると考えられると指摘。最終的には現政権の転覆とかいらい政権樹立を狙っているとみられる。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は国の防衛に努めると言明した上で、自身と政権はキエフにとどまると述べた。事情に詳しい高官によると、ロシアが人口300万人のキエフを掌握すれば市民に激しい暴力が加えられる可能性がある。

 ロシア各地で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領によるウクライナ侵攻開始の決定に抗議する反戦デモが行われ、参加者約1400人が警察に拘束された。独立監視団体「OVD Info」が24日、明らかにした。
 同団体によると、拘束人数は51都市で少なくとも1391人に上り、うち700人以上が首都モスクワで、340人以上が同国第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)で拘束された。
 現地のAFP記者によると、モスクワ中心部のプーシキン広場(Pushkin Square)には約2000人が集結。サンクトペテルブルクでも最大1000人が集まった。
 SNSでデモが呼び掛けられたことを受け、同国の重大事件を扱う政府機関、連邦捜査委員会(Investigative Committee)は、国民が無許可の反戦デモに参加すれば「法的な影響」を受けると警告していた。
 ロシアには抗議活動を取り締まる厳格な法律があり、デモ参加者は頻繁に集団拘束されている。過去に大規模な反プーチン政権デモを主導し、現在は収監されているロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏は24日、獄中で行われた裁判で「この戦争に反対だ」と陳述した。(c)AFP

 ウクライナ大統領府は24日、1986年に世界最悪の原子力発電所事故が起きたチェルノブイリ(Chernobyl)原発が、ロシア軍により占拠されたと発表した。
 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はこれに先立ち、「ロシアの占領部隊は、チェルノブイリ原発を占拠しようとしている。わが国の兵士は、1986年の悲劇を繰り返さぬよう命をかけている」とツイッターTwitter)に投稿。「これは全欧州に対する宣戦布告だ」と非難していた。
 大統領府高官は「ロシアの全く無分別な攻撃を受け、チェルノブイリ原発が安全かどうかは断言できない。これは現在の欧州にとって最も深刻な脅威の一つだ」と述べた。(c)AFP

Ukrainian president Volodymyr Zelenskiy said 137 people inside Ukraine had died and 316 had been wounded as a result of Russia’s invasion and military attacks. In a video address late on Thursday, the Ukrainian leader said he was disheartened after speaking to the leaders of Nato member states after the invasion began. “We have been left alone to defend our state. Who is ready to fight alongside us? I don’t see anyone,” he said.

Russian troops have entered the country from the north, east and south, seemingly targeting the capital, Kyiv, as well as the cities of Kharkiv and Kherson respectively, in the hours since explosions were first heard at dawn on Thursday. Russian troops have seized the Chernobyl nuclear power plant in the north and there were credible reports they were holding staff there hostage, the White House said. Meanwhile, a fierce battle for the strategic airbase close to Kyiv appeared to be continuing late on Thursday. Additionally, every single soldier defending Zmiinyi Island, or Snake Island, in the Black Sea had died, Zelenskiy said.

Ukraine has decreed a full military mobilisation against the Russian invasion. For the next 90 days, the Ukrainian military will determine how many people are eligible for national service. Ukrainian men aged 18-60 are now forbidden from leaving Ukraine, the State Border Guard service announced. Earlier, Zelenskiy declared martial law and vowed to issue weapons to every citizen willing to defend their country.

The UK Ministry of Defence said on Friday that Ukrainian forces had provided “fierce resistance across all axes of Russia’s advance” and that is was unlikely Russia had achieved all its objectives for the first day of the invasion.

Vladimir Putin’s decision to launch a catastrophic new European war, combined with the sheer weirdness of his recent public appearances, has raised questions in western capitals about the mental stability of the leader of a country with 6,000 nuclear warheads.

They worry about a 69-year-old man whose tendency towards insularity has been amplified by his precautions against Covid, leaving him surrounded by an ever-shrinking coterie of fearful obedient courtiers. He appears increasingly uncoupled from the contemporary world, preferring to burrow deep into history and a personal quest for greatness.

