2020-04-02から1日間の記事一覧
寒気に祟られて花の匂うようなこともなく、落花の閑寂も繚乱も知らず、ただすがれて赤い花柄ばかりが目に立つようになり、やがて芽吹いた若葉も鮮やかならず、行く春を老年が惜しむにしても、味気なく思われたが、考えてみれば青年の頃には花の盛りを苦にし…
寒気に祟られて花の匂うようなこともなく、落花の閑寂も繚乱も知らず、ただすがれて赤い花柄ばかりが目に立つようになり、やがて芽吹いた若葉も鮮やかならず、行く春を老年が惜しむにしても、味気なく思われたが、考えてみれば青年の頃には花の盛りを苦にし…