外出。例によってスーパー行き。かっこうもいつもどおり、無印良品の茶色いシャツ、ブルーグレーのズボン、濃紺のジャケット。これかんぜんに、ブログの読者が偶然この地域に住んでいたら、あれ、あのひとがあのブログの書き手じゃないの? とわかる。いつもこの服装だし。道すじも詳しく書いているし。アパートを出ると右へ。きょうは朝からすっきり晴れて陽もとおっていたのだけれど、午後三時台のこのころは雲が湧いてきており、西を向くと突き当たりの家屋根を越えた空におおきなものがつながっていて、電光管のように縁を真白くきわだたせたり、狭間のまわりも同様に白々あかるいけれど、やや太めの輪郭線から内側はねずみ色に埋め尽くされて、湿原の様相だ。ふりむけば東側はまだ水色に晴れている。西陽がさえぎられているので日なたはいま一時路上をはなれており、顔にふれる風がすずしさをわずかに上回るけれど肌寒くはない。T字を渡るときょうは豆腐屋の脇の細道にはいった。脇の家々にけっこう見事な花木が何本かみられるが、ことごとくなまえがわからない。薄ピンクと淡紫の中間くらいの色をしたしなやかな花を咲かせた木があったが、あれはなんだったか。海棠か? とおもっていま検索したけれどちがう。裏を抜けるとH通り。雲はここでも巨大に湿原めくが、駅前マンションのそばで太陽がだんだんと雲の縁にさしかかっており、発光体のかたちと密度があらわになりはじめている。スーパー。ちょっと緊張した。腰が硬い感じ。帰路は通りを渡りかえしてそのまま裏道へ。日なたが生じている。右側の家々の屋根が底辺をうしなった三角形の影となって足もとを青くする。このあいだ見たときよりもながく対岸ちかくまで伸びていて、日なたの割合がすくない。時刻は四時まえ。裏路地を行き、アパートのある道にはいってからも周囲の家々を見回しており、いまさらのようにおもったのだが、このへんの戸建てで家の敷地内になんらかの鉢植えやら庭木やら、植物がない家というのがまず見られない。けっこうどこもそれ用のスペースが確保されており、たくさんの鉢で多種の花を咲かせているし、公園脇のひときわ多い一軒なんかはそれがたのしみなのだろう、白髪の婦人が鉢植えのあいだにしゃがみこんでちょうど世話をしていた。比較的年季の入った、昭和の住まいという雰囲気の一宅なんかは道路に面して庭もないように見えたが、玄関脇の窓のしたにスイセンみたいな細長い葉が植わっているし、おもてに余剰のない無愛想な一軒でも、車庫の片隅にそこそこおおきな植木鉢が、車に隠れるようにしてあった。一軒家の暮らしというのはそういうものなのかなとおもった。ここらの家はだいたいそこそこ暮らしが長いのだとおもう。ここ二、三年に建ったばかりというのはあまりなさそう。