  • マクロンの証言による傍証。かつてはヴェルサイユなどでそれなりに友好的な関係をきずいていたのだが、今次の件で交渉したときのプーチンは、マクロンがさいごに会った二〇一九年のかれとは別人だったと。

The French president, Emmanuel Macron, is well-placed to analyse changes to Putin’s demeanour. Macron once drove a cooperative, if self-conscious, Putin round the gardens of the palace of Versailles in a tiny electric golf cart in the summer of 2017 and welcomed him to his holiday residence at a fortress on the Mediterranean coast the following summer, where Putin descended from a helicopter carrying a bunch of flowers and complemented the Macrons on their tans.

After Macron held five hours of talks with the Russian leader in Moscow at opposite ends of a 15-metre table, he told reporters on the return flight that “the tension was palpable”. This was not the same Putin he had last met at the Elysée palace in December 2019, Macron said. He was “more rigid, more isolated” and was off on an “ideological and security drift”.

  • フランス当局はプーチンの演説を「偏執症」(paranoid)的だと評し、欧州議会のBernard Guettaという議員は、プーチンは「現実感覚を失って」(losing his sense of reality)、あたまがおかしくなったようにおもうと述べ、ながくプーチンの支援者だったというチェコのMilos Zeman大統領すら、「狂人」(madman)だと非難した。狂人認定は、そんなこと言ってもしょうがないじゃんというか、あまり有益でも生産的でもないようにおもえるのだが、プーチンがとち狂ったとしかおもえないというのはむろんそのとおりではある。

Following Putin’s speech on Monday, an Elysée official made an unusually bold assessment that the speech was “paranoid”. Bernard Guetta, a member of the European parliament for Macron’s grouping, told France Inter radio on Thursday morning, after military invasion began: “I think this man is losing his sense of reality, to say it politely.” Asked by the interviewer if that meant he thought Putin had gone mad, he said “yes”.

Guetta is not alone. Milos Zeman, the Czech president and long one of Vlaldimir Putin’s staunchest supporters, denounced Putin a “madman” after the invasion.

  • プーチンが演説で述べたらしいつよい脅しのことばももういちど確認しておく。きのうの記事で引かれていた箇所とはいくらかちがうようだが。英訳の問題かもしれない。きのうの記事でみられたのは、“To anyone who would consider interfering from the outside: if you do, you will face consequences greater than any you have faced in history. All relevant decisions have been taken. I hope you hear me,”ということば。

Putin frequently refers to that huge arsenal, and made a thinly veiled reference to them when he launched the war on Ukraine.

He said: “Whoever would try to stop us and further create threats to our country, to our people, should know that Russia’s response will be immediate and lead you to such consequences that you have never faced in your history. We are ready for any outcome.”

  • NATOの戦力はウクライナの至近につどっており、かれらはウクライナ軍に武器を提供しつづけると明言しているが、逆にいえばそれしかできないわけだ。

The US and Nato have made it very clear that they will not intervene directly in Ukraine, but their forces are in ever closer proximity and they have vowed to keep sending arms to Ukrainian forces if they become a guerilla resistance to Russian occupation.

