アパートの路地を南に抜けると二車線の道路に面した東西の道に当たる。歩道はわりあい広めで、ひかえめなタイル様に彩られている。並ぶ街路樹はみな大方の葉を落として貧寒なながめとなっており、枝に残っているものも、しなしなと燃え尽きの感が深い。砂とおなじくらいまでこまかく崩れてざらざらとなった葉の滓が、道のまんなかに集まっている。散ってまもない、色とかたちを保った落ち葉も多くある。見るもの見るものどうにもこうにも、精妙な色の混ざりをしている。赤紫と黄色でちょうど半分ずつほどを分け合った五指状のやつなど、これがもしヒトデだったら絶対毒もってんだろという見た目のどぎつさだ。横断歩道のところまで来ると、レモンの黄色と黄緑を主調に据えた一枚があって、そちらはしずかにうつくしい。白線のほうに前向きながら何度か首を右手に曲げて、葉を見やる。主調のなかに、鈍い内出血の透けているかに、ぼんやりと赤黒い沈滞があり、まるくくねった葉の縁のほうは薄紅や薩摩芋の皮の色味をごく簡単に乗せている。