2017/8/9, Wed.

 前日の疲労が残って身体がこごり、胸のあたりがとりわけ軋んで痛い目覚めだった。曇ってはいるものの、まだ微睡んでいたうちから凄まじい暑気の籠った朝で、起きてからも身の固さもあってだらだらと床に留まり、正午を回ってから部屋を出た。じきに雨が来るだろう、洗濯物を入れなくてはと、食事をしながら先ほどよりも薄暗んだ窓の外を窺っていると、皿を空にしたところで外に出ていた父親がぽつぽつ始まったと知らせに来たので、ベランダのものを取りこんだ。それからしばらくして、本格に降り出した。風はないようで、傾かずまっすぐ落ちて、窓枠が濡らされることはなかった。
 暑さに怠惰を決めこんで床に寝転んで過ごし、それから英語を読みはじめたものの睡気にやられて、なかなか使い物にならない日である。夜にはようやくいくらか涼んで、窓辺に座って外に耳を張ると、翅を擦り合わせる感触を露わに含んで短く鳴き連ねている声に、秋めいてくるようだ。一つの声が収まってもその裏から別のものが現れて、まだ稀薄だが様々な鳴きが常に留まっているなかに、そのうちに何か、黒板を擦るような甲高い声が聞こえた。猫とも鳥とも判別できず聞いていたが、近づいてくると鳴き声のなかに細かな粒立ちがあって、それで鳥だろうと検討をつけた。素早く移動しているらしく、声は遠ざかってはまた近づきながら、夜闇を騒がしく貫く。その後、茶を用意しに上がって行くとしかし、鳥ではなく、狸かハクビシンかと言った。様子を見に行った父親の目の前を、何か獲物を咥えて通ったらしい。