  • ロシア、というかプーチンの目的は、上記Bloombergの記事によれば、「全土掌握」であり、「最終的には現政権の転覆とかいらい政権樹立」をめざしていると、すくなくとも西側当局の高官は判断している。すでに予想されたなかで最悪のケースが起こっているわけだが、このさきのシナリオとして最悪なのは、とうぜん世界大戦への拡大や核兵器の使用だろう。ウクライナの抵抗が功を奏してさまざまなコストがかかりすぎると判断され、ロシア軍がとちゅうで行動を中止し、外交的交渉にもどる契機が生まれ、東部親露派を併合するだけで終わる、というのが、もはや最良のばあいだと判断せざるをえないだろう(二五日の夜の時点で、すでにいくつかの都市が占拠されたようだから、たぶんこの線にはおさまらない)。そのあいだが、ロシアの占領地がもうすこしひろくなったり、キエフが落ちて政権がすげかえられ(二三日水曜日の読売新聞六面によれば、ロシアは「殺害または収容所に送る対象者のリスト」をつくっているとも言われており、ゼレンスキー大統領は演説でみずからじぶんがターゲットNo. 1だと断言している)、ウクライナが事実上ロシアの属国になるという事態だろう。プーチンはそのようにして、NATOとのあいだの緩衝地帯もしくは防波堤国家をつくりたいのではないか。いずれにしてもウクライナがかつてのドイツのように分裂国家になることはもはや避けられない気がする。あとはキエフが落ちるか落ちないかのちがいでしかない(とてもおおきなちがいではあるが)。そうなると、世界情勢はけっきょくのところ、(ヨーロッパではウクライナを境として)冷戦時代に回帰したようなかたちになるのではないか。ただ冷戦期とちがうのはもちろん、ロシア側に中国という大国がもうひとつつくことである。じっさいのところ今回の件でもっとも利益を得る、もしくはそれをねらえる位置にいるのは中国ではないか。アメリカ側につくにせよ、ロシア側につくにせよ、どちらにしてもおおきな恩を売れるからである。きょうの朝刊だったかきのうの朝刊だったかでみた記憶があるが、中国は、王毅だったか華春瑩だったかが、ロシアとウクライナには歴史的に特殊な事情があり、ロシアの安全保障上の懸念を理解する、みたいなことを表明していたはずだ(したの毎日新聞の記事によれば、王毅が「各国の主権、独立、領土保全は尊重されるべきで、ウクライナも例外ではない」と述べているが、たぶんこれにつづけてか、このまえに述べられたことばではないかとおもう)。読売新聞はそれを「事実上の支持」と書いていたが、だから中国はもうすでにロシアにひとつ貸しをつくったとみてもよいのかもしれない。いっぽうで、きのうの記事にしるしたように、アメリカ側につけばついたで、それは米国に莫大な恩を売ることになる。だから、したに引く毎日新聞の記事で華春瑩がどちらつかずの態度をとりながら、「中国人は結論を急がない」などとよくわからない民族性をうそぶいているのは、漁夫の利をねらって利益を最大化できる介入のタイミングを待っているものの姿勢ではないか。それでは中国にとって利益がもっともおおきくなるのはどういうケースかというと、状況がもはや欧米の手には負えず、もうどうにもならなくなって、アメリカがプーチンを説得してほしいとあたまを下げてくるばあいだろう。きのうも書いたとおり、それは中国の威信を世界的にひじょうにたかめることになるだろうし、その一事でもはや米中の覇権争いがなかば決まってしまうとすら言ってもよいのかもしれない。習近平プーチンを説得して軍事行動をやめさせることに成功すれば、アメリカとロシアという世界の二大大国を、中国が仲立ちし、和解させたという、きわめておおきな宣伝材料を得ることができる(ビル・クリントンホワイトハウスでおこなわれたオスロ合意調印のときに、イツハク・ラビンとヤーセル・アラファトのあいだに立って、かれらが握手をするのを両側からつつみこむように手をひろげつつ背景となっている画が有名だが、イメージとしてはあのクリントン習近平になるような感じだ)。だから中国は、ロシアにギリギリのところまで攻めこませておいて、アメリカがもはやどうにもできなくなるタイミングをうかがっているのではないか(ただそうなったばあいでも、習近平プーチンを説得できるかはわからない)。アメリカもとうぜんながらそういう状況にいたる可能性はかんがえてはいるだろう。しかしもちろん、それは米国にとって屈辱的なことだし、また自国の存在感を弱めることになるので、なるべくなら、というかぜったい、そういう方策はとりたくないはずだ。だからアメリカもいまはまだ、ウクライナがかれらだけでどこまでやれるのか、どこまでもちこたえられるのかを注視している段階だと推測する。すくなくとも米国にとってはまだ、中国にたよらなければならないほど、最大限に切羽詰まった状況ではないということではないか。最大限に切羽詰まった状況になったとしても、バイデンが習近平を仲介にかませるか、やはりうたがわしくもおもえる。そうなったら、たぶんアメリカの時代がそこでかんぜんに終わるだろうからだ。
  • トルコがからんでくるかもしれない情報が以下。

