『säje』の二曲目は"(You Are) The Oracle"という題で、Michael Mayoという男性ボーカリストがフィーチャリングされてスキャットソロを取っている。派手なことはやっていないけれど、音程がずいぶん正確だし、気持ちがいい。このひとのアルバムは聞いてみたい。
Sara Gazarekも聞いたことがなかったとおもうのでそのうち聞こうとおもうが、そのほかのボーカル三人のアルバムも聞いてみようとTower Recordsの商品ページでなまえをクリックしたところ、Amanda Taylorはこの『säje』しかオフィシャルなリリースはないようだし、Johnaye KendrickとErin Bentlageもそれぞれ客演が一枚のみ。前者はサックスのJohn Ellisの『Mobro』という二〇一四年作で、Becca Stevensなんかも客演している。後者は『säje』のドラマーでもあるChristian Eumanの『Allemong』という作品で、Michale Mayoはここにもおり、「本作はスキャット、ヴォーカリーズを全面に押し出したスリリングなアドリブの楽しめる内容になっている」とあるからこれもちょっと気になる。
とはいえむかしからそうだけれど、あまり手広く新しいものをどんどん聞いていくタイプではなく、気に入ったものとか、めちゃくちゃ好きなわけでなくても知ったものをなぜかくりかえしながしてしまう固着的な性分で、さいきんはますますそうなのでたぶんそうすぐには聞かないだろう。音楽はスワイショウをやるときにワイヤレスイヤフォンで聞くのだが、さいきんは『säje』をリピートしているし、そのまえはStone Rosesのファースト、そのまえはセカンドだった。Stone Rosesはセカンドをむかし多少聞いていただけで、ファーストはどんなものなのか知らなかったが、二枚目とは毛色が違って、こんな感じだったんだとおもった。二枚目の『Second Coming』は、九〇年代のイギリスのインテリが七〇年代のブルースロックを消化してやったらこうなるわな、みたいな印象で、とにかくギターとベースですわという感じだが、ボーカルの決して熱をもたない気だるい歌も悪くない。Led Zeppelinをあからさまにオマージュした曲もあって、"Stairway To Heaven"の後半を真似したりもしているけれど、その曲にかんしては、そんなに寄せなくてもいいじゃんとおもう。インテリというのはこっちの勝手な印象だけれど、Second Comingというのはイェイツの有名な詩の題でもあって、たぶんそこから取ったんじゃないかとおもっている。しかしいま検索してもそれらしいはなしは出てこないので、そんなことはないのかもしれない。ふつうにキリストの再臨という意味で膾炙しているのか。一曲目が"Breaking Into Heaven"というタイトルで、断片的に聞こえた歌詞からしてキリスト教的な主題を扱っているっぽいし、ファーストのジャケットもジャクソン・ポロックみたいな感じだったから、そういう方面をちょっとかじったやつらなのかなとおもっていた。ファーストは八九年。音を聞くと、なるほど八九年か……たしかに……と、謎の納得感がある。セカンドは九四年。