2017/3/15, Wed.

 往路、玄関を出た途端に、空気の冷たさが身に触れる。引き続く曇り日の、前日と同じ三時半だが、一日前よりもはっきりと陽が洩れて、路上に影が浮かび上がった。街道に向かっていると、背中は薄陽が乗って仄かに温もるが、正面からは風が来て、身体の前面と背面とで温度が分かれていた。北側の裏を行っているうちに、足先から伸びるおのれの分身や、道脇の家の影の線がくっきりと立って来た。道沿いに生えた梅は白も紅も、花弁をほどいたあとの萼の、紅梅の花よりも艶な緋色を晒して鮮やかだった。前日と同じ白梅のところの、この日はしかし木ではなくて頭上の真ん中に伸びた電線の上に鵯が止まって、雲混じりの薄青く靄った空を後ろに襞なく姿形のみを抽出されて呼ぶように鳴いていたのに、応じたのかもう一羽が同様に、木から線に移って二つになったのを振り仰ぎながら進んだ。

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