An errant Russian missile hit a Turkish-owned cargo ship in the Black Sea off the coast from the port city of Odessa on the first day of fighting. There have already been close encounters between Russian and Nato planes, while their naval forces will brush alongside each other. Ukraine has asked Turkey to close the Dardanelles Strait to Russian warships, to stop them moving from the Mediterranean to the Black Sea. Putin could also see the Nato provision of weapons, or certain types of sanctions as strategic threat, and respond in an unpredictable way.

  • 専門家は、さまざまな軍事力が至近で展開されており、双方の意思疎通もじゅうぶんに確保できずあいての意図を(疑心暗鬼的に)おしはかるしかない状況のなか、事態が一挙にエスカレートする可能性を懸念している。

Emma Claire Foley, a researcher at Global Zero, a disarmament advocacy group said she worries about “the risks of having all these troops, all this material, in close proximity plus the sort of the ambiguity that an actual war introduces for people who are trying to understand the meaning of the other side’s actions, especially when communication is limited.”

Hans Kristensen, director of FAS’s nuclear information project said that any unintended clash would have to go through several phases of escalation before nuclear weapons would be contemplated, but he cautioned: “If a direct clash happened, that escalation to that point could happen quickly.

“It doesn’t necessarily have to go according to plan.”

 ロシアによるウクライナ侵攻について、中国はロシアに対する非難を避けつつも失望感は示している。米中対立の構図の中でロシアとの協力関係は重要だが、今回のロシアの行動は欧米だけでなく、国連やアジア、アフリカなど各国も批判しているためだ。
 中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道局長は24日の定例記者会見で「ウクライナにおける状況は我々が見たくなかったものだ」と述べ、ロシアを名指しすることは避けつつ「各方面は自制すべきだ」と呼びかけた。記者に「ロシアによる侵略と見ないのか」と詰め寄られ「中国人は結論を急がない」と苦しい返答を迫られる場面もあった。
 中国の習近平国家主席は4日に北京で開催したプーチン露大統領との会談で、北大西洋条約機構NATO)の東方不拡大を要求するロシア側の主張を支持し、足並みをそろえた。一方でウクライナの領土や主権については「各国の主権、独立、領土保全は尊重されるべきで、ウクライナも例外ではない」(王毅国務委員兼外相)と、ロシアに自制を求めている。
 中国は米国との対立を背景に、利害が一致する部分でロシアと連携しているが、ウクライナも友好国だ。2011年には戦略パートナーシップに関する協定を締結。中国初の空母となった「遼寧」はウクライナから購入した空母を改修して就航させており軍事面でも結びつきが強い。このためウクライナ問題でロシアを一方的に支持するわけにはいかない。14年にロシアがウクライナ南部クリミアを強制編入した際も中国は明確な態度を示していない。
 また、ロシアが主張するウクライナ東部・親露派支配地域の「独立」は、国内に多くの少数民族を抱え、台湾独立の動きを警戒する中国にとって、敏感な問題だ。実際に中国はウクライナの状況を台湾と比較することに強く反発している。
 台湾の蔡英文総統は23日、ウクライナ情勢の急変で中国の軍事的圧力が増すことを念頭に、台湾海峡周辺の警戒強化を指示した。これに対し華氏は同日の会見で「台湾当局の一部の人々がウクライナ問題に便乗するのは賢明ではない」と批判。「台湾はウクライナではない。台湾が常に中国の領土の不可分の一部なのは、反論の余地のない歴史的、法的事実だ」と述べ、主権国家であるウクライナと台湾を同列に扱うことに反発した。
 中国は今秋、5年に1度の中国共産党大会を迎え、習総書記が3期目続投を目指すとみられている。習氏にとっては外交、内政とも安定の維持が最優先事項だ。ロシアによるウクライナ侵攻の余波を受けるのは避けたいのが本音とみられる。【北京・岡崎英遠】

