前線を改稿。「何よりもまず、肌に染みついて同化した汚れと疲労をながしていただこうというわけで、滅多に使わないものだったが、鋼鉄製の巨大な桶に火を焚いて、溢れんばかりにいっぱいの水をなまめきうねる乳白色の絶え間なく送り出され続ける源泉とした。足の裏に踏む木蓋とともにそっとからだを沈めていくと、たぷんと押し出された熱湯はかおる宵闇を篤く孕んだその上に、点々と吸った微光をひらいてやわらかにゆがめ踊らせながら、数秒のあいだ全方に向けてこぼれ落ち、待ち構えていた三人は裸足の熱さにさんざめいた。うねりはもはや線も筋も帯もうしなって、濃いと淡いとをうつろいつつもひと繋がりに目の前を染め、風行き渡る野天の星は澄明なままにしまい込まれて、それがふたたび現れ出ると、血の気を戻した顔の皮膚だけが混ざることのない熱気と涼気をふたつながらに味わった」という、ここに拘泥している。きのうよりはよくなったけれど、まだ気になるところはある。
近ごろ、二段落目も読み返している。「八つの角はひとの目からは隠されていた」と、「鳥も風も、命も太陽も、日々の終わりも未知の思考も」が、まだどうにかなりようのある気がする。