2016/12/1, Thu.

 街道へ向かうあいだ、西空の、屋根に遮られたその裏から輝きがかすかに洩れるのが見えるが、薄明かりは貧しく、家壁を色付かせる力もほとんどない。雲は淡雪めいて稀薄だが、諸所に貼りついて空の青さを和らげている。

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 職場を出た途端に、足もとが少々濡れているのに気付く。屋内にいるあいだに、雨が降ったようである。散った銀杏の葉も濡れて、果実のような青さや黄の色を汚して死骸のように転がっているが、タイル様の路面の上のそれに靴を乗せた瞬間に、足が滑りそうになることがあった。空は薄墨の混ざったような色で濁っており、裏道を行きながら見上げれば、電線のみならず電柱の先までもが、そのなかに溶けて消えるような見通しの悪さである。