Gunfire has been heard in central Kyiv and there are reports of heavy fighting in the city’s northern suburbs after Ukraine said it expected a Russian armoured attack on the capital and its outskirts on Friday.

The defence ministry urged citizens to resist when Russian forces entered Kyiv, telling residents to inform authorities of all troop movements, and “make molotov cocktails and neutralise the enemy”.

  • ラブロフの発言は、正気の沙汰とはおもえない。

Russia’s foreign minister, Sergei Lavrov, said “no one is planning to occupy Ukraine”, adding that Moscow was ready for talks if Ukrainian forces laid down their arms.

Granted, Putin is a hardcore nationalist and an obvious admirer of martial virtues. He believes in Russia’s Manifest Destiny and has spoken at length about the West’s refusal to acknowledge what he insists is Moscow’s sphere of influence.

His frustration is perhaps understandable, given that his austere worldview offers no effective counter to Western soft power – the attractive values and lifestyles that lured westward the states and people previously within the Warsaw Pact and the USSR.

  • 過去何度かの周辺への軍事介入(チェチェンジョージア、そしてクリミア)をとおしてもみずからの権力が揺らぐ事態にいたらなかったことが、プーチンをつけあがらせたのではないかともいう。

It seems likely the Russian leader has been emboldened by a combination of prior experiences.

These include the success of his earlier ventures in the military sphere, including his conclusion of the war in Chechnya, his revanchist assault upon an assertive Georgia, his open annexation of Crimea, his deniable sponsorship of breakaway republics in Donbas and his low-casualty expedition in Syria.

He weathered the blowback from all the above – be it Chechen terrorism or Western sanctions – with his power unshaken.

Moreover, while Russia has enjoyed recent military successes, Team Putin may well take comfort in recent US failures in its exercise of hard power.

America was humiliated in Somalia. Its national will to prevail in Iraq was eroded. And, most recently, a retreat from Afghanistan – engineered by one US president, implemented by another – closed the doors on a 20-year Western intervention and opened the gates to a near-immediate Taliban victory.

  • プーチンの精神状態がなにかしら尋常ではないのではないか、という可能性はここでもふれられており、それらしい説が提示されている。ややうさんくさいはなしではあるが、プーチンのさいきんの写真を分析したAsia Timesの”medical source”によれば、プーチンの顔のむくんだようすはステロイド(筋肉増強にもちいる)使用者に特徴的なもので、それによって攻撃性が増したり、ばあいによっては精神病におちいることすらあるという。ステロイドは免疫低下にもつながるから、コロナウイルス感染を避ける厳格な隔離措置もそこから来ているのではないかと(筆者も、これはあくまで憶測でしかないとことわってはいる)。

This source noted that the apparent puffiness of the president’s face is characteristic of the “moon face” seen in patients on steroids. The source further noted that psychiatric effects are associated with such medications, ranging from increased aggression and impaired judgment up to psychosis.

That speculation looks credible. Putin is given to macho behavior, such as displays of his chiseled torso. But, at age 69, he faces the inevitable effects of aging. Steroids are also strong immunosuppressants, which would explain Putin’s extremely stringent personal Covid isolation regime over the past two years.

