2022/12/30, Fri.

 まさにそういう切り立った草地を見たあの遠雷の夏の日を、わたしは決して忘れないだろう。あの日は朝早くから、延々と広がる埃っぽい平野を移動していた。列車のなかは息苦しいほど暑いうえに、外の景色は単調で色彩に乏しく、昼過ぎからはずっとうつらうつらして過ごした。やがて、ふと目を覚ますと、嬉しいことに松と岩に覆われた山の斜面が目に飛びこんできた。しかしほどなく、山で空が見えないような深い谷底の閉塞感は、のっぺりした平野に劣らず耐えがたいものだとわかった。(end8)なにもかもが鬱々とくすんで見えた。名状しがたい色合いの斑模様の岩。すり切れるほど着古した黒いドレスかなにかのようにてらてらと黒緑に光る松――びっしり生えた葉は、ところどころが緑青 [ろくしょう] めいた色に褪せ、腐蝕と頽廃を連想させるうえに、その硬くこわばったようすは光を吸収する性質を帯びた金属じみて、垂れこめる雲のあいまからときおり射しこむわずかな日の光さえ消し去ってしまいそうだった。線路はあちらへこちらへと曲がりくねっているのに、景色はまったく変わらなかった。そっくりな松の森と岩のかたまりがどこまでもどこまでも連なって、さっきまでの平野と同じ、陰鬱で不毛な単調さと生気のない寒々しさがそこらじゅうに瀰漫していた。
 (アンナ・カヴァン安野玲訳『草地は緑に輝いて』(文遊社、二〇二〇年)、8~9; 「草地は緑に輝いて」)



  • 朝の寝床で読んだ2014/5/29, Thu.より。まあぜんぜんふつうだが、わるくはない。とうじのじぶんとしては。

 眠くて歩きながらあくびが出た。なんとなく表通りに出た。帰宅時間だから車は外れに行くほうが多い。他の音がないから車の音ばかり聞こえて、過ぎてからも長く尾をひいて伸びていった。それが消えると足音が残った。街灯と同じ色のヘッドライトが街灯の下に同じように並んで、たまに信号の青や赤が浮かびあがって、家にぼんやりと投げかけられた。明かりは夜をさえぎるから、裏道のほうが空がよく見える。星はあんなに小さくて暗い道にぽつんと立った電灯の白いひろがりにも消えてしまうのに、実際にはいま立っている大地よりもずっと大きいかもしれない。夜空はわだかまっていて、星はうすかった。ジンジャーエールの缶を買って帰った。細かい羽虫が自販機の黄色っぽい明かりにたくさん群がっていた。

Their comments came as UK-based health data firm Airfinity said about 9,000 people in China were probably dying each day from Covid, nearly doubling its estimate from a week ago.

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Cumulative deaths in China since 1 December likely reached 100,000, with infections totalling 18.6m, Airfinity said in a statement on Thursday. It used modelling based on data from Chinese provinces before the recent changes to reporting cases were implemented, it said.

Airfinity expects China’s Covid infections to reach their first peak on 13 January with 3.7m cases a day.

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The European Union’s health agency said on Thursday it believed the EU-wide introduction of mandatory Covid screenings for travellers from China was currently “unjustified”, pointing to the “higher population immunity in the EU/EEA, as well as the prior emergence and subsequent replacement of variants currently circulating in China”.

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Airfinity expects deaths to peak on 23 January with about 25,000 a day, with cumulative deaths reaching 584,000 since December. Since 7 December, when China made its abrupt policy U-turn, authorities have officially reported just 10 Covid deaths.

Internationally, travel restrictions such as mandatory testing have so far failed to significantly curb the spread of Covid and function largely as optics, said Dr Michael Osterholm, an infectious disease expert at the University of Minnesota.

“They seem to be essential from a political standpoint. I think each government feels like they will be accused of not doing enough to protect their citizens if they don’t do these,” he said.

The US this week also expanded its voluntary genomic sequencing program at airports, adding Seattle and Los Angeles to the program. That brings the total number of airports gathering information from positive tests to seven.

But experts said that might not provide a meaningful sample size.

A better solution would be testing wastewater from airlines, which would offer a clearer picture of how the virus was mutating, given China’s lack of data transparency, said Dr Eric Topol, a genomics expert and director of the Scripps Research Translational Institute in La Jolla, California.

  • いま午後一〇時四〇分。実家を発ったのは四時半ごろで、六時くらいにアパートに帰還。布団のうえで休み、七時台から食事。実家から五目ごはんやソーセージをもらってきたものの、それらは食わず、もともと冷蔵庫にはいっていたもの、つまりふだんどおりのメニューで、すなわちキャベツと豆腐、シジミのスープ、それにレンジであたためるソーセージのはさまったチーズナン(三個一セットの品)。ただし食後はもらってきたLevainのクラッカーを食った。体調はだいぶよくなってきている。やはり脚、とりわけ、ふくらはぎもいいけれど、太ももをすみずみまでほぐすとからだがあたたまりまくって肉がひじょうにほぐれて肌もなめらかになり、からだが全体的に安定する。とはいえ起きたときや、それから数時間のうちは、左半身にひっかかりやノイズがのこってはおり、また食事のあとすぐにはまだたしょうものがあがってくるような感じもある。それにはみぞおちのあたりから喉の下端、鎖骨のあいだらへんまでをさするのがわりとよいときもある。左半身のノイズというのはその主要ポイントはやはり肘の付近や上腕で、寝て起きると前夜の状態がリセットされてここがまたこごってピリピリするような感触を溜めたりしているのだけれど、それはまた胸にもつながっていて、だから腋とか、肋骨の端のほうとか、脇腹と背中のさかいあたりとか、あるいはもう左胸を全体的に揉んだりするのもわりとよい。肘付近がとどこおりの根本的な原因なのかわからないが、いずれにしても主には脚をすみずみまでほぐしつつ、プラスアルファでそういう各所的アプローチとか、体操とか、ストレッチとかをやっていればだんだんからだは総合的にととのってくるだろう。


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  • 日記読み: 2021/12/30, Fri. / 2014/5/29, Thu.