2022/4/23, Sat.

 一九七〇年代には石油価格が上昇し、ソ連は石油の輸出で多くの外貨を獲得することができた。ソ連製よりは質の良い東欧諸国の製品や、西側諸国の良質な製品の輸入が増やされて、日用品はある程度入手しやすくなったが、質の劣るソ連製品は売れなくなった。計画経済はこの状況にただちに対応することができず、ソ連消費財工業は売れない製品を多くの資源を費やして生産し続け、多くの家具や衣類、靴などが売れ残った。
 その一方で、需要の多い良質の商品はなお不足していたので、多くの人々、特に女性たちは買い物に多くの時間を費やすことになった。人々は、商品を見つけるために歩き回り、商品を手に入れるために行列に並んで、日に何時間も費やすこともあった。前述の事情から労働規律は緩かったため勤務時間中も事実上おかまいなしに買い物に出たのであり、女性の就業率が高かったこともあって業務と生産への悪影響は大きかった。そしてまた、こうした状況は、コネなしでの商品の入手を難しくし、流通の各段階での商品の横流しを常態化させて商店での商品不足を悪化させ、闇商人を横行させることにつながった。
 こうした闇商人による、「闇経済」、「第二経済」と呼ばれる非公式または違法な商品売買なしには計画経済は機能しなかったとも言われるが、闇商人の供給する商品の多くは本来の流通経路から横流しされたものであって、商品の供給量が増えたわけではないから、(end165)全体としては商品不足を解消するわけではなかった。そしてまた、闇商人は自らの利益のため、商品が不足する状態を保とうと供給をコントロールしたから、闇での価格は常に高価であった。闇で高価な商品を買うためにも、多くの人々が勤務時間中に職場の機材と材料を使って「内職」に励み、企業やコルホーズソフホーズから物資を盗み、横流しした。商品や食堂の店員、修理工といったごく一般的な職種の者たちも、商品の横流しや、勤務時間内の「内職」、規定料金を無視した高値での修理などそれぞれに「闇」の稼ぎを得ていたのである。
 (松戸清裕ソ連史』(ちくま新書、二〇一一年)、165~166)



  • 「英語」: 701 - 720
  • 「読みかえし」: 679 - 682


 正午前まで寝坊。時間が遅くなってしまったのであまりとどまらず、まもなくおきあがって洗面所へ。洗顔や用足しをすませてくるとしかし書見はした。南直哉『「正法眼蔵」を読む』。いろいろとおもうところはあるが記述はのちほどやる気になれば。午後二時すぎくらいからまた読んでいま200まで。一二時半から瞑想をしたが時間が遅いし便意がもたげてきたので一五分程度でみじかく切ることに。
 上階へ。ジャージにきがえてからトイレに行って腹をかるくし、コップにみずをそそいで洗面所でうがい。食事は焼きそば。母親はそのへんにいるのかなと父親についてもらし、勝手口をあけて、玄関にできてます! と食事が用意されてあることをやたらでかい声でさけんでいたが、そのときには父親はすでに玄関内にきていた。こちらは母親の焼きそばをレンジであたため、大皿に盛ったじぶんのぶんもあたためて卓へ。新聞の一面からウクライナの状況について。きのうの新聞にはロシアがマリウポリの完全掌握を宣言したとあったが、戦闘や空爆砲撃などはつづいているもようで、米当局者やバイデンもかんぜんな掌握というのにはうたがいがあるとの認識。プーチンが突入作戦は現実的ではないと否定したアゾフスタリ製鉄所でも攻撃はつづいているらしい。ロシアは東部と南部の制圧をあらためて目標にかかげ、ウクライナの隣国であるモルドバ内のなんとかいうロシア系準国家でもロシア系住民がころされているみたいなことを言って介入を示唆したと。ウクライナの東部から南部をとおって西方のモルドヴァまでかんぜんに勢力下におき、ウクライナ黒海アゾフ海に接続できない内陸国にすることをめざしているのだろうとの観測。
 母親は(……)家両親と兄がくるのにそなえて居間をかたづけなければと言った。隅のほうにある雑多なものたちをとりあえずしたのクローゼットにはこぼうかと。こちらとしては(……)家のふたりに家が汚いとおもわれようがどうでもよいし、とうじつも逃げ出すつもりでいるからなおさらどうでもよいのだが、まあそれでもたしょうすっきりとしたきれいな空間でむかえられるほうがよいだろうというわけで、食器と風呂を洗ったあとにさっそくものものを勝手にはこんだ。はこぶだけ。階段を往復して、下階の両親の衣装部屋によくわからんいらなそうなものとかをつぎつぎとはこびこんでいき、床のうえにてきとうに置いておく。(……)家両親が泊まるとしたら寝るはずの元祖父母の部屋からも同様にいくらかものをはこびだした。その整理まではやらない。あとは知らんと放置して白湯をもって自室にかえると一時四〇分。Notionを用意して「英語」「読みかえし」を音読し、からだがこごっていたのでふたたびあおむいて書見。三時すぎからまくらのうえにすわって静止し、はじまりをみなかったがたぶん四〇分くらいすわった。ながめ。そとでは(……)さんの家で業者といっしょになってなにか重いものをはこんでいるらしき声や気配がしていた。たぶん(……)ちゃんだとおもうが男性と、やや甲高くて快活な声の業者男性とが、行きます、はい、せーの、とかタイミングをあわせつつ協力して運搬しているようだった。いらなくなった家電かなにかをひきとってもらうために業者の車まではこんでいるような、そんな雰囲気。業者のひとは敬語なのだが(……)ちゃんらしき男性のほうは基本的にタメ口で呼びかけており、しかしそれが失礼にひびかず業者のほうもしたしみやすくうけいれている調子だった。
 静止を解くとまたちょっと本を読み、白湯をおかわりしてきて四時すぎからきょうのことをここまで。すると四時四〇分。きのうのことは出勤まえの往路までもうさくばんちゅうに書いてしまったのでそんなにかからないだろうという目算がある。わるくないしごとぶりだ。

