昼過ぎに外出。ひかりはあるが、雲まじりの空で薄い。南の車道沿いに出て、裏路地を抜けて駅のそばへ。踏切りに止められる。立ち尽くす。目を閉じる。イヤフォンからギター演奏89がながれている。電車の音で聞こえなくなる。マンションのほうを見やれば、ひとみにいくらかぶれを感じる。渡って進みながらおなじほう、北側の空をながめると、水色のなかに薄雲が張って、すじをいろいろにかいている。それもいい。轍そのものみたいなほぐれ方の、横にまっすぐながいのがあった。左手に首ふればそちらの雲はひろく巨大で、太陽をなかば隠さんとする。病院裏や施設裏をすすんで北の路地へと歩みを移す。大掃除らしく玄関の前でわたわたしている二人組がある。一軒の二階、ベランダにならぶ洗濯物の、ピンクのシャツが目を寄せる。家に薄陽がかかっているがきらめきをつくるほどでない。ちいさな集合住宅なのか戸建てなのか、おそらく後者だろうとはおもうふたつ並びの左の二階、ベランダに、ちいさな木があり、葉叢ともいえぬ密度の葉たちがしかし空へとはみ出して、雲をうけいれてまるくなっている青さのまえにちらちら黒い。


 夜はアパートの東方面をてくてくうろついた。ともはギター演奏88。あした集まりがあるのであまり神経をつかうまいと、きょうは小説を書き足さず、かわりにあたまから読んでいった。逃亡兵の段落まで。そんなに推敲をしたい気持ちもないのだけれど、しかしこれはまだ、いくらか繰り返し読む必要があるなと感じる。そうはいっても二月くらいには仕上がりそうな感覚でいる。