  • 夜、夕食時に、新聞の六面に載っていたプーチンの演説要旨を読んだ。文章は、「私は2月21日の演説で、米欧の無責任な政治家たちによって乱暴かつ無礼につくられている、我々の国への根本的な脅威について述べた」とはじまっている。二段落目で、われわれは安全保障の原則にかんしてNATOと合意にいたろうと努力したが、それにもかかわらずNATOは着実に拡大をつづけていると述べたあと、さらにつぎの段落では、「なぜこうしたことが起きているのだろうか。この無礼な態度はどこから出てくるのか」と、もういちど「無礼」ということばをもちい、さらには「我々の利益と絶対的に合法的な要求に対する見下した姿勢は、どこから来るのだろうか」と問うている。プーチンの回答はソ連の弱体化と崩壊というできごとであり、それは「権力と意志のまひが、完全なる衰退への第一歩となることを説得力を持って示した」と「教訓」を口にしている。
  • しばらくすすむと、「NATOは、東方に1インチも拡大しないと我々の国に約束した」という例の主張が登場し、それにつづけて、「繰り返すが、彼らはうそをついた。そのような不正行為は、国際関係の原則だけでなく、一般的な道徳の規範とも矛盾する。ここに正義と真実はあるだろうか。やむことのない、うそと偽善だ」と西側の良識のなさを非難することばがならべられる。
  • 「問題は、我々に隣接する領土、我々の歴史的な領土で、外部の統制下に置かれた、我々に敵対する「反ロシア」の動きが構築され、NATO諸国の最新兵器が投入されていることだ」という一文では、ウクライナが「我々の歴史的な領土」だと明言されている。行をうつして、「米国とその同盟国にとって、これはロシアの封じ込め政策だ。我々の国にとっては死活問題だ。誇張ではない。我々の国家、主権に対する真の脅威だ」とつづく。
  • 「(ウクライナ東部で)起きていることは、そこに住む多くの人々に対するジェノサイド(集団殺害)だ」という最前からの主張もくりかえされ、「軍の特殊作戦」の実施が表明されたのち、その「目的は、ウクライナの政権によって8年間、迫害とジェノサイドにさらされてきた人々を保護することだ」といわれている。いっぽうで、そのあいまにはまた、「ロシアは、現代のウクライナの領土からもたらされる絶え間ない脅威により、安全を感じることはできない。決定的で迅速な行動を取る必要がある」という「脅威」論が反復されている。うえの「目的」につづけて、「我々はウクライナの非軍事化に努め、ロシア市民を含む民間人に対して、多くの血なまぐさい犯罪を犯した人々を裁判にかける」と作戦の目標がしめされているが、「ロシア市民」といわれているのは、ここ数年、ロシアが東部親露派の住民にパスポートを交付してきた事実を受けているだろう。そのようにしてロシアは、介入の名分を準備してきたわけだ。
  • 「我々の計画にはウクライナ領土の占領は含まれていない。力で強制することはしない」といっているが、これほどの言行不一致も世にない。「我々はウクライナの領土に住むすべての人々に、選択する権利が行使されることが重要だと考える。我々の行動は、脅威に対する自己防衛だ」という発言においても、ことばがかんぜんに無益で無意味なものと化している。
  • さいごは、「ロシア市民の皆さんへ。祖国への愛が我々に与えてくれる無敵の力と、あなた方の支持を信じている」としめくくられている。
  • 二時ごろに上階のベランダから洗濯物を入れたさい、ひかりのなかでちょっと屈伸や開脚をした。比喩や誇張でなく、ことばどおり雲がかけらひとつぶ分もふくまれていない純粋な青空だった。出勤路に出たのは三時すぎ。徒歩。温暖な空気だった。さいきんはバッグを手首にかけて手をポケットに突っこむのがつねだが、この往路はそうせずに持ち手を右手でつかんでいても手が冷えなかった(とはいえ両手をポケットにいれたかっこうのほうがなんとなくおちつきがよいので、あとでやはりそうしたが)。街道までにとくだんの記憶はない。おもてに出ると陽射しが背後から寄せて身をつつみ、マフラーをつけコートをまとった装備だと内の肌がちょっと湿ってくるのをかんじられるくらいである。風もそこそこながれていたとおもうが冬の気は中和されて冷たさにむすばず、空はここでもやはり一面の晴れ、論証の経過がぜんたいでまるごとそのまま結論にひとしい、差異のみえない無限なる青の過程だった。
