きのうはほんのすこしだけれど小説もすすんだし、ひさしぶりに六一年のBill Evans Trioも聞いたし、おなじくひさしぶりにウルフの英文も音読し、またムージルの「ポルトガルの女」も読んで、けっこういい日だった感がある。「ポルトガルの女」は序盤をすすんでいたのだけれど、せっかくなのでまたはじめから読むことにした。冒頭二段落ですでにおもしろくてさすがだ。ただ本を読むとやはり腹に来るので、ちびちびやりたい。
 六一年のVillage VanguardのBill Evans Trioのコンプリート盤、白いデザインのCDだと三枚組のやつは、Amazon Musicだと"All of You (take 1)"の音源がいつなのかべつのときのものになっていて、きのう確認したらそれがなおっていなかった。ほかの、ディスク一枚分ずつ分かれている音源とかも、なんかやはり"All of You"が『You Must Believe In Spring』に紐づいていたりしてどうなってんねんと、三枚分すべてを正しく一気に聞けるデータはないのかとおもっていたら、『Jade Visions』というのをみつけて、曲目がコンプリート盤とおなじなので行けるんじゃないかとながしてみたら、"All of You (take 1)"も無事正しい音源になっている。まだディスク1の分しか聞いていないけれど、たぶんこれは大丈夫そう。リリース年は二〇一二年となっていて、レーベルはCompulsionとあり、飾り気のないシンプルなジャケで、なんかうさんくさい編集盤とか出してるところじゃないのか? という気がしたのだけれど、ジャケ画像のまんなかに「MASTERS」という文字が強調されている。冒頭の"Gloria's Step (take 1)"の演奏後、"Alice In Wonderland (take 1)"にうつるまえに会話が収録されていて、こんな部分はコンプリート盤にもなかった気がするので、マスターテープをそのまま収録しましたということなんだろうか? だとしたらむしろちょっとありがたいのだが、ぜんぶ正しく聞ければなんでもいい。"Alice In Wonderland (take 1)"はすばらしい。"All of You (take 1)"もとてもすばらしい。
 そのあときのうはMarian Andersonの『Spirituals』をとちゅうまで聞いていて、きょうスワイショウやるときはそのつづきからのつもりだったのが、便所に行ってクソを垂れているときになぜかスピッツの"運命の人"をおもいだして聞きたくなったので、『フェイクファー』をながしてさいごまで聞いた。このアルバムでいちばんいいのは九曲目の"謝々!"だとおもう。これだけブラス入りで、ゴスペル風の女声コーラスも入っており、毛色がちがうのだけれど、歌詞、ことばとメロディの結合、曲、アレンジを総合的にみてこれがいちばん好きだ。2Aの、「生まれるためにあるのです じかにさわれるような/あたらしいひとつひとつへと なにもかもかなしいほどに」とかいいじゃんとおもうし、その後、2Cというか一番にはなかった2B'みたいな部分の、「鳥よりも自由に/かなりありのまま/君をみている」で、「ありのまま」のまえに「かなり」を置いたのはすばらしい。ここの三音を埋めるのに「かなり」をえらんだのが、このアルバムのことばのなかでいちばんすぐれている。