 きのうのことを五時まで書いて階上へ。母親ががんばった甲斐あって居間はそこそこすっきりした見た目になっていた。室の端のものが減っただけだが。東側の窓のしたの横にながい棚のうえなどいろいろ置くスペースにしていたのがかたづいていたけれど、しかし来週までにどうせまたこの状態をたもとうと意識せずにものを置いてしまうのではないか? とおもうが。ともあれまずは米をあらたに磨いでおこうと台所にはいり、手を洗って食器乾燥機のなかをかたづけ、洗い桶のなかにあったコップだったかなにかを洗い、桶も洗うと米を磨いだ。釜にいれて六時半に炊けるようにセット。そうして調理は母親にまかせ、居間に出てアイロン掛け。ハンカチやエプロン、じぶんのシャツや両親のシャツ。アイロンはいままでコンセントにつないだまま床の端に寄せるようなかたちで放置しておくのがつねだったが、カバーをかぶせて棚のうえに置いておこうというのでそのようにした。アイロンをかけているあいだにうどんが食いたいなというおもいがまえぶれなくきざし、豚汁のたぐいをつくったというからそれに入れて煮込みうどんをつくろうかなとおもい、そのつもりで玄関の戸棚から麺ももってきていたのだが、けっきょくこれはめんどうくさくなってやらなかった。アイロン掛けを終えると食事ももうやることがないというのでワイシャツをもって下階へもどり、白湯を飲むためコップをもってくるついでに階段のとちゅうに放置されていた雑巾を回収し、また居間の床のうえにもテーブルの脇に雑巾がなぜかふたつもほったらかしだったので、洗面所にもっていって洗面台でそれぞれゆすいで絞り、そのまま置いておいてよいというのでもとあったあたりの床に三つまとめて絞ったすがたでかたよせておいた。室にかえると白湯を飲み、七時ごろまで休息。
 その後食膳を用意しておおきな盆でまとめて自室にはこび、(……)さんのブログを読みながら飯を食った。八時まえに階をあがっていくと焼きそばののこりがあるといい、また冷凍してあった唐揚げも食べるのをわすれていたことに気づいたので、洗い物をかたづけたあと、ほそながいパックにのこった焼きそばのうえに唐揚げをいくつかビニールパックからとってまとめてレンジであたため、白湯一杯とともにもちかえってそれも食べた。そうしてきのうの記事をしあげておとといのぶんとともにブログに投稿。そのあとここまで書けば九時まえにいたっている。ひさしぶりに書かなければならないノルマをすべて解消して現在時に追いつくことができた。むかしはいつもこうだったのだが?