  • 裏通りへ。すると高校生が下校時刻らしく、角にたまっていたり、おもてのほうからぞろぞろとはいってきて駅にむかってグループでゆるくあるいていたりする。せっかくの裏道なのににんげんがおおいといごこちがあまりよくないので、とちゅうでおもてに折れた。ふだんつかわないような細道をとおったので、視覚が新鮮で、ここにこんな家があるんだなと壁や塀の模様などものめずらしくみた。街道沿いの歩道に行きあたるその脇には垣根があまりゆたかでなくすきまもおおくて貧相なように葉を茂らせて、そのうちのいくらかは黄に褪せて陽のなかに色がひとながれしている。おもてに出るとすこしさきに、さいきんよくみる印象だが円筒じみたようなかたちの黒いリュックサックを背負った男子高校生がひとりおり、学校に友がいるのかいないのか知らないが、裏のにぎわいを避けてひとりの帰路をえらんだ孤独愛好者のなかまかと勝手に認定した。ときおり両手を左右にひろげたり、尻かリュックかをぽんぽんたたいたり、気ままなうごきをしていてあまりとぼとぼというあゆみの調子ではなかったが、それでも顔の角度は伏せ気味の時間がおおいように見えた。こちらよりも足ははやい。なににさえぎられることもなくそそぎわたる幅のひろいひかりに全身さらされながら行くあいだ、だから距離はひらくいっぽうで、かれはときおり背後をふりかえっていたがこちらをとくにとりあげて意識にとめていたとはおもえない。じきに気づくとひらいていたはずの距離がけずれてすこしまえよりちかいところに後ろ姿があったのだが、それはT字路の横断歩道で信号待ちをしていたからで、こちらがすがたをみとめた直後、高校生はとつぜん走り出し、全力疾走ともみえるようなおもむきで猛ダッシュして遠ざかっていった。おもてのことで車が行き来するひびきが絶えずあたりを覆っているので、そのうごきの気配や音はつたわってこず、ただ視覚上のうごきだけがはげしい。
  • あるいているとやはりそのうごきや歩を踏むときの振動で股間まわりの筋肉が刺激されるようで小便がしたくなる。職場まで我慢することもできそうだったが、膀胱によけいな負担を強いることもあるまいとおもって、(……)でトイレを借りることにした。きょうはおもてから来たのでおもてからはいる。手にスプレーをかけて、トイレのある裏口のほうへ。あいだのロビーというかそこは左側の壁前にはソファ的な席がいくらかあり、右側は側道に面して窓をまえにするカウンターがもうけられており、高年を中心になんにんかひとがいたが、カウンターのいちばん端にすわって顔を伏せている高校生が(……)くんのようにもみえた。しかしわざわざ出かけて勉強をするともおもえない生徒なので、たぶん別人だろう。裏口まえで横に折れて通路を行き、トイレへ。放尿。手を洗って出ると建物も出る。すぐそこの裏から出たのだが、きょうはおもてから来たのだしさいごまでおもての道で行くかという謎の一貫性原理がはたらいて、わざわざふたたび街道に出た。出るあいだ、正面の街道のむこうは下り坂になっており、果てに川向こうの町並みや山が、わずかに青くかすんだような像になったり、緑を鈍くくすませたりしながら低いみずうみのようにひろがっている。
  • おもてを行くひとのなかには、学ランすがたの男子高校生や、ブレザーの女子高生もわずかにみられる。冬だけれど短パンを履いて足をさらしながら自転車を漕ぐ女児のすがたもあった。駅前に行き、職場へ。(……)
  • (……)
  • (……)
  • (……)
  • (……)
  • 帰宅後はだいたい上記したようにウクライナ関連の記事を読んだ。この日はマジでそればかりだった。