往路、日向のなかを歩きはじめてすぐに、道の傍らから葉に触れる乾いた音が立って、それは林に接した石壁の上の縁、枝から落ちた葉が溜まっているところで鳥が戯れているのだ。近づくと枝に移った姿を見れば、随分と長い尾羽を上下に、柔らかく、鳥というよりはほかの動物種のそれのように細かく震えさせていたが、じきに飛んで行った。
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街道に出ると、飛行機が頭上高くを渡っていて、車の通りがいっとき絶えると、その唸りが、走行音の消えて風通しの良くなった空間へと伝わってくる。轟々と、まるごと水と化した空をかき混ぜるような鈍い低音で、飛行機の機体にはやや遅れて、その後ろの青空から立って降ってくるようだった。