斎藤 そうなんです。資本主義のもとでは、脱成長は不可能なんですから。そこが旧世代の脱成長論と大きく異なる点です。『資本論』第一巻を刊行したあと、マルクスはまとまった著作は出していませんが、晩年の彼の遺したノートには、現代の問題を解決する大きな鉱脈が眠っています。人々が持続可能な社会で、豊かに暮らすために、資本主義社会を乗り越えないといけないということを、最もはっきりと示した思想家がマルクスなのです。繰り返せば、資本主義を前提とする限りでは、解決策はない。これは、グリーン・ニューディールで「緑の成長」をめざすケインズ主義とは完全に異なるマルクス独自の発想です。
 なぜ解決策はないのか? 資本主義には希少性を創造するメカニズムが組み込まれているからです。つまり、人々が無償でアクセスできた共有財を解体して、人工的に希少性を作り出すことで、資本は増えていくのです。そこでは、生活の「質」を犠牲にしても、とにかく資本の「量」を増やすことが重視される。資本の量が増えるのであれば、それによって環境が破壊されようが、多くの人が不幸になろうが、関係ない。
 具体例をあげると、入会地(いりあいち)の解体です。入会地はみんなで管理し、誰でもアクセスできる共有資源でした。それにより、人々は豊かな生活を送っていました。つまり、入会地は商品の価値とは無関係なものだったのです。
 しかし、みんなが生活に必要なものを入会地で調達すれば、市場で商品を売ることができません。それは資本主義にとっては非常に不都合なことです。そこで、資本主義社会では入会地に所有権を設定し、誰もが自由に利用できないようにしました。要するに、それまで潤沢に存在していたものを、無理やり、人工的に希少なものにしたということです。

白井 言うなれば、希少性の「捏造」ですね。

斎藤 希少性を作り出すことで、儲けのチャンスが生まれてくる。だから、希少性を生むために、資本主義は浪費や破壊を繰り返す。
 資本主義は本来、巨大な生産力を解き放ち、人々を豊かにするものだとされてきました。けれども、実際には格差は拡大し、環境は破壊されていくことになる。希少性に依拠した資本主義社会は、貧しい世界しか作れないのです。
 それに対して、脱成長とは、こうした社会からの脱却を意味します。脱成長とは、ソ連のように物不足で人々がいつも行列を作っているような社会ではなく、本来豊かであったはずの公共財に依拠した生活を取り戻すということです。

白井 ちょっと突っ込んだことを言うと、斎藤さんと私の『資本論』の読み方の共通点は、マルクスの「物質代謝」の概念への注目なんです。資本制社会とは自然の物質代謝の過程を資本の論理が乗っ取ってしまう社会。その論理は自然の論理とは当然異なるから、矛盾が生じる。それが環境問題です。つまり、マルクスの理論のド真ん中に環境問題をとらえられる視座がある。

浅田 ロシアのウクライナ侵攻にはさすがに驚いた。今まではジョージア(旧・グルジア)でもクリミアでもメディアをブラック・アウト状態にしたうえでスピーディな限定的攻撃により勝利してきたのが、今回は大規模すぎてもたもたしてるし、ウクライナ側がSNSを駆使して悲惨な状況を発信したんで、ロシアは世界から総スカン状態に。いずれにせよ、力による一方的な現状変更は容認できない、これは誰もが言うとおり。でも、ウラジーミル・プーチン大統領を叩けば済む話じゃなく、なぜプーチンが出現し、こんな暴挙に至ったのかを振り返っとく必要がある。

まず、ミハイル・ゴルバチョフ元・ソヴィエト連邦書記長のペレストロイカ(改革)をアメリカが経済的に支援せず失敗に追い込んだ。結果、ボリス・エリツィン元・ロシア連邦大統領がソ連を解体し、急激な資本主義化で大混乱に陥った。その混乱を収拾するストロングマンとしてプーチンが登場し、今も強権支配を続けてる。「ゴルバチョフを支援しろと言うお人好しがいたが、結局クーデターで失脚したじゃないか」と現実主義者たちは言うけれど、支援を受けられなかったゴルバチョフが経済破綻で追い込まれ、クーデターに至ったんだからね。そもそもアメリカの「現実主義者」たちは、ペレストロイカの中途半端な成功より、ソ連の壊滅を望んでたわけだし……。で、東欧民主化ドイツ統一のとき『ワルシャワ条約機構WTO)』に属する東ドイツを『北大西洋条約機構NATO)』に属する西ドイツが吸収合併するって形をゴルバチョフに認めさせるべく、ロナルド・レーガン元・米大統領の後を継いだジョージ・ブッシュ元・米大統領の名代、ジェイムズ・ベーカー国務長官から「NATOのプレゼンスを東方に拡大することはない」って趣旨の発言があり、ゴルバチョフが承諾した。書面での約束ではないけど、実際はその後NATOが次々に東方に拡大してきたわけで、プーチンが「騙された!」と怒るのにも一理はある。

