2014/3/13, Thu.

 寝床に横たわっているうちは鼻がつまってしかたがなかったけれど、起き上がると息が通った。ネギとイカとエビが同居した奇妙な味のカレーは一晩置くと不思議にそれぞれの味が溶けあって調和していた。Paul Motian『At The Village Vanguard』と『On Broadway, Vol.3』を流しながら十一日の日記を書いて、午後二時を過ぎて書き終えた。
 雨のなかを歩いて出勤した。歩いているうちにどんどん強くなった。家の軒先に雨だれが集まってひときわ大きく垂れている下に小学生が傘を差し出して遊んでいた。傘を出しても合羽を着ているから平気だった。名前がわからない花があった。植物に詳しくなりたいと思った。博物館に行ったときも思った。名前を知らなくても書けるけれど、名前を知りたかった。まわりのものにあんまり注意が向かない日だった。注意が向く日は勝手に言葉が生まれる。見ながら頭のなかで書いている。だけど、実際にどう書くかは実際に書いてみないとわからない。だからおもしろい。
 帰りは雨はやんでいた。母からメールがあって、むかえに来るといった。そのあいだにスーパーで買い物をした。茶とかお菓子を色々買いこんだ。Oさんに似ている人がいた。本当にOさんみたいだった。職場がこっちなのかな、と思った。そんなわけがなかった。近くで見るとOさんより年上で、もっと疲れた目をしていた。じろじろ見られるのが嫌そうだった。
 夕食は麻婆豆腐だった。風呂に入って『族長の秋』をつぶやいた。風呂に入りながら風呂に入ったことを頭のなかで書こうとしたけれど、いまはただ風呂に入ったとしか書けないと思った。出たあとはじゃがりこを食べてポテトチップスも食べて夕食中にはジンジャーエールも飲んでいたからあさましいと思った。Maya Hatch『My Foolish Heart』を流した。バックのメンバー自体はいいけれど、ボーカルとアレンジがどこかはまりきらなかった。本を読む気にもまだ書いていない日の日記を書く気にもならなかった。私的音楽年表をつくっていた。PCの右下にふと目をやったら23:00とあってびっくりした。図書館で借りたBrad Mehldauのアルバムで本人がライナーノートを書いていた。フーコーが引用してあってインテリだと思った。