ふうけいしゅう



 くるまのなか ふろんとがらすに、つぶがぶつかりだす かぜにほうこうをうしないうずをまくむし ゆきだ、とこえがあがる あまつぶをこえないおおきさに、たしかにしろさをもっている あたればまもなく、じわりときえる あとにいろはない。



 こうえんのはじにうめのきがある ちいさな あめのひだった わさんぼんのほのかなあまみをはらんだしろが、つつつ、とならんでえだをうめている ゆらぎなく あめにおされず、つちにひかれず、しずかにとまっている かさなるように、かたわらに、もっとちいさないっぽんがあでやかなあかをよせている。



 みちのうえ ときのとまったようにあおいそらからひざしはそそぐ かぜとれいきをちゅうわする はてにまちなみ うえにもりあがりしたはまっすぐたなびいたくもひとひら、ぼうしめく、まちのずじょうに ゆきからひとつきがたった しらさごはみちをさった じゃりのまじったかたまりはいえいえのかげにしつこくなごる それをかきだしてみちばたへ、ひなたのなかへ、おとすひと。



 へやのべっどからたちあがる かおをしたにむけたとき、こげちゃのいろこいふろーりんぐのゆかが、すこしだけちかくなる みぎてに、つるつるしたしろさのほそながいてーぶるがある そのしたにせんがおちていた たけぐしがある、とおもった かーてんのすきまをぬけてきた、ひかりのきれはしだった。



 こうえんのかどにあたるじゅうじをみぎにおれる あさのあめがきえたそらに、りんかくせんをおとしたくもが、そこらじゅうなじんではれがあわい うすびかりがある みぎにならぶいっけんのまえ、みちとのさかいにあかいきをみる ひくいあたまがこまかくあかい ぴんくもわずかあり、うめとみる くうかんのなかのまちがいのように、ひとつぶふたつぶ、そのいろがふよりとながれる ちかくにみると、もうほとんどちりきって、はなびらにかこまれていたまんなかだけがのこっている はなびのもえがらめきしわしわとかわいた、おいらくの、あざやかなべに すぎてから、いちどかえりみる。



 としょかんをでて、しょうがっこうへ ぐらうんどのすみ、こどもたちが、あかやきいろのごむのばっとでぼーるをたたく さっかーぼーるも、あしでたたかれる おおよそにじゅう、さんじゅうのあいだ すがたさわがしく、こえはかんだかくひろさにまぎれ、きえていく いしだんのうえにしろかべはひかりをまとい、おくじょうのさき、もりのきたちが、てんでにのぞく もんをまがってせんろにそった みぎてにでんしゃ、うごきだしたりとまったり きかいのおと、あなうんすのこえ、ひるさがりのしろいしずけさ はんたいがわのもんのそと、なのないくさのとちのはじ、うめのきいっぽん、ともしとなって、ももいろくれない、どちらをもはらむ はなをみあげたひとみのせんがえだのあいだをすりぬけて、うらやまへむかうにんげんのかげをきときのすきまにのぞきみる せんろをわたればまたほそいみち むかいからいぬ、ちゃいろのふさふさとした せんろわきのくさをかぐ かいぬしがひきはなしてもまたすぐにかぐ ふみきりが、ふたついっぺんになりだした よっつのおとがびみょうにずれあうふおんなわおんのひびきゆらゆら、でんしゃごとごとそのなかをいく ひとはとぼしい まどのうちにはひかりをみたしたすいそうのみどり、おもてにはかがみにうかぶ、あたりのいえいえ。



 うらからおもてへ あかしんごうにとめられる かどにめをふれば、ぱんじーのかだん きいろやむらさきのはな、もうしおれて、ひらかずちからなくうなだれ、そのうしろにたってなまえふめいのしらないうえこみ、あかやももいろをさかせてまだらにあざやかである おおがらのとらっくがめのまえをまがってぎりぎりいうとき、たいようをわけられたにびいろがぎんいろのまぶしさとなる やきとりやのとなりのとちにしょべるかー がれきをみても、なにがあったか、もうわからない。



 としょかんの、そと あおくそまっている、そらが、いちめん はだかのはれではない、もやになったあいまいなあお たいようはぼやけながら、いばしょをおしえる たよりなくとけたひかり そのした、やまのちかくで、もやはとぎれる やまはそらのあおよりあおい ひらいたすきまにくもがあかるく、そこだけしろく、うずをえがきだす。