     *

浅田 11月にはアメリカで議会の中間選挙があるけど、民主党は負けるだろうね。バイデンは24年の大統領選挙で再選を目指すって言ってるけど、年齢的にきつい気もする。でも、新自由主義から脱却し、いわば古いケインズ主義をグローバルに、しかも環境問題に配慮して再建しようって方向は、おおむね正しいと思うよ。世界的に法人税の最低税率を決めるとか、脱炭素を進めるとか、グローバル資本主義の暴走をコントロールする方向に持っていこうとしている。

田中 京都のゑびす神社で「人気大寄せ」と呼ばれる縁起物を買った『ソトコト』2015年3月号を読み返していたら、僕はCO2排出と同じく事業活動規模に応じて税額を決める「外形標準課税」を導入すべきと述べ、浅田さんはシンプルに売上高で企業活動の規模を測って課税すればいいと。消費税は導入されても売り上げに対する課税ができていないのが大きな問題。

浅田 新自由主義の時代は大企業や金持ちに対する増税はできないってのがゲームのルールみたいになってた。トニー・ブレア元・英首相にせよ、ビル・クリントン元・米大統領にせよ、だいたいそれに従ってた。対して、バイデンは古いケインズ主義に戻り「あるところから取ろう」と。ビル・ゲイツウォーレン・バフェットなんかは「もっと取ってくれたらいい」って言ってるわけだから。ただ「一国だけでは成り立たないんでグローバルにやる」と。岸田文雄首相も「新しい資本主義」って言うんだったら多少なりとも中身を言わないとね。

ただ、バイデンも今のアメリカでは、それだけの大転換が難しいって現実に直面してる。彼は29歳で上院議員になってからバラク・オバマ政権の副大統領になるまでずっと上院議員で、上院が紳士のクラブだった時代に超党派の合意を繰り返してきた。それがいまや不可能なんだ。

女性やマイノリティの権利を擁護してきたリベラル派の最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグが2016年の大統領選挙直前に亡くなったけど、1993年にビル・クリントンの指名した彼女の上院司法委員会での質疑応答の記録映像を見ると、共和党のオーリン・ハッチ議員が「あなたの意見のほとんどに反対だ、しかしあなたのことは尊敬する」と言うのを見て委員長のバイデンが微笑み、全員一致で通過、本会議でも96対3で承認された。現在では絶対に考えられない。ガンの闘病中だった彼女が早めに引退してれば民主党オバマが後任を指名できたはずなんで、その教訓を踏まえ最近、リベラル派のスティーヴン・ブライヤー判事が引退を表明。バイデンが後任に黒人女性のケタンジ・ブラウン・ジャクソンを指名したけど、まあ51対49くらいで通ればいいとこか。

     *

田中 ミット・ロムニーはどう?

浅田 ロムニー共和党上院議員でただひとり、トランプの弾劾に賛成して気概を示した。だけど、党内では裏切り者扱い。そういえば、トランプ支持の暴徒が連邦議会議事堂を襲撃した2021年1月6日のクーデター未遂の一周年で、死んだ議会警察官らの追悼式典に議員が集まったけど、共和党からはリズ・チェイニー下院議員と父のディック・チェイニー元・副大統領しか参加しなかった。ディック・チェイニーっていえば、ブッシュ・ジュニアを操ってイラク戦争に突入させた悪の権化。それが共和党でいちばん良識ある人間だってことになってるんだから!

反町理キャスター:
キエフ市民のこの極限状況、心理状況をどうご覧に。

浅田彰 京都芸術大学教授 批評家:
ゼレンスキー大統領は国難にあたって英雄的に抵抗しており、市民含め素晴らしい。一方、前段階でドネツク・ルガンスクの自治について全く無視したり、リアル・ポリティクスとして不用意でもあった。『逃走論』を書いた人間として、また教師として言えば、もしそこに自分の学生がいたら、隠れても逃げてもいいからとにかく生き延びろと言う。国のために死ぬのは崇高に見えるが、言い方を変えれば、プーチンみたいなゲスに殺される必要は全くない。

浅田彰 京都芸術大学教授 批評家:
一方、アメリカはかなりの部分でNATO東方拡大の当事者だが、外相会談をキャンセルし交渉しない。「いや、軍備を送っている。ウクライナ人たちが戦ってくれている」では無責任。中長期的には良くできた経済制裁をやってはいるが。

先﨑彰容 日本大学危機管理学部教授 思想史家:
日本で同様のことが起きれば、自衛隊の方をはじめ何人かの方が亡くなる可能性がある。美談にするつもりはないが、戦争での死者は国がある種の葬送の儀礼を行うことでしか浮かばれない。ところが与党から野党まで、トップの人たちが憲法9条がどうしたとツイッターの百数十字程度で書いている。この人たちが総理の座を狙っている。その人が慰問に訪れたら、私たちの家族の尊い犠牲が何らかの意味づけをされるような、粛然とした人間として一国の総理になる気概はあるのか。この情勢で、日本のトップにならんとする者は座禅でも組んで、犠牲者が出た場合どうするかと沈思黙考するぐらいの落ち着きがないと。

     *

新美有加キャスター:
混沌とする中、例えばツイッターなどでは議論というより一方的にお互いの主張を押し付け合うことが多い。日本人が議論できなくなっていると感じますか。

先﨑彰容 日本大学危機管理学部教授 思想史家:
日本だけじゃなく世界で。問題は、自分の聞きたい意見・情報のもとだけに集まり、情報が更新されないこと。自分と違う意見とロジカルに戦わせることに言語の本来の意味があるのに。だから僕も、今日はプーチン側の世界観を話してきた。

浅田彰 京都芸術大学教授 批評家:
みんなで盛り上がれる話題だけがエコーチェンバーの中を巡る。感情的な議論で人をつかんでしまう、ポピュリズムの一番危険な部分。トランプ前大統領は「エリートが議論をしてシステムを作っているが、あんなもんは全部偽善だ」と粗野だが正直な言葉でぶっちゃけ、人をつかむ。対してバイデン大統領は頑張っているが、冷静な議論なので退屈。偽善対露悪というか。僕は、偽善は重要だという考えです。

反町理キャスター:
偽善がバイデン大統領、露悪がトランプ元大統領。バランスは取れるか。

先﨑彰容 日本大学危機管理学部教授 思想史家:
かつて西部邁さんが書いたことへの僕の理解では、あらゆる欲望を詰め込んだような凶悪な人間という生き物に、偽善つまり倫理・道徳が精神の均衡を与えて、なんとか秩序を作っている。偽善に51、露悪に49を置くべきなのに、今は本当に暴力が赤裸々に表に出てきてしまっている。

浅田彰 京都芸術大学教授 批評家:
日本国憲法にせよ、憲法が信頼すると言っていることは偽善、単なる建前。いざとなれば踏み躙られると今回のことでわかった。現実的に、ある種露悪的にならざるを得ない。けれども、この単なる偽善的な建前というものを手放した途端、文明は終わるんですよ。明らかに。

先﨑彰容 日本大学危機管理学部教授 思想史家:
ここで意見が分かれて、だから浅田先生は9条を含めた日本国憲法を続けるべきだ、僕は条件付きで改正と思っている。51対49と言ったが、悪に対して我々は研ぎ澄まされた2しか差がないという緊張感を担保するならば、51という理想を持っていい。だが100対0の100の方に全体重をかけ、日本国憲法や自由と民主主義を金科玉条にして絶対に正しいと安堵しているならば、それは違うのではないか。


 夜には書抜きをしたり、あと午前一時くらいからだったとおもうが詩をものした。いぜんやっていたつくりかけのものをすすめたかたち。けっこうすすんだというか、おさめかたがみえていないのでどのくらいというのもないのだけれど、そこそこ行を足しはした。瞑目してじっとあたまのなかをみながら待つ時間をわりとつくれたのでよい。だいたい一時間くらいでちからつきたが。姿勢をたもつのもたいへんだ。書抜きは『ソ連史』をほぼ終了。書抜き箇所記録ノートに記したページのほうは終え、あとは手帳にメモしたページがいくらかのこっているだけ。三